私の人生ひまつぶしです。
毎日ブログで仲間のみんなと日課の読み合わせています。
断酒会には、あの人はもう駄目だという言葉もないし、俺は絶対大丈夫だという言葉もない
- 「もう駄目だ」という諦めがない — どんな状態の人にも、回復の道がある。一人も見捨てない。誰にでも今日からやり直す力が与えられる
- 「俺は絶対大丈夫だ」という驕りもない — 「自分だけは崩れない」という自信こそ、いちばん危うい。大丈夫だと思う心が、隙になる
- 両方を捨てて「今日一日」に生きる — 絶望も過信も手放す。「今日一日、酒を断つ」——それだけ。その積み重ねが何より確か
- 人も自分も同じ — 「あの人は駄目」と裁かない。「私は大丈夫」と過信しない。みな同じように弱く、同じように支えられている
✨ AA・回復の原理と響き
- 「自分は例外ではない」 — 誰にでも再び飲む可能性がある。「私だけは」という思いが、いちばんの落とし穴
- 「人を裁かない」 — 他の人の歩みの遅さやつまずきを批判しない。自分も同じ道を歩いている
- 「大丈夫」は自分の力ではない — 自分の強さではなく、ハイヤーパワーと仲間の支えがあるからこそ。「私は大丈夫」ではなく「共にいてくださるから大丈夫」
- 「駄目な人などいない」 — 飲んでしまった人を排除しない。戻る場所がある。いつでも戻ってきていい
- 謙虚さが守り — 「明日はどうなるか分からない。だから今日を大切に」——その素直な気持ちが、いちばん強い
✨ 今日の問いかけ
「あの人は駄目だ」と思っていないか?
「私は大丈夫だ」と思っていないか?
どちらも手放して、
ただ今日一日、
共に歩ませていただこう。
まとめ
諦めることも驕ることもない。
誰も見捨てず、誰も過信せず。
今日一日、共に生きる。
それが、回復の場の姿。
入会して5年、何十回、何百回と失敗し、入退院を繰り返していた会員がいた。
「あの人はもう駄目だ、断酒はできないだろう」とその人の面倒を根気強く見続けてきた会員もさじを投げるほどであった。
本人も「俺は断酒会はやめる」と言いながらズルズルと例会に通っていたのである。
しかし、奥さんは家族会の人たちに励まされ、ご主人を見捨てることなく辛抱強く、彼の立ち直るのを待ったのである。
六年目に入った春から、彼の失敗は少なくなり、断酒の期間が長引くようになり、ついには立ち直ったのである。
七年目の今は、ある断酒会の要職について一生懸命、酒害者の世話をしているのである。
一方、十年近く断酒し、断酒会の中心人物として自他共に断酒家の模範とされていた人が、突然、魔が指すように酒を飲みだし、アレヨアレヨという間に入院せざるを得ない状態になってしまった人もいるのである。
断酒会には「もう駄目だ」とか「絶対大丈夫」という言葉は存在しないのである。
✨ ポイントと解説
- 「駄目な人」などいない — 何百回失敗しても、長い時間がかかっても、回復の道は閉ざされない。見捨てずに待つ辛抱強さが、いつか実を結ぶ
- 「絶対大丈夫」は一番危うい — 長く順調であっても、油断・過信が隙になる。「自分だけは」という心こそが落とし穴
- 時間の長さと強さは比例しない — 5年かかろうと10年順調であろうと、「今日一日」がいちばん大事。昨日の実績は明日の保証にはならない
- 支え合う輪が命 — 本人の歩みだけでなく、奥さん・家族・仲間が諦めなかったことが、立ち直りの大きな力。一人の回復は周りの愛で支えられる
✨ AA・回復の原理と響き
- 「七転び八起き」が回復の本質 — 失敗は終わりではない。起き上がり続けること自体が歩み。何度でも戻ってきていい場所がある
- 謙虚さがいつもの守り — 長く断酒できていても、「私は大丈夫」と驕らず、「今日も支えていただく」という姿勢を忘れない
- 人を見捨てない — 「もう駄目だ」と誰もが思うときこそ、その人に一番必要なのは「待っている人」。排除しない、諦めない、見放さない
- 「私たち」の回復 — 立ち直った人が今度は支える側になる。受けた恵みを渡す循環が、会を生かし続ける
- どちらの姿も教え — 時間がかかって立ち直る姿、順調に見えてつまずく姿——どちらも「明日のことは分からない。だから今日を大切に」と教えてくれる
✨ 今日の心がけ
誰かを「駄目だ」と決めつけない。
自分を「絶対大丈夫」と過信しない。
ゆっくりでも、続けることに意味がある。
今日一日、共に歩ませていただこう。
まとめ
諦めることも、驕ることもない。
長い道のりの中で、
誰もが支えられ、誰もが支える。
ただ今日を、共に生きる。
それが、回復の場の真の姿。
断酒寸言集「山びこ」(発行者 社団法人北海道断酒連合会)は、昭和61年10月、全日本断酒連盟の第23回全国大会が北海道で 開催されるのを記念して、それまで機関紙に原田ひろしさんが掲載されていたものを一冊の本としてまとめられたものです。
断酒家同志が「山びこ」のように呼びかけたり、答えたりするとき利用したり、そのうちいくつかを座右の銘にして いただければ幸いこれにすぐるものはないと巻頭に述べられています。
あなたは人と争っても、他人の秘密を漏らしてはならない。そうでないと、聞く者があなたを傷録し、 あなたの評判は取り返しのつかないほど悪くなる。
(箴言二五9-10)
- 争いの最中こそ、秘密を守る — 腹が立っても、相手の弱みや秘密を持ち出してはならない。怒りに任せた一言が、一生の信頼を壊す
- 信頼は積むのに時間がかかり、失うのは一瞬 — 一度「この人は漏らす」と思われたら、取り返しがつかない。評判は言葉で守る
- 自分に返ってくる — 人の秘密を漏らす人は、誰からも心を開いてもらえなくなる。人を守ることは、自分を守ること
✨ AAの原理とメッセージ
- 守秘=安心の場の命綱 — ミーティングで聞いたことは外に出さない。意見が違っても、仲間の体験を他の人に話さない
- ステップ5の前提 — 「打ち明けられる」のは、絶対に守られると分かっているから。秘密を守る人がいるから、本音が出せる
- 怒りより誠実さを選ぶ — 言い返したいときこそ、口を慎む。自分が正しいと示すより、信頼を守る方が価値が高い
- 「私も守ってもらう」 — いつか自分が弱みを見せる日が来る。そのとき誰も守ってくれなくならないように、今日は自分が守る
✨ 短い祈り
「心が乱れても、口に重しを。
信頼を守る誠実さを与えてください。」
まとめ
どんなに腹が立っても、秘密は守る。
壊れた信頼は戻らない。
慎ましい言葉が、いちばんの誠実。
10月8日
秘密をもらすな
私たち夫婦は互いに欠点の多い者ですが、私が妻を尊敬している一つの点は、夫婦の二人だけの間でも、 人の悪口をけっして言わないということです。
ですから、妻に甘いといわれるかも知れませんが、 私の悪口も、妻はどこでも言わないし、私の秘密を人に話すこともないだろうと思います。私がもし、何かつまらない失敗とか、人に恥ずかしいようなことをしたとしても、私をさげすむことなく、私のため何くれとなく心配し、祈ってくれるのではないか。すべての人が私に背き去ったとしても、―――――などと言うと大げさですが、私の妻だけは、とひそかに思うのです。
しかし反対に、人の秘密を言いふらして恥じない人は、これはきっと、私のこともそのように人に話していろだろうと思います。すると、秘密のことは話せなくなるし、その人への信頼や尊敬は、風船がしぼむようにしぼんでいってしまいます。「歩き回って人を中傷する者は秘密を漏らす。しかし真実な心の人は事を秘める」とも、別な箇所には書いてあります(箴言一12)
イエス・キリストは、私の恥・けがれ・罪・報を他にもらすどころか、一手に引き受け、すべてを飲みこみ吸収し、そこで受け止めて、身代わりとして十字集の上でお死にになってくださいました。
どんな悪口も中傷も、きたない秘密も、その人のところに届くと吸収されて、そこから先はどこにも行かず、すべてが祈りに変わってくる。――こんな人になりたいと思います。
- 「悪口を言わない」ことが最高の信頼 — 欠点の多い二人でも、互いの恥や秘密を外に出さない。「この人だけは最後まで守ってくれる」——そう思える存在こそが心の支え
- 漏らす人は自分も漏らされる — 人のことを話す人は、必ずあなたのことも話す。信頼は風船のように、一度しぼむと元に戻らない
- 「秘める」が真実の証 — 歩き回って中傷する人は秘密を漏らし、真実な心の人は黙って守る。口の堅さが、誠実さのしるし
- イエスはすべてを受け止め、祈りに変えてくださる — 恥も罪も汚れも外に出さず、一身に引き受けてくださる。聞いた痛みを他に流さず、祈りに変える人になりたい
✨ AAの原理とメッセージ
- 守秘=回復の土台 — ミーティングで聞いたことは外に出さない。安心して本音を話せるのは、絶対に守られるから
- 欠点を隠すのではなく、守る — 誰にでも弱さやかな失敗や恥ずかしいことがある。それを他の人に言わないことが、その人を尊重するということ
- 信頼は一日ごとに積み重ねる — 一度でも「あの人は漏らす」と思われたら取り返しがつかない。黙って守り続けることでしか、信頼は得られない
- 受け止める人になる — 仲間の話を聞いたら、他の人に話すのではなく、自分の心で受け止め、祈る。イエスのように、そっと抱えてあげられる人になる
✨ 短い祈り
「人の秘密を守る心を与えてください。
聞いたことを祈りに変え、他に流さぬように。
アーメン」
まとめ
秘密は守るもの。
漏らせば自分に返る。
受け止めて、祈りに変える。
それが、真実の生き方。
アンデスの名花で、インカ帝国では「女王の耳飾り」と呼ばれた「フクシア(ホクシャ)」です。 アカバナ科の低木。 メキシコ由来。 和名「釣浮草:つりうきそう」。 花径4センチ。 花言葉「控えめな愛は温かい心」
「風光るインカの大き耳飾り」高橋圭子
「遠雷やはづしてひかる耳かざり」木下夕爾
「夏暮色 耳より大き耳飾り」宮坂静生
- 「控えめな愛は温かい心」 — 目立たず、飾らず、そっと寄り添う愛がいちばん長く心に残る。大きな言葉より、静かな真心
- 「耳飾り」=受け取る心 — 人の話に耳を傾け、想いを受け止める姿。光って目立つのではなく、身につけて共に在る美しさ
- 和名「釣浮草」 — 下に向かって咲く姿。上を向いて誇るのではなく、穏やかに、謙虚に咲く
✨ AAの原理とメッセージ
- 「控えめに在る」 — 自分を大きく見せず、ただ誠実に。静かな歩みこそ確かな回復
- 「聴くことは愛」 — 話すより聴く。仲間の想いを受け止める耳が、いちばんの支え
- 「結果を競わない」 誰かと比べず、自分のペースで咲く。それぞれの時期、それぞれの美しさ
- 「共に在る」 — 目立たなくても、そこに居てくれるだけで心が温まる。それが仲間の絆
✨ 俳句
フクシアの 控えめな愛 灯しけり
耳飾り はずして光る 心かな
釣浮草 ただ静かに 咲く日々よ
まとめ
語らぬ愛がいちばん温かい。
聴く心が美しい。
謙虚に、そっと、共に生きる。
根の猛毒で知られる「トリカブト(鳥兜)」の花です(かつてトリカブト殺人事件が報道されました)。キンポウゲ科の多年草。写真は山に咲く野生の「山鳥兜」で、青紫色名前は「花の形が舞楽(ぶがく)で頭にかぶる鳥兜に似ている」から。なお、三大猛毒植物は「毒ウツギ、毒芹、鳥兜」。中国の特徴。花径4センチ。花言葉「栄光」
「 致死量の毒もて美しきとりかぶと」 西村純太
「鳥兜嫉妬はなぜにをんな偏」飛鳥由紀
「鳥兜近江商人荷を負えり」磯貝碧締館
- 美しさと危うさは隣り合う — 気品ある姿の裏に猛毒を秘める。見た目や名声だけでは本当の姿は分からない
- 「栄光」の裏には代償がある — 輝き・地位・称賛を求める心は、時に自らを傷つける。「嫉妬」がその毒になる
- 三大猛毒植物の一つ — 強い力は使い方を誤ると凶器になる。人の心の欲も同じ、正しく用いなければ自他を損なう
- 名前の由来「鳥兜」 — 格式ある装いに似ていても、中身は異なる。外見に惑わされず本質を見極めること
✨ AAの原理とメッセージ
- 「名声・地位は危うい」 — 「認められたい」「すごいと思われたい」欲は、依存と同じ根を持つ。栄光を追えば心を蝕む
- 「人を見た目や評判で判断しない」 — 輝いて見える人にも苦しみがあり、地味な人にも強さがある。外見に惑わされず誠実さを見る
- 「自分の弱さを知る」 — 誰にでも「毒になる心」が潜む。謙虚に自覚し、ハイヤーパワーに委ねることが防波堤
- 「力を誇らない」 — 回復したことを自慢にしない。強さは「慎む心」の中にある
✨ 俳句
鳥兜 栄光の陰に 毒を秘め
美しき 花に心を 惑わさず
鳥兜 謙虚な心が 守りなり
まとめ
輝きの裏に毒あり。
名声より誠実さを選ぼう。
慎む心が、身を守る。
断酒誓約
過去の私が酒のために、家族を泣かせ、親戚に迷惑をかけ、友人を欺き、人々を度々苦しめて、社会に害毒を流した事は、酒に罪なく、罪は飲んだ私にある事を認めます。
「断酒誓約」は、単にお酒を止めるという決意に留まらず、自身の人間性を見つめ直し、他者との関係性を再構築するための深い精神修養の指針となっています。
この誓約書の内容を、解説・考察します。
ポイントと解説
この誓約の核は、「酒の問題を人間性の問題として捉え直すこと」にあります。
1. 自己責任の明確化:
「酒に罪なく、罪は飲んだ私にある」という一文は、依存の対象に責任を転嫁せず、主体性を取り戻すための出発点です。
2. 身体的理解:
「頭だけでは断ち切れない」という部分は、理屈ではなく習慣や体感(実践)を通じてのみ克服が可能であるという現実的な視点を示しています。
3. 心の鏡:
自己中心的な生き方によって歪んだ自己認識を「曇った鏡」と表現し、日常の言動を通じてそれを磨き直す(自己を客観視する)プロセスを重視しています。
4. 他者への貢献:
「他者を救うことが自分を救う」という利他的な行動こそが、断酒を継続する最大の動力源になると説いています。
考察と内省
この誓約は、アルコール依存症の回復プログラム(AAの12ステップなど)とも共通する、非常に深い洞察に基づいています。
- 「負の連鎖」の自覚:
過去に家族や友人を傷つけ、社会に害を与えたことを具体的に振り返ることで、現在の自分の立ち位置を厳しく認識しています。
- 「傲慢」から「謙虚」へ:
批判や非難をやめ、挨拶という基本からやり直す姿勢は、断酒を妨げる最大の敵である「怒り・傲慢・孤独」を克服するための精神的な訓練です。
- 内省の重要性:
「心の鏡を磨く」とは、日々の自分の感情や行動を振り返り、過ちがあれば即座に認めるという継続的なセルフモニタリングを意味しています。
問題と解決
現状の課題と、それに対する具体的な処方箋が提示されています。
- 問題1:
意志力の限界:
お酒を止めようと思っても、脳が求める欲求には勝てない。
- 解決:
「ならうよりなれろ」の精神で、考えすぎる前に日常のルーチン(挨拶、善行)を体で実践し、断酒が当たり前の生活リズムを作る。
- 問題2:
人間関係の不和:
過去の裏切りにより、周囲との信頼関係が崩壊している。
- 解決:
積極的な善意の実行と、家族への挨拶から再開する。
言葉ではなく「行動」の継続によってのみ、信頼は回復される。
- 問題3:
孤独と自己嫌悪:
自分さえ良ければいいという孤立した考えが、再飲酒を招く。
- 解決:
仲間(同僚)を批判せず、他者のために動く。コミュニティの中での役割を持つことで、自身の存在価値を再確認する。
この誓約書は、断酒を「我慢」ではなく「新しい自分に生まれ変わるための修行」として定義しています。
今日から始まる具体的な一歩(挨拶や善意)が、あなたの心の鏡を少しずつ輝かせていくはずです。
この誓約を読み返して、今一番「これなら今日からできる」と感じた項目はどれでしょうか?
「仲間」、「仲間意識とは?」
AA(アルコホーリクス・アノニマス)において、「仲間(Fellowship)」や「仲間意識(Unity)」は、単なる仲の良さを超えた、生存と回復に直結する不可欠な要素として定義されています。
AAメンバーがこれらをどのように捉えているのか、その核心をまとめます。 1. 「共通の苦しみ」に基づく連帯感
AAにおける仲間意識の根底には、「アルコールによって人生が破綻した」という共通の絶望的な経験があります。
- 一般社会では理解されにくい「飲まずにはいられない」という衝動や、それによる自己嫌悪を共有しているため、説明しなくても分かり合えるという感覚が強いです。
- メンバーは、お互いを「同じ船に乗っている生存者(サバイバー)」のように感じています。
2. 「一人は万人のため、万人は一人のため」の相互依存
AAの「12の伝統」の第1条には、「私たちの共通の福祉が最優先されるべきである。個人の回復はAAの団結(Unity)にかかっている」と記されています。
- 一人の回復は仲間の支えなしにはありえない:自分一人の意志力では酒をやめられないが、仲間のなかに入ることで初めて断酒が継続できると考えます。
- 仲間のために自分がいる:自分が断酒を続ける姿を見せることが、新しく来た仲間への希望(メッセージ)になります。
3. 「利害関係のない」対等な関係
AAの仲間意識には、上下関係や利害関係がありません。
- 身分の違いがない:社会的な肩書き(医師、社長、労働者など)に関わらず、AAの場では全員が「一人のアルコホーリク」として対等です。
- 匿名性(Anonymity):本名や職業を明かさないことで、外の世界の偏見から守られ、純粋に「酒をやめたい」という目的だけで結びつくことができます。
4. 孤独からの解放
アルコール依存症はしばしば「孤独の病」と呼ばれます。家族や友人からも見捨てられ、社会的に孤立した人々にとって、AAは「ありのままの自分」が受け入れられる唯一の場所になります。
- メンバーは、ミーティングで自分の弱さや失敗を語る(分かち合う)ことで、「自分だけではなかった」という安心感を得ます。これが強固な仲間意識を形成します。
5. 献身的な「12ステップ」の活動
仲間の回復を助けることは、自分自身の断酒を確かなものにするための手段でもあります(これを「12回目のステップ」と呼びます)。
- 見返りを求めず、苦しんでいる仲間のために時間や労力を使うことが、結果として自分を救うことになるという「パラドックス(逆説)的なつながり」がAAの仲間意識の特徴です。
結論として、AAメンバーにとっての「仲間意識」とは、単なる友情ではなく、「同じ地獄を経験した者同士が、共に生き延びるために手を取り合う、命がけの信頼関係」であると言えます。
仲間と仲間意識、ユニティーとフェローシップがソブラエティにとってどのように機能しますか?
AA(アルコホーリクス・アノニマス)において、ユニティー(Unity:団結・共同体としての結束)とフェローシップ(Fellowship:仲間・仲間との交わり)は、個人のソブラエティ(Sobriety:しらふの状態、健全な生き方)を維持・成長させるための「生命維持装置」のような役割を果たします。
これらがソブラエティに対してどのように機能するか、3つの側面から解説します。
1. 孤立という「病の核心」を打破する(フェローシップの機能)
アルコール依存症は「孤独の病」と呼ばれます。フェローシップ(仲間の集まり)は、この孤独を物理的・精神的に解消します。
- 安心感の提供:ミーティングに行けば、自分と同じ失敗や感情を抱える「仲間」がいます。
「自分だけではない」という感覚は、飲酒の引き金となる強烈な自己嫌悪や孤立感を和らげます。
- 生きた教科書の役割:ソブラエティを長く続けている仲間の姿を見ることで、「酒なしでも楽しく生きていける」という具体的な希望(ロールモデル)を目の当たりにできます。
2. 回復の基盤を守る「器」となる(ユニティーの機能)
ユニティー(団結)は、個人の回復を支える「AAという場所」が消えないように維持する力です。
AAの「12の伝統」の第1条には、「個人の回復はAAの団結(Unity)にかかっている」と明記されています。
- 共通の目的への集中:ユニティーがあることで、グループ内の争いや個人的な意見の対立が避けられ、常に「アルコール依存症から回復する」という本来の目的に集中できる環境が守られます。
- 帰属意識による規律:大きな共同体の一員であるという意識が、自分の行動に責任を持たせ、ソブラエティを継続する動機付け(「仲間のために自分も飲まない」という意識)を生みます。
3. 「12ステップ」を実践する場となる
ソブラエティは、ただ酒を止めるだけでなく、生き方を変える(12ステップの実践)プロセスです。
- 鏡としての仲間:仲間との関わり(フェローシップ)の中で、自分の性格の欠点や偏った考え方が浮き彫りになります。
一人では気づけない自分を、仲間という鏡を通じて修正していくことができます。
- 12ステップの仕上げ(サービス):ステップの最後には「他のアルコホーリクにこのメッセージを伝える」という活動があります。
ユニティーとフェローシップの場があるからこそ、新しい仲間に手を差し伸べることができ、その活動こそが自分のソブラエティを最も強固なものにします。
まとめ
- フェローシップ(交わり)は、あなたの「心」を癒やし、日々の断酒を支える「横のつながり」として機能します。
- ユニティー(団結)は、あなたの「居場所」を守り、回復のプログラムを継続させる「全体の枠組み」として機能します。
この両輪があることで、メンバーは「一人では不可能な断酒」を「仲間となら可能なソブラエティ(健全なしらふ)」へと変えていくことができます。
AAの「3つのレガシー(遺産)」である「回復・団結・サービス」という考え方
AA(アルコホーリクス・アノニマス)における「3つのレガシー(遺産)」は、共同体全体と個人のソブラエティを支える3本の柱です。
これらは1955年のAA20周年記念大会(セントルイス大会)において、共同創設者のビル・Wとドクター・ボブから、次世代のメンバーへと正式に引き継がれたものです。
AAのシンボルマークである「円の中に描かれた正三角形」は、この3つのレガシーを表しています。三角形の各辺が一つでも欠ければ、全体のバランスが崩れてしまうことを示唆しています。
1. 回復(Recovery):個人の再生
「回復」のレガシーは、「12のステップ」に集約されています。
- 内容: アルコールに対する無力を認め、自分を超えた大きな力(ハイヤーパワー)を信頼し、自分自身の棚卸し(点検)や埋め合わせを行うプロセスです。
- 機能: アルコールによって破壊された精神と身体、そして人間関係を再構築するための個人的なガイドラインです。
- ソブラエティへの役割: 単に酒を止めるだけでなく、飲まなくても平安でいられる「新しい生き方」を手に入れるための土台となります。
2. 団結(Unity):共同体の維持
「団結」のレガシーは、「12の伝統」に集約されています。
- 内容: AAグループがどのように運営されるべきか、メンバー同士がどのように関わるべきかを示す指針です。
匿名性の維持、外部からの寄付の辞退、指導者を作らないといったルールが含まれます。
- 機能: グループ内での争いや権力争いを防ぎ、AAという場所が存続し続けるための知恵です。
- ソブラエティへの役割: 「個人の回復はAAの団結にかかっている」とされる通り、もしAAという場が崩壊すれば、助かるはずのアルコホーリクが居場所を失ってしまいます。
ユニティーは、回復のための「安全な器」を守る役割を果たします。
3. サービス(Service):メッセージの伝達
「サービス」のレガシーは、「12のコンセプト」や日々の奉仕活動に集約されています。
- 内容: ミーティングの会場設営、お茶の準備、新しい人への声かけ、そしてAA全体の運営に関わる事務作業まで、あらゆる「他者を助けるための行動」を指します。
- 機能: 「自分たちが受け取ったものを、見返りを求めずに他者に手渡す」というAAの根本精神を実践する場です。
- ソブラエティへの役割: 依存症の最大の特徴である「自己中心性」から抜け出すための唯一の方法が、他者のために動くことです。
皮肉なことに、誰かを助けようとする行為が、自分自身の断酒を最も強く守ることになります。
まとめ:三角形の重要性
これら3つは、どれか一つが優れているわけではなく、相互に補完し合っています。
- 回復(ステップ)がなければ、自分が救われない。
- 団結(伝統)がなければ、仲間とつながれない。
- サービス(コンセプト)がなければ、生きる目的を失い、AAも広がらない。
この3つのバランスが取れている状態こそが、AAメンバーが目指す「質の高いソブラエティ」であると言われています。
今年ポルトガルのAAワールドサービスミーティングでは、ステップと伝統、概念のあわせて36ステップについての分かち合いがあります。ひとりのAAメンバーとして、この36ステップを行動する方法は?
ポルトガルでのワールドサービスミーティング(WSM)で「36のステップ(12のステップ、12の伝統、12の概念)」がテーマとなるのは、AAが個人からグループ、そして世界全体のサービスへとその知恵を広げていく素晴らしい機会ですね。
ひとりのAAメンバーとして、この36の原則(Legacy)を具体的な「行動」に移す方法は、「自分・グループ・社会」という3つの層でこれらを使い分けることにあります。
1. 「12のステップ」を行動する
(個人的な回復)
これは「自分自身と神(ハイヤーパワー)」との関係を整える行動です。
- 日々の点検(ステップ10):毎日、自分の感情や行動を棚卸しし、間違いがあればすぐに認めます。
- 祈りと瞑想(ステップ11):自分の意志ではなく、ハイヤーパワーの意志を求める時間を持ちます。
- メッセージを運ぶ(ステップ12):苦しんでいるアルコホーリクに自分の経験を伝えます。
2. 「12の伝統」を行動する
(グループの団結)
これは「自分と仲間」との関係を円滑にし、居場所を守るための行動です。
- 共通の福祉を優先する(伝統1):
自分の意見を通すことよりも、グループ全体の平和を優先して行動します。
- 匿名性を守る(伝統12):ミーティングで聞いた話を外に漏らさず、また「自分はAAで偉い人間だ」という慢心を捨て、謙虚に一メンバーとして振る舞います。
- 自立する(伝統7):会場設営や献金など、グループを支えるための応分の負担を自ら進んで行います。
3. 「12の概念」を行動する
(サービスと責任)
これは「AA全体を支える仕組み」に対する責任ある行動です。
- 「奉仕」を引き受ける
(概念1・2):グループの代表(GSR)や、地区・エリアの奉仕など、AAが存続するための事務的な役割を「恩返し」として引き受けます。
- 信頼して任せる(概念3):奉仕者を選んだら、その人の「決定する権利」を尊重し、口出ししすぎずに信頼してサポートします。
- 「少数意見」に耳を傾ける(概念5):会議などで、多数決だけでなく、反対意見を持つ人の言葉にも真摯に耳を傾け、全体にとって最善の道を探ります。
まとめ:
日常生活での「36ステップ」
これら36の原則を統合して行動するとは、結局のところ「AAのミーティングの中だけでなく、すべての場所でこれらの原則を実践する」ということです。
- 家庭で:伝統を使って、家族の「共通の福祉」を優先する。
- 職場で:概念を使って、責任を持って役割を果たし、他者の権利を尊重する。
- 一人でいる時:ステップを使って、平安と正直さを保つ。
ポルトガルのWSMでの分かち合いは、これらが単なる「文字」ではなく、「私たちの命を繋ぐ具体的な行動指針」であることを再確認する場になるはずです。



