争点になっていたのは、国のアスベスト規制が遅すぎたのではないかと言う点。
早期にアスベスト工場に、排気装置や粉塵濃度の抑制、粉塵マスクの着用を義務付けるべきだったとする原告に対して、被告の国側は、技術的問題やコストの問題で遅れたとは言えないとしてきました。
最高裁第1小法廷・白木裁判長は『国は昭和33年に排気装置設置するように行政指導しているが』……
『この段階で被害深刻なことは分かっていたはず』だと断じ、国の責任を認めました。
そして、2陣の原告のうち54人に約3億3千万円の支払いを国に命じ、1陣原告28人に対しては、賠償額算定のやり直しを2審に命じました。
オヤジ世代ではアスベストというより、石綿と呼んでくれた方が馴染みが深いもの。
優れた断熱性、絶縁性があり、長い間、各種産業で重宝してきたもの。
その一方、アスベストに肺がんなどを発症させることがわかりましたが、潜伏期間が数十年と長いことが、対策の遅れにもなりました。
オヤジ世代なら、子供の頃、ビルなどの断熱材として、石綿の吹付け作業を見たことがある人は多いはず。
吹付けアスベストは1975年に禁止となりましたが、ビルなどに既に使用されたアスベストが解体時に放出する可能性は、2040年頃まで残るとも。
現在は、アスベストの処理には厳しい管理が義務付けられていますが、必ず守られているのかは、毎度のごとく疑問。
その意味では若い世代も引き続き、アスベスト被害を受ける可能性があるわけです。
最高裁はようやく、経済成長優先より、安全性優先に舵を切ったとも言えますが、今回の訴訟で最高裁判決を待たずに14人が死亡したとも。
しかし、裁判で国の責任を問うことが出来た人は圧倒的に少数で、肺がんの原因がアスベストであることを知らずに亡くなった人の総数は全く不明ですが、相当な数になることは確かです。
日本の高度成長の遺物に、まだまだ祟られることになるでしょうね。