そんなときは、大型パイプをくゆらすことにしている。
パイプタバコを楽しむには、大型パイプが一番優れている。
オヤジがもっているのは、キャラッバシュと言われる、大型のパイプだ。
キャラバッシュとは南アフリカ「ひょうたん」の一種に、メシャムの火皿をとりつけたものだ。
シャーロキアンでも、勘違いしている人がいるが、映画のホームズがくわえているのは、キャラバッシュ型のパイプで、キャラバッシュパイプではない。
本物は、このように大型(もっと大きいのもある)で、体格の良い欧米人でもくわえっぱなしにするのは難しいだろう。
従って、常に片手で持っていなければ、タバコを喫えないのが難点で、不便ではあるが、パイプスモーカーに愛されてきたのには理由がある。
キャラバッシュの部分は中空になっていて、タバコの煙がここを通過する間に冷却され、余計なジュースも取り除かれるので、クールでドライな喫煙ができるのだ。
さらに火皿はメシャム(海泡石)なので、この部分でも冷却されると、同時にタール分を吸収する構造にもなっている。
もっとも、この吸着効果のお陰で、タバコの強さが一段階以上弱くなるのが、唯一の難点だ。
小型パイプでは十分のダンヒルのウルトラマイルドも、このキャラバッシュでは弱すぎる。
できれば、ダンヒルの965以上が相応しい。
かれこれ、10年近く使っているが、メシャムはようやく色づきはじめたばかりだ。
あと10年ほど使い続けられれば、メシャムはきれいな琥珀色になると思う。
これはメシャムパイプの楽しみの一つでもある。
火を点けて、しばらくすると、キャラバッシュの部分がじんわりと暖かくなる。
今夜のように、冷え込みの厳しい夜にはうってつけのパイプである。
立ち上る柔らかなパイプの煙と香りに、無益な人生を過ごしてきた悔恨を沈めていく。
これもパイプスモーカーの楽しみの一つだ。
注:嫌煙家の皆さんへ。
間違ってもキャラバッシュを、オヤジの部屋以外で使うことはないので、ご安心下さい。