ショートショートの書き方、その5 | パイプと煙と愚痴と

パイプと煙と愚痴と

単なるオヤジの愚痴です。

体調今一につき、その4 に続いて、ショートショートオチコボレ組のショートショートの書き方、その5を書く時間ができました。

追っかけ、趣味ネタならスラスラと書けるのですが、ショートショート作法は気合いが入らないと書けないもので。


オヤジの筆力のなさでも、その1からその4を読んで貰えれば、多少なりともショートショート創作の難しさが、おわかり願えたのではないかと思います。


さて、今回も引き続き、ショートショート最大の難関である、『構成』についてです。 単に『構成』とだけ書くと、ピンと来ない人が多いかもしれません。


小説よりも、ドラマとか映画をイメージしてもらった方がわかりやすいでしょう。ドラマにしろ、映画にしろ、基本的にストーリーの展開(時空)と場面が一致するのが一般的ではありますが、完全に一致するのは滅多にないでしょう。

ちょっと前に、アメリカでストーリー展開と実時間を一致させたドラマがあったそうですが、これは例外に近いものです。


大抵は、ストーリーをたくさんの場面(シーン)に分割して、それを組み合わせて、一本のドラマなり、映画にしますよね。

小説も同様です。例えば、『日記も書いたし、後は寝るだけか』と、主人公が呟いたとして、主人公が寝てから朝起きるまで、何回寝返り打ったとか、書く小説はないでしょう。(本人が何か夢でも見たという筋書きなら、話は別ですが)


次のシーンでは、どんなに早くても主人公が目覚めてからでしょう。長編とか、純文なら、ここら辺はダラダラ意味もなく書いても良いのですが、ショートショートにはそんな余裕はありません。


前の例で、例えば主人公が夢にうなされたのが物語の始まりなら、私なら多分、こんな切り出しから始まるでしょう。


――エヌ氏は、夢にうなされ飛び起きた……


このようなキーになる場面に、その1で固めたアイデアの骨子を、再度、分解して、場面毎に切り分け、『再構成』していく作業のことを、私は『構成』と読んでいるわけです。


確か、ヒッチコックが、シナリオが出来たら映画はほとんどできたも同じだ、とか言ってたと思います。良くできたシナリオであれば確かにそうでしょう。逆に香港あたりの映画監督は、成り行き任せ、その場の雰囲気で撮影して、編集の段階で取捨選択をして映画を創っていくのだそうです。どちらが、大変かは推して知るべしです。


枚数の限られたショートショートの場合は、当然、前者の方法でないと、苦しいでしょう。(あなたにショートショートの才能があれば別ですが……)


では、どのように『構成』すれば、良いのかと私に訊かれても困ります。なぜなら、あなたのアイデアを私は知りませんし、私の『構成』テクニックで書いてもらったら、それはあなたの作品ではなくなってしまうからです。


しかも、長編なら、アマチュアでもあれこれ他人の意見を取り入れることもできますし、プロなら『プロの編集のアドバイス』を受けることもできますが、ショートショートにはその余裕がありません。あれこれ聞いていたら、とてもショートショートのサイズにはまとまりません。


すべて、あなた一人で決定しなければなりません。


ここら辺もショートショートの苦しいところでしょうか。

とは言え、ショートショートの『構成』にも、ある程度、定石があります。『まず、明確に事を起こせ』です。現象、事件、事故何でもいいですから、ストーリーに起爆剤になることを、小説の先頭に持ってきます。


ここら辺は、推理小説のテクニックを参考にすると良いと思います。

言わずと知れた『シャーロックホームズ』シリーズは、全編、ホームズに誰かの依頼が来て、物語がスタートします。

ドラマの『コロンボ』シリーズだと、まず犯人が誰であるかを、視聴者に教えてから始まります。

『金田一シリーズ』だと、延々、殺人事件が続いて、最後に金田一の登場となります。


さて、ショートショートの構成としては、どれが良いと思いますか?

『シャーロックホームズ』法では時間が掛かりすぎ(枚数多すぎ)ですし、『金田一』法では、なんちゃってオチになって問題になりません。


ショートショートの参考になるとすれば、『コロンボ』法でしょう。

まず、何かを衝撃的(物理的、心理的に)な場面の書き出しから始める。

これが、ショートショートの『構成』の第一歩です。


誰が、読んでも続きを読まずにいられない書き出し。


これができるかで、そのショートショートが成功するか否か、99%決まると言って良いでしょう。(アメリカの大作家が最初の3ページに全力投球と言ったように、基本的には短編以上も同様ですが)


とは言え、これはほんの序の口、ファーストカットに過ぎません。

以降を香港映画流に、筆に任せるままに書いたら、ショートショートは多分完成しないでしょう。(恐らく、短編以上になっても大した出来ではないはず)


ここから、最終段のオチに向かって、長くて苦しい、ショートショートの『構成』作業が始まるのです。


それでは、オヤジも長くてニコチンが切れてきましたので、長くて苦しいショートショート創作の旅については、また、次回とさせていただきます。(時間があったら……ですけど)


追伸:

『構成』については、シナリオ作法関係の本を読んでみることをお薦めします。