『自殺サイト殺人』の安易な報道。 | パイプと煙と愚痴と

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この手の猟奇事件が発生すると、決まって安易な報道がある。
以下はその典型だろう。

「乱歩に影響受けた」自殺サイト殺人の前上容疑者

容疑者が、江戸川乱歩を読んでいたそうだ。
それが、犯行に影響しているような、報道をするから困るのだ。

異常心理学の立場に立てば、正常者と異常者は同一直線上にいることになるが、オヤジはこの説を支持しない。
それなら、SM愛好者は、全員猟奇殺人犯になるのだろうか?
もっと簡単に、貧乏人は、全員泥棒になるのだろうか?

良識のある読者なら、答えがNoであるだろう。
小説、映画、ゲームから影響を受けたとしても、実際に犯行に及ぶのは、統計的に問題にならないくらい希なことである。
だとすれば、これらメディアの影響と考えるよりも、犯罪者の器質的問題と考えるのが自然だろう。

にも関わらず、あたかもこれらの小説等が犯罪を助長していると、短絡的に思考する、マスコミのなんと多いことか。

単に刺激だけを指摘するのなら、世界にはマルキド・サドの「ソドム百二十日」とか、日本なら沼正三「家畜人ヤプー」の方が数十倍も上だろう。
乱歩が淫靡な世界も描いているとは言え、それが主題ではないことは、読者ならよくご存じだろう。
そもそも、そんなことを言いだしたら、あれやこれやの手口で安易に殺人場面を描く、世の推理小説は、全て同類と言うことになる。

江戸川乱歩は、日本の文学史に確かに名前が刻まれる人物だ。
安易な報道は、くれぐれも慎んで頂きたい。