2023年5月20日、ミュンヘンの聖カジェタン教会でバイエルンのルートヴィヒ王子(40)とゾフィー=アレクサンドラ・エヴェキンク(32)が結婚式を挙げました。

母カトリン=ベアトリクス妃と到着した新郎ルートヴィヒ王子。




花嫁ゾフィー=アレクサンドラ・エヴェキンクと父ドラス・エヴェキンク


ルートヴィヒ王子はバイエルン公の儀礼称号で知られ、バイエルン王国の王位請求者であるヴィッテルスバッハ家当主の後継者であり、バイエルン王国最後の国王ルートヴィヒ3世の玄孫にあたります。 

バイエルン公の称号は、バイエルン王国以前のヴィッテルスバッハ家の家長の称号で、1180年にヴィッテルスバッハ家のオットー1世がバイエルン公になって以来、1918年にバイエルン王国が共和制に移行するまで、常にヴィッテルスバッハ家がバイエルンの君主でした。










プリンセスラインのスカートと花柄のディテールを施した薄手の長袖でクラシックなウェディングドレス。







左から新婦の父ドラス・エヴェキンク、新郎の母ベアトリクス妃と新婦の母ヴェロニカ・テイラー、新郎の父バイエルンのルイトポルト王子。



花や植物の形をした花嫁のティアラは、ルートヴィヒ王子の祖母であるイルミンガルト王女が1950年に従兄弟のルイ王子と結婚した際に着用していたもの。

2017年にはルートヴィヒ王子の弟ハインリヒ王子の妻ヘンリエット・グルーゼが結婚式でこのティアラを着用しました。




ソフィー=アレクサンドラのベールはライオン(バイエルン)、カエデの葉(カナダ)、チューリップ(オランダ)のモチーフを含むオーガニック生地で作られました。


ブライズメイド、ページボーイを務めた子供達の衣装は、新郎の大叔父であるハインリヒ王子の幼少期の姿を描いた絵画に描かれていた衣装にインスピレーションを得て作られたそうです。








旧王家の結婚式を一目見ようと数百人が通りに集まりました。


結婚式が終わると新郎新婦は家族や友人、ゲストとともに市内のニンフェンブルク宮殿でのレセプション向かいました。




バイエルン公フランツは、結婚を盛大に祝えるよう、後継者ルートヴィヒ王子にバイエルン王の夏の離宮であった自宅を開放しました。


ウエディングケーキはミュンヘンのカフェ・ルイトポルトが伝統的な王室レシピに従ってピスタチオを使用し、バイエルン王国の国旗の色の青と白のアイシングで覆いました。



バイエルン国王( König von Bayern)は、1806年から1918年までバイエルン王国(現在のバイエルン州およびプファルツ)を統治したヴィッテルスバッハ家の君主の世襲の称号です。

1870年11月23日の条約でバイエルンは新生ドイツ帝国に統合されましたが比較的自治が認められ、バイエルン国王は独自の称号、外交権、国軍を有していました。第一次世界大戦末期の1918年にドイツ皇帝が廃されると、最後のバイエルン国王ルートヴィヒ3世は退位しました。





バイエルン公フランツ(右)とトーマス・グリンヴァルト(左)

現在のヴィッテルスバッハ家の家長でバイエルン王国王位請求者、バイエルン公フランツ(89)は1918年に退位した最後のバイエルン国王ルートヴィヒ3世の嫡系の曾孫です。フランツは未婚(2021年6月、長年交際している同性パートナーがいることを公表)であり、彼の死後は弟のマックス・エマヌエル(86)がバイエルン王家家長を継ぐ予定です。



2021年6月に写真家によって公開されたバイエルン公フランフランツと長年のパートナー、トーマス・グリンヴァルトの写真


しかし、マックス・エマヌエルには5人の娘がいるものの男子がないため、その後の家督はフランツの従弟※1にあたるバイエルン王子ルイトポルト(72)とその子孫が継承することになっています。この家督継承順位2位のルイトポルト王子の長男が今回結婚式を挙げたルートヴィヒ王子です(家督継承順位3位)。

また、継承順位1位のマックス・エマヌエルの長女はリヒテンシュタインのアロイス公世子と結婚したゾフィー公世子妃です。

2023年5月6日のチャールズ国王戴冠式に出席したアロイス公世子とゾフィー公世子妃


※1 現在の家長バイエルン公フランツと家督継承順位2位のルイポルト王子は継承順位を考え男系でみると最後のバイエルン国王ルートヴィヒ3世の曾孫同士で又従兄弟(またいとこ、はとこ)の関係ですが、女系で考えるとルイポルト王子の母イルミンガルド・マリー王女とバイエルン公フランツの父バイエルン公アルブレヒトとは異母兄妹なので、バイエルン公フランツとルイポルト王子は従兄弟です。




リヒテンシュタインのアロイス公世子とゾフィー公世子妃




また、新郎の父ルイトポルト王子はルクセンブルク大公国シャルロット女大公の妹アントニア公女が母方の祖母にあたる為、ルクセンブルクのアンリ大公とも又従兄弟の関係にあります。

ルートヴィヒ王子はポルトガル国王ミカエル1世の玄孫でもあり、ポルトガル王室、そしてブラジル皇室とも繋がりがあります。



ルクセンブルクからは大公の三男ルイ大公子が参列。
ルイ大公子は旧ブラジル皇室の代表として出席したオルレアン・ブラガンツァ王子ハファエル(37)と妹のオルレアン・ブラガンツァ王女マリア=ガブリエラ(33)とも親しそうな姿を見せました。 ラファエルとマリア=ガブリエラは、現在のブラジル皇室当主の弟であるアントニオ王子の子供たちです。 
ヴァソウラス系ブラジル帝位請求者、ブラジル皇帝家家長のベルトランド(82)は未婚で子供がなく、弟アントニオ(72)の息子ハファエル王子が次世代のブラジル帝位請求者とされており、今回結婚したバイエルンのルートヴィヒ王子と境遇は似ています。

ハファエル王子は父方の祖父を通じてポルトガル王家とフランス王家と、父方の祖母を通じてバイエルン王家と血縁関係があります。



ルイ大公子と親しそうに写真に写るこの女性は誰でしょう?新たなパートナー?それとも旧ブラジル皇室のように遠い親族なのかもしれません‥‥

 


ルートヴィヒ王子とゾフィー=アレクサンドラは昨年8月に婚約を発表していました。 


バイエルン王子ルートヴィヒ・ハインリヒは1982年6月14日、ルイトポルト王子と建築家の娘カトリン・ベアトリクス・ヴィーガントの間にドイツバイエルン州ランツベルク・アム・レヒで誕生しました。

当初両親の結婚は貴賤結婚と考えられていましたが、1999年3月3日子供達の「王室の婚姻」を条件に両親の結婚も王室に認められました。後継者の問題があったのでしょう。ルイトポルト王子の5人の子供のうち、2人の姉は「王室の婚姻」を守り、Princeの称号を持つ旧王家の男性と結婚しています。

ルートヴィヒ王子も父親同様に「王室の婚姻」には当てはまらない一般の女性を選びました。イギリス王室等君主国の王妃も一般の女性がほとんどですから、時代とともに緩和されていくのかもしれません。




ルートヴィヒ王子は政治学と法律を学んだ後、叔父のバイエルン公フランツからニンフェンブルク宮殿に呼ばれ、旧王室の財産管理の訓練を受けました。 彼はまた、王室とバイエルン赤十字によって設立された開発援助活動を行う慈善団体ヒルフスフェライン ニンフェンブルクの会長にも就任しました。

 2015年、ケニアで学校教育プロジェクトであるラーニング ライオンズを設立。オンラインで「ケニアの田舎の若者に学び、稼ぎ、革新する機会を提供するデジタル エンパワーメント プログラム」と説明されています。ルートヴィヒ王子は同社の CEO を務めており、1 年の10か月を東アフリカ、2 か月をバイエルンで過ごしています。



ゾフィー=アレクサンドラ・イヴキンク(32)は、1989年にシンガポールで生まれたオランダ系カナダ人です。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)で政治学と東ヨーロッパ研究の学士号を取得し、オックスフォード大学で理学修士号を取得した後、ニューヨークとジュネーブの国連で8年間勤務しました。
現在はオックスフォード大学法学部の犯罪学博士号取得を目指しています。
バイエルン王家の家督を引き継ぐプリンスと結ばれたのはすごい学歴の女性でした。


人気の記事→ 
最近の記事→
テーマ一覧→ 


関連記事







以上です。最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。