夜、宅配便が届いた。
しかも注文してないのに助っ人の親友からの魚だった。
箱を開けてみたら。
筆文字で大きく御礼の文字と助っ人の親友の名前が書かれていた。
「(助っ人)さんが世話になってるから?」
「気を遣ってくれたのかな。」
すぐに電話をしようと思ったが。
仲間達からも、助っ人の親友から魚が届いた!!と連絡が入った。
助っ人の親友と出会って2年以上。
コロナの影響を受けて、今後の先行きが見えなくなった時だった。
何とか助けようと魚を直送してもらうことにして。
オレ達だけじゃなく、会長やナンバー2、片腕のところとか、1日で何十匹単位で必要なところにも。
それから刺身の宅配と日曜日には市場でイベントを提案して。
今となってはコロナ禍の前よりも売上はアップしたそうだ。
「もしもし?まだ起きてた?魚、届いたけど、みんなにも送ったよね?!」
「当たり前じゃないですか!この度は(助っ人)のことでご迷惑をおかけして(笑)すみません。ほんの気持ちです。」
「迷惑な訳ないじゃん💦(助っ人の親友)さんも情報収集手伝ってくれたりしたんでしょ?こんな時はお互い様じゃん💧(助っ人の親友)さんこそショックだったんじゃないの?」
「病院にはすぐ行って、いつも通りに接しましたけど。正直、慣れないですよね。アイツ(助っ人)は昔から変わらない。いつも大丈夫、心配するなって。こんな歳になってまでまだあるのかって。心配です。」
「(助っ人)さんとは?連絡取ってる?」
「毎日、メールなり電話なりしてます。」
「毎日か。やっぱり親友っていいね。」
「周りが言えないようなことは言えますからね(笑)」
「そうだね(笑)」
「工事!なんか凄い頑丈にしてくれるそうで。」
「もうトラックで突っ込まれても大丈夫。ガラスに何をぶつけても大丈夫。それからカメラも強化するらしいから今までより安心して暮らせると思う。あとは(助っ人)さんが2階から飛び降りなければの話しだけど(笑)」
「バカでしょ?(笑)行けると思って飛び降りたらしいですけど、落ちてる途中でこんなに高さあったのか?!って思ったらしいですよ(笑)」
「ウソ!!でも1階の天井があんなに高いんだから普通の2階より高いよね(笑)」
「ガキのまんまで困りますよ(笑)何とかなると思っちゃうんだから。」
「でもさ、犯人逃してなるものかってあそこまでできる人もいない。普通の親分じゃやらないよ。」
「普通じゃないから心配なんです(笑)」
「あ!!そうだ!(助っ人の親友)さんなら分かるかな。(助っ人)さん、ゆっくりなら歩けるから安静を条件に事務所に返すって先生も言ってるんだけど。最低でも早歩きぐらいはできるようになりたいって言ってるんだ。目標は走ることらしいけど。理由聞いてもハッキリ言わなくて、謎なんだよ。」
「そんなこと言ってるんですか💧嫌な予感するな💧」
「どんな?!」
「早歩きって、自分の手で犯人捕まえようとしてるんじゃないかな。今のままだと誰かの助けが必要になっちゃうけど。早歩きできるなら、自分で動けるってことじゃないですか。(助っ人)はそーゆう奴です。自分でケリを着けようとしてるんじゃないですか?」
「もー💦絶対それだ💧」
「アホでアホでどーしようもないです。何でも最後は自分で終わらせたい性格なんですよね💧」
「あんな大ケガしたのに💧ダメだな。終わるまで見張ってないと。」
「人生初の坊主頭だ!なんて笑ってますけど、心の中はまだ冷めてませんから。笑ってごまかす時ほど危ないこと考えてますよ。」
「ヤバイな💧」
「今回のことで弱音吐いたのは手術の当日、もしものことがあったら親父さんの墓に一緒に入れてくれって。毎月、会いに来てくれよってメールが届いてたことですね(笑)かなりビビってたみたいで、あんなケガして死なない奴が、手術中に死ぬ訳ないのに(笑)」
「やっぱりビビってたか(笑)」
「だって、拳銃突き付けられるより、注射針が怖いって言う奴ですからね?(笑)」
「逆だろ普通(笑)」
「本当に何を考えているんだか(笑)あ、実行犯も事務所に住み込みにしたって言ってましたよね?」
「思いの外、良い奴で(笑)」
「まぁ今いる若い衆もずいぶんヒドイことされてきた奴ばっかりですからね。やったことは別としても、(助っ人)が決めたことなら何も言いませんけど。まだまだお世話になるんだと思いますが、俺もできることはします。あんまりワガママ言うようなら傷口叩いて良いですから(笑)」
「それは(嫁)にやらせらる(笑)」
「(嫁)さん(笑)。(助っ人)がもしも(嫁)さんが男だったら、今の組織の構図変わってただろうなって真面目に言ってて(笑)堅気じゃないの前提なのかよって笑いました(笑)」
「先週の日曜日に実行犯と話しするのに、会長とか(ナンバー2)さんを両脇に(嫁)がど真ん中で話しをしてたよ(笑)」
「親分だ(笑)元気そうなのは聞いてます。何度か怒られたり、脅されたりって(助っ人)が(笑)」
「元気なんだけど(笑)相変わらず変わり者過ぎてオレ達の悩みが尽きない(笑)」
「アハハハッ(笑)近くに(嫁)さんいないんですか?」
「いるよ。凄いよ?自分のことじゃないからって顔してる(笑)」
「じゃあ内緒で(笑)」
子供の頃から一緒にいる助っ人の親友。
心配はオレ達よりも遥かにしてきたはず。
でも、親友だからこそ助っ人の考えや気持ちを尊重してきたんだとも思う。
親友だから心配だけど。
親友だから味方でいたい。
親友だから傍にいたい。
離れられない関係だよね、親友って。