固まってた。
声をかけたら
「どうしてこんなに悲しいんだろう。」
呆然とした顔して言った。
理由なんて探してる場合じゃなく。
悲しいと思ってることだけの事実をオレは受け止めた。
ここ何週間も嫁はずっと不安定だったと思う。
こーゆうシワ寄せがいつか来るとも思ってた。
漠然と悲しい。
もう限界だったのかもしれない。
そのうちオレの腕の中でポロポロ泣いて。
涙が止まるまで黙って待った。
親父のこと。
自分のこと。
母親のこと。
1+1=2みたいに明確に出ない答え。
いろんなことを考えた結果のダウン。
Jも起きてたけど黙ってた。
オレより嫁のことに敏感だから。
もっと前から気になってたと思うし、こうなる日を予測してたはず。
声を殺して泣く嫁は、いつもの存在感もなく。
弱々しかった。
もう1人で頑張れることじゃない。
そこに気付いてほしい。
耐えてきた強さはもちろん誰にも敵わないけど、これ以上は人間の限界を超える。
それぐらい強烈な過去と闘ってきた。
病気が発覚して。
それでも屈したくないって気持ちが大きかった。
訳のわからない症状に苛立ちもあったけど。
負けたくないと思ってひたすら向き合った。
嫁は泣きながらまた寝たんだけど。
Jが
「とうとうパンクしちまったんだな。オレ達が心配してても、どんだけ考えてやっても、コイツ(嫁)は1人で頑張ることをやめないな。」
「じゃーどーすんの?」
「言って聞くような奴じゃないから、オレらから付き合ってやりゃいーだけだろ。今は弱くなってる分、オレらは強くいてやろう。」
Jの言葉は、いつも嫁が中心。
嫁を支えるには。
嫁を助けるには。
それだけを考えてる。
だから説得力がある。
嫁がどうあれ。
オレ達は倒れるわけにいかない。
今は踏ん張り時だとJは教えてくれた。