嫁の姉ちゃんから電話があった。
何か起きたのかと思ったら。
「ごめん💧お父さんが、この前話してた計画は実行しないのかなって言ってるんだ💧」
親父が母親と離婚話しをするタイミングで嫁も母親に復讐して、母親への長年の恨みに終止符を打つ計画。
親父は楽しみに待っているらしい。
催促の電話だった。
オレは嫁に聞かれちゃマズイなと思って別の部屋に行った。
「計画に変わりはないんだけど、(嫁)のコンディションが悪いんだ。」
「どーしたの!?風邪ひいた?」
「心の方。」
「大丈夫なの?お父さんのことはいいから(嫁)ちゃんの方を優先して?そんな時にくだらないことで連絡してごめんね!」
「大丈夫だよ。これはオレとJだけが知っててもしょーがないことだから、姉ちゃんにも話しとく。(嫁)は親父が本当にお母さんと離婚を望んでるのかとか、(嫁)の昔のことがあるから、親父は離婚するのかとか考えててさ。」
「そっか。(嫁)ちゃんがきっかけになっちゃったと思ってるんだね。」
「そもそも(嫁)のことがなければ親父は実家出てなかったかもしれないじゃん?」
「そこまで考えちゃってるの?!本当のことが分かっただけで、(嫁)ちゃんのせいじゃないよ。」
「オレもそう思う。でも(嫁)は分かんないから、どんどん難しい方に考えていくんだよ。姉ちゃんが探してくれた(嫁)の子供の頃の写真あるだろ?アレ見て、どー考えても嬉しそうに笑ってるように見えるのに、本当に嬉しかったのか疑問持ったり。」
「ウソ💧そこ疑問?なんでなのかな💧」
「(嫁)が言うには、お母さんから虐待されてる最中にあんな顔できてることが本当に嬉しくて笑ってるのか信用できないらしい。」
「お父さんから聞いた。感情は戻ってないんだってね。」
「でもさ、素直に嬉しそうだ!って思えば良くない?」
「そうなんだよね。こないだ旦那と(嫁)ちゃんがお父さんと普通に会えるようになるには何が必要なんだろうって話してて。」
「そーゆうこと話しててくれてるんだ。」
「夢みたいな話しだけどね。このままずっと会わないつもりなのかなって。できることなら会って話しができるようになってほしいし。でもね、考えれば考えるほど、(嫁)ちゃんに無理させるのかなってところに辿り着いちゃうの。」
「何で?」
「結局、今から仲良くなれても(嫁)ちゃんはお父さんに会えば昔のことを思い出すよねって。お父さんってゆう存在って親じゃない?お母さんも親でしょ?だから今のお父さんだけのことを考えるのは不可能だよね。」
「お母さんのことがチラつくからか。」
「それに今、(嫁)ちゃんが子供の頃のこと全く気にしてない訳じゃないでしょ?お父さんには可哀想だけど、もう遅いのかもしれないよね。」
もう遅い。
それを否定できなかった。
親って親父だけじゃない。
母親がセットでついてくる。
片方は消えてほしいほど憎んでる。
でも片方とは仲良くしたいなんて、都合良くはいかないよな。
「ちょっと時間ちょうだい?親父にも今の話し言わないでもらえるかな。」
「こっちは大丈夫。気にしないでいいから。」
電話切ってもそこから動けず。
親父といつかは仲良くなれたら良いなって思ってた希望を捨てた。
周りが望むのは親子に戻れたらいいなってことで。
嫁の幸せではない。
仮に会えるようになったとしても。
満足なのはオレ達だけなのかもしれない。
嫁の気持ち考えないとね。
嫁にとってオレ達が思ってることって、不都合な望みでしかないから。
進む前に気付けて良かった。