ティッシュが一向に丸くなりません。
すぐ広がる💧
突然、嫁が来てビックリ!!
「どーしたんだよ!!」
「どーしたのはこっちが聞きたいわよ、何このティッシュは!」
「丸めてんの」
「何で?八つ当たり?ヤな事あった?」
「違うよ!右が握れないと退院できないって言われたからだよ!」
「そっか。頑張った跡だったのね。」
「お前もやって!ティッシュ」
なぜか嫁にも勧めてみた。
嫁は自分の手を見ながらティッシュを5枚ぐらいとって丸めてオレに。
「こんな小さいもの丸めようとしたら大変だから大きいのから始めたら?」
なるほど。
でかいのを掴むことからね!
それでもフワフワなんだよな。
どんどん足して8枚。
握ってるって感覚がナイ。
いよいよ10枚!
ん?何となく手の中に何かあるぞ!って思えるぐらいになった。
嫁は手帳を切って今日の日付、枚数。
オレの右手のチェック表。
「目で見て分かれば納得するでしょ?」
って。オレの性格をよく分かってる(笑)
「少しづつ枚数が減ってきたらチャンスよ!パパ!」
「だよな!!」
なぜかやる気が出てきた(笑)
でも
「じゃあ、2日で1枚減らせるように頑張って!!」
ノルマかよ(笑)
嫁はゴムのボールもいいかもねって、オレのリハビリに超協力的です。
「ところで風邪どーした?」
「何となく風邪なのかな?ってぐらいの感じだったから大丈夫よ。」
「よかった。無理させちゃったからな。心配してたんだ。」
「ここ来る前に社長のお見舞いしてきたよ。変わらなかったけど、何か穏やかな顔してるからそろそろ目を開けてくれるような気がするのよね。」
嫁の勘はほぼ100%だから嬉しくて
「そう思うか?勘?」
「そうよ。何の根拠もない私の勘(笑)」
奇跡が起きるかもしれねーな。
なんか嫁の勘を聞いてますますやる気が出てきた!!
そんなオレに嫁が一言。
「いっそのこと左利きになれば?」
何てことを思いつくんだよ!!
「左利き?字書けねーじゃん」
「だって字なんてあんまり書かないじゃん。ハンコ押したり後はパソコンでしょ?」
「それもそうだけど、オレ元々、右利きだしさ、マズいだろこのままじゃ!」
「じゃあ、退院、再来週って言われてもしょうがないよね。右利きにこだわるんだもん。」
「だって足もやらないとさダメじゃん?」
「非常階段あるから行く?」
「今?まだ自信ないな。踏み外したらシャレになんねーぞ?」
そしたら嫁。
「大丈夫よ!ここ病院だからすぐ診てもらえるでしょ!」だって。
「1日2段、右足からね。ちゃんと手すりに捕まって。3日目には4段上がれるようになればあとは楽に行けるわよ!」
「そんな上手くいかねーと思うけど。」
「じゃあ、退院オッケー出るまで病院の言うとおりにしてな?分かる?ここまでの努力しなきゃ退院できないんだから。ちゃんと不便なことがなくて退院してきてくれた方が私達も安心なのよ?」
ごもっともです。
嫁は言っても聞かないオレの性格を知り尽くしてるからこそ、こんな難題をオレに突き付けてきたんだってその時やっと気付いた。
「退院したいのは分かる。子供達もそう願ってるし、私もパパにはウチにいてほしいし。社長の所にも行きたいもんね。けどこの体のまんまじゃずっとみんながパパのこと1人にしておけないのよ?」
「そうだな。ずっとこんなじゃオレも困るもんな。」
「これから長ーい人生のたった1ヶ月ちょっと待てなくて一生不便な思いして過ごすの?」
「ヤダ。」
「じゃあ、完璧に治して堂々と退院してきた方がいーじゃん。」
オレも笑っちゃって。
「お前に言われたらオレは言い返す言葉ねーだろ(笑)」
「あらそう?このままじゃバイクも乗れなくて可哀相だと思ったから言ってあげたのよ?でもどーしても乗れなかったら私が代わりに乗ってあげるから心配しないでね」
オレの大事なバイク!!
嫁に取られたくない(笑)
オレは完璧な体を手に入れてやる!!
嫁は子供達が帰ってくるからと行ってしまった。
その後すぐ思ったんだけど、嫁、何しに来たの?珍しく1人で。
恐くない?
オレがリハビリ頑張ってんのも退院できないって言われてイライラしてんのも知らないはずだろ?
そして現実突き付けて帰って行ったんだぞ??
神様のいたずら?