夕方に子供達とJ、嫁が来た。
オレのとこに来る前に社長の病院に寄ってきたって。
容態は依然変わらず。
オレはリハビリ頑張りすぎたのか体中が痛い。嫁に笑われた。
「焦ると遠回りじゃないの?痛くて明日、リハビリできなかったら昨日に逆戻りよ?」って。
確かに、そう思わされるほど痛かった。
気になったから少年の話をした。
何日も同じ服って事は本当に誰も来てないんじゃないかって。
このまま入院してて現実的に退院とかになったら金とかどーすんだろーな?親が払ってくれるのかな?とか。
Jが少年呼ぼうぜって。
いろいろ聞くためにじゃなくて1人じゃつまんないだろうからって。
少年はオレの病室に入ったらちょっと動揺してて
「どーした?」って聞いたら。
言いづらそうに
「あ、奥さんってJさんの?」
J見たら嫁の肩に手を回し何食わぬ顔してソファーにいるんだよ。
「オレの嫁。」
「あ、そうですよね?」
オレらはこれが当たり前だけど少年だけじゃなく一般的には友達の嫁の肩に手なんて回さないもんな。
「ウチはこれが普通だから、気にしないでくれ。」
「あ、はい。」
「ウチの嫁には旦那が2人。トイレ、風呂以外はいつもこーなんだよ。ついでに結婚指輪もしてるしな。」
「け、結婚指輪ですか?!いーんですか?」
「いーんじゃねーのか?不思議に思うかもしんねーけど世界にもう1軒ぐらいはこんな家もあるかもしんねーけどな(笑)レアな家族だろ?」
「そうですよね。」
少年の前だからかJは大人の男のフリをして黙ってる。
ついでだからJに
「お前、嫁のこと好きだもんな」
「うん」
嫁にも
「Jのこと好きだろ?」
「うん」
「な?オレも2人のことは好きだ。問題ない気がしないか?」
「んー。」
少年はこれで納得していーのかなって感じだった(笑)
Jはお菓子を嫁の口に。
見るからに夫婦か恋人かって思われるだろうな。
何より1番に嫁が全く気にしてないってことが少年を更に驚かせているのかもしれないな。
下の子が
「お兄ちゃん手、どーしたの?」
「骨が折れたの。」
「骨!!ボキッて??痛い?」
「あんまり痛くないよ」
少年は子供に優しい口調だった。
Jが
「お前、兄弟いんの?」
「はい。兄貴がいます」
また下の子が
「ボクと同じだね。」
「そうだね。優しそうなお兄ちゃんだね」
子供好きなのかなと思って聞いてみた。
「子供好きか?」
「はい。かわいいですよね。」
照れくさそうに笑った。
Jが突然、
「イテッ!」
見たら嫁にお菓子食べさせてたら手噛まれた(笑)
「あ、ゴメン。噛んじゃったね。痛かった?」
「痛くねーよ」
「もう、自分で食べる。また噛みそう。」
「いーんだよ!オレが食わせたいんだから!」
「だってJ痛がるなんて相当でしょ、見せて指」
「いーよ、見なくて。痛くなかったし!」
「見せて!」
Jの指、赤くなってたみたいで嫁が
「冷やさなきゃ!」って立ち上がったら
「いーよ。お前はここに座ってろ。そーすれば治る。」
Jは嫁にベタベタ。
少年の目はまん丸。
オレは思わず少年に
「これぐらいはいつものことだからな。」
少年は目のやり場に困ってた(笑)
オレが意識不明の社長に相談したいこと。
まさにJのコレ!
このままで本当にいーのかなって(笑)
社長、聞いたらビックリするだろうな。
「そうか!また面白いことやってんな、お前達は!」
そんな声が聞こえるような気がした。