【病気 過去】は2016年、7年前のお話です
リンちゃんは食道閉鎖症という食道と胃が繋がっていない病気で1600gで生まれました。1回目の手術は失敗に終わり、病院に入院したまま体重を3000gまで増やして再手術をすることになりました。
前回のはなし
はじめから
体重が3000gになったら
すぐに手術ができると思っていた私達は
6週間後という主治医の言葉を
受け入れることはできませんでした
どういうことですか?
私達の質問に主治医が答えました
①3000gというのは目安であり
体重は増えれば増えるほど
手術はやり易くなる
②リンちゃんの今の状態は
緊急性はないという判断になり
(今すぐしなくても死亡は
しないという意味)
手術室に空きがない今の状況では
成人や他の小児の
緊急性のある人の手術が優先される
この2つの理由から
6週間後に延期されたことが
説明されました
発達に障害が出たり
日々の小児の苦しみは
緊急性があるとは言えないのか…
緊急性がない
この言葉は私達を苦しめました
そして
リンちゃんが手術室を使えば
他の小児や成人が手術が受けられなく
なるというニュアンスでこの後
医師や病院関係者から説得を
受けることになるのです
✳︎この病院は総合病院で病床数が多く
限られた手術室のため
手術室の予約が大変だという
背景がありました
この説明は
親にとっては酷でした
緊急性のある人が
我が子のせいで助からないかもしれない
そう考えさせられると
その場では
言葉を飲み込むしかありませんでした
ここからは私の考察です
①に関しては医師の言うとおり
3000gよりも4000、5000と
増える分ほうが体の面積が広くなります
執刀する側からすれば
大きければ大きいほど良いというのは
想像ができます
②は緊急性がないということですが
医療現場では今すぐ手術をしなければ
生きられない人が優先されます
それは私達も十分理解しています
ここで不思議なのは
リンちゃんは2ヶ月半も前から手術の
見通しが立っていたはずで
今更手術室の空きが無い
というのは説明としては
腑に落ちませんでした
つまり
執刀医は手術を行いやすくするために
体をできるだけ大きくしたいという
思惑があったのだと思います
手術が行いやすいというのは
小児にとっても親にとっても
本来は良いことのはずです
しかし
6週間の延期がもたらす
苦痛やリスクより
それに見合うだけの
メリットがあるとは思えません
主治医や年配の看護師さんは
緊急性がないことを
繰り返し私達に説明しました
それから
娘の手術は
主治医にまかせていれば成功することと
それまで医者や看護師が
全力でサポートすることを
力強く説明しました
この言葉により安心感と希望を
与えてくれたのは事実です
ここで私が印象的だったのは
この病院に長く勤めている看護師さんは
小児を取り巻く環境
↑
緊急性が無いという理由で延期される
又
他の診療科との兼ね合いで小児の手術が
遅れる
このようなことは
普通であるという
認識を持っていることでした
医療現場の認識というのは
病院によっても違うと思いますが
その病院の常識というものが出来上がると
それを覆すのが難しい
そういう背景があることが分かりました
現在
私は娘を通じて患者の立場から
小児外科を見て思うことがあります
それは
小児には「こども病院」のような
小児のための病院が必要
だということです
そして
小児にとって親は
切っても切れない関係です
親の入院環境の整備
が疎かになっている病院は多いです
小児の現場で働いている
医療関係者の方々は優しく熱意があり
素晴らしい人達ばかりでした
その傾向は年々強くなっている
ように感じます
しかし
「こども病院」のように
進んだ病院がある一方で
総合病院の中の小児外科のように
小児を取り巻く
システムが昔のままのところは
多いように思います
これは2023年の現在でも
強く感じました
✳︎病院によって差が激しいです
良いところはあります
このことは
また後日詳しく
書こうと思います
この時の私達は
主治医や年配の看護師さんの
力強く言葉を信じて
手術の延期を受け入れました
そして
手術は成功すると信じていたので
希望があったのです
こうして
6週間後の手術に向けて
時間が進んでいきます
手術日が決まり
見通しがたったこと自体には
私達はひとまず安堵します
日程には
不満が残りました
けれど熱意ある優しい看護師さん達
実力のある主治医の力強い言葉
に後押しされ
あと6週間を
トラブルなく乗り切ろう…
乗り切りたい
という前向きな気持ちに
変わりはじめていました
つづく
