10代の頃、筆者には「深入りしたらやばそうだな」と感じられるジャンルが三つあった。

その三つはガンダムとエヴァンゲリオンと野球であり、それらには「ファンの数が膨大」「楽しむのに必要な知識量が多い」「それを鑑賞するコストが凄まじい」等の特徴があると考えていた。

 

数年前から筆者はプロ野球に関心を抱くようになり、NPB本拠地の14球場すべてで現地観戦するほどには深入りしているが、「楽しむのに必要な知識量が多い」や「それを鑑賞するコストが凄まじい」という予測は概ね当たっていた。

野球はルールが他のスポーツと比べて特殊で観戦するのに必要な知識量が多い。

また、現地観戦は時間も諸々かかるし、費用も諸々かかる。

現在、筆者はプロ野球の魅力に気づけて良かったと感じている一方で、「深入りしたらやばそう」という警戒心も正しかったと感じている。

 

なお、数年前から筆者は友人のG君に麻雀を勧められるようになった。

「麻雀ってどんなボードゲームなのだろう」と思い、筆者はネットや本で麻雀のルールを調べてみた。

だが、いくら調べても麻雀のルールは複雑に感じられるし、未だにルールを把握できていない。

また、麻雀は賭博や徹マンなど不穏な話が少なくない。

「深入りしたらやばそうだな」というジャンルは今も三つのままなのだが、現在その三つは「ガンダムとエヴァンゲリオンと野球」ではなく「ガンダムとエヴァンゲリオンと麻雀」となっている。

 

 

ガンダムとエヴァンゲリオンにも触れようと思う。

筆者がガンダムを初めて知ったのは幼児のときで間違いない。

エヴァンゲリオンは小学生か中学生ぐらいのときに地元のロッテリアのレジ付近を眺めていたら「エヴァンゲリオン」という文字が見え、「そういう映画(コンテンツ)があるんだ」と感じた記憶がある。

そして、中学最後の夏に「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」を地上波で観て「こんなアニメ今まで観たことがない」という衝撃を受けたのを覚えている。

その日の夜は、なかなか寝付けなくて、寝れたのは布団に入って数時間たってからだった。

それぐらい興奮していたし、もしテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』全26話のDVDが自宅にあって、筆者がそれらを容易に視聴できるような環境にいたならば、筆者はさっそく全26話を視聴していたと思う。

だが、筆者が生まれ育った家庭は漫画やアニメに寛容な環境ではなかった。

両親は漫画やアニメを禁止していた訳ではなかったが、「漫画本やアニメを買ってほしい」と親に頼んでも学習漫画などを除き親は「自分のお小遣いで買いなさい」と答えるだけだった。

因みに、小学五年生のとき、お小遣いは月に500円で、小学六年生のときは600円だった。

中学生のときは1000円で、高校生のときは2000円だった。

少なくとも漫画やアニメDVDを気軽に購入できるような金額ではなかった。

中学に入ってからはお年玉を自ら管理するようになっていたが、お年玉は将来のためにとっておきたいという思いがあったのと、20代の初め頃までは自分の所持金が減ることに対して恐怖心に近い感情を抱いていたことが影響して、「このコンテンツ面白そうだな」と感じても鑑賞まで至らないケースが多かった。

 

余談だが、大学入学の数年後に行った自動車免許合宿の費用は、お年玉などの貯金から出せたので、「将来のためにとっておきたい」という当時の思いは正しかったように思う。

合宿で同じ部屋だった青年の一人は野球部の出身らしく、或る夜、部屋にあったテレビで東京五輪の決勝戦を視聴していた。

筆者も彼と一緒に決勝戦を観ていたのだが、数年前までネットで「打線組んだ」の打線(打順)を見かけるたびに「よく判らない羅列だな」と感じていたほど野球のルールに疎かった筆者は、そこまで観戦を楽しめなかった。

 

なお、中学生のとき、筆者は名探偵コナンの組織編に強い関心を抱いた。

普通の中学生であれば、コミックス全巻や、組織編が載っている単行本を買って、漫画本編を読み始めるだろう。

だが、筆者は漫画本編を読む前に、組織編の情報を文章(や図や画像)でまとめたサイトを読むという行動をしていた。

というのも、それらのサイトはネットで検索すれば幾らでも無料で読めたからだ。

もちろん、組織編が載っている回も最終的には読んでいったが、『ゾンビパウダー』にしても『BLEACH』にしても、先に読んだのは漫画本編の方ではなく、Wikipediaなどといった情報サイトの方だった。

 

いま『エヴァンゲリオン』全26話を視聴するハードルは10代のときと比べて低くなっている。

それゆえ何らかのきっかけで全26話を視聴し始める可能性は全然あると思う。

だが、「エヴァはストーリーや設定の内容量が非常に多く、鑑賞するエネルギーが結構かかるコンテンツらしい」という警戒心が依然として残っており、現時点で全26話の視聴は実現していない。

 

それにしても、エヴァンゲリオンとガンダムだったら深入り要素が凄まじいのはどちらなのだろうか。

Wikipediaでガンダムシリーズを調べると以下のリストが載っていたが、このリストを眺めた限りでは、深入り要素が凄まじいのはガンダムの方なのかもしれない。

 

 

 

1970年代-1980年代
「機動戦士ガンダム」 TVアニメ 富野喜幸【全43話】 1979年–1980年
映画「機動戦士ガンダム」 富野喜幸 【3部作】1981年-1982年
小説/富野由悠季 朝日ソノラマ【全3巻】/ 角川書店 1979年–1981年
小説/中根真明 朝日ソノラマ 【全3巻】 1980年
漫画「機動戦士ガンダム (冒険王版)」 岡崎優 秋田書店 【全2巻】 1979年
「機動戦士Ζガンダム」 TVアニメ 富野由悠季【全50話】1985年
小説/富野由悠季 講談社【全5巻】 / 角川書店 1985年-1986年
漫画/近藤和久 講談社【全3巻】 / バンダイ【全2巻】 / メディアワークス(旧版【全3巻】 / 新装版【全3巻】 / セレクション版) 1985年–1986年
映画「機動戦士Ζガンダム A New Translation」 富野由悠季 【3部作】2005年-2006年
漫画/田巻久雄、白石琴似、津島直人 角川書店【全3巻】 2005年-2006年
「機動戦士ガンダムΖΖ」 TVアニメ 富野由悠季 【全47話】1986年
小説/遠藤明範 講談社【全2巻】 / 角川書店 1986年
漫画/村上としや 講談社(ボンボンKC【全3巻】 / KPC【全2巻】 / KCDX【全2巻】)/ 大都社(復刻版【全2巻】、普及版【全2巻】) 1986年
「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」 映画 富野由悠季 1988年
小説「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア (ハイ・ストリーマー)」 富野由悠季 徳間書店(アニメージュ文庫【全3巻】 / 徳間デュアル文庫 / 復刻版 アニメージュ文庫) 1987年–1988年
小説「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」 富野由悠季 角川書店 1988年
カセットブック / 復刻版ドラマCD 1989年
漫画/左菱虚秋 角川書店【全7巻】 2014年-2018年
漫画/村上としや 大都社(漫画版ΖΖの復刻版2巻に収録) 1999年
漫画/ときた洸一 講談社(ボンボンKC / KPC / KCDX / KPC復刻版) 1998-1999年
「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」 OVA 高山文彦 【全6話】 1989年
小説/結城恭介 角川書店 1989年
漫画/池原しげと 講談社(ボンボンKC / KPC / KCDX) / 大都社 1989年


1990年代
「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」 OVA 加瀬充子、今西隆志 【全13話】 1991年
映画「機動戦士ガンダム0083 ジオンの残光」今西隆志 1992年
小説「機動戦士ガンダム0083」 山口宏 角川書店【全3巻】 1992年
漫画「機動戦士ガンダム0083 星屑の英雄」 松浦まさふみ メディアワークス【全2巻】 2000年–2001年
漫画/加登屋みつる 講談社(KPC / 「大都社版ガンダムF91」「ガンダム短編集(2)」「一年戦争名作選」に収録)1992年
「機動戦士ガンダムF91」 映画 富野由悠季 1991年
小説「機動戦士ガンダムF91 クロスボーン・バンガード」 富野由悠季 角川書店【全2巻】 1991年
漫画「機動戦士ガンダムF91 プリクエル」 おおのじゅんじ 角川書店【既刊2巻】 2020年-
漫画/井上大助 講談社 /大都社 1991年
「機動戦士Vガンダム」 TVアニメ 富野由悠季【全51話】1993年–1994年
「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」 OVA 神田武幸、飯田馬之介 【全12話】1996年–1999年
映画「機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート」 加瀬充子 1998年
小説/大河内一楼 角川書店【全3巻】 1999年
「GUNDAM Mission to the Rise」 大友克洋 20周年記念『ガンダムビッグバン宣言』イベント上映(劇場作品「スチームボーイ」のチケット初回販売版にDVDが付属) 1998年


2000年代
「G-SAVIOUR」 映画グラム・キャンベル 2000年
小説/河原よしえ 集英社 2000年–2001年
漫画/拓人 ファミ通ブロス(未単行本化)
「GUNDAM THE RIDE ‐A BAOA QU‐」 シミュレーションライド型アトラクション 2000年
「ガンダム新体験 ‐0087‐ グリーンダイバーズ」 プラネタリウムCGシアター 2001年
「GUNDAM EVOLVE」 OVA 2001年–2003年
OVA「GUNDAM EVOLVE../」 2004年–2007年
漫画「機動戦士ガンダム U.C.戦記 追憶のシャア・アズナブル」 大森倖三 角川書店 2009年
「機動戦士ガンダム MS IGLOO -1年戦争秘録-」 OVA 今西隆志 【全3話】 2004年
OVA「機動戦士ガンダム MS IGLOO -黙示録0079-」 今西隆志 【全3話】 2006年
小説/林譲治 角川書店 2005年
漫画
「機動戦士ガンダム MS IGLOO 603」MEIMU 角川書店【全2巻】 2004年-2005年
「機動戦士ガンダム MS IGLOO 黙示録0079」MEIMU 角川書店 2006年
「機動戦士ガンダム MSイグルー2 重力戦線」 OVA 今西隆志 【全3話】 2008年–2009年
漫画「機動戦士ガンダム MSイグルー2 重力戦線」MEIMU 角川書店【全2巻】 2009年
「リング・オブ・ガンダム」 短編映像 30周年記念『GUNDAM BIG EXPO』イベント上映 2009年
「機動戦士ガンダム戦記 アバンタイトル」 OVA ゲーム特典映像 2009年


2010年代
「機動戦士ガンダムUC」 OVA(※) 古橋一浩 【全7話】 2010年–2014年
漫画「機動戦士ガンダムUC バンデシネ」大森幸三 角川書店【全17巻】 2010年–2016年
漫画「機動戦士ガンダムUCバンデシネEpisode:0」大森幸三 角川書店【全3巻】 2017年–2018年
TVシリーズ「機動戦士ガンダムUC RE:0096」 古橋一浩 2016年
DOME-G映像「機動戦士ガンダムUC One of Seventy Two」2013年
DOME-G映像「機動戦士ガンダムUC ネオ・ジオング、お台場に現る!」 2014年
WALL-G映像「機動戦士ガンダムUC A Phantom World」 2016年
VR映像「機動戦士ガンダムUC VR 激突・ダイバ上空」 2017年
WALL-G映像「機動戦士ガンダムUC ペルフェクティビリティ」 2018年
映像「episode EX 百年の孤独」 バンダイナムコアーツ(「ガンダムUC ep7、BD-BOX Complete Edition」の特典) 2014年
小説「獅子の帰還」 福井晴敏 バンダイナムコアーツ(「ガンダムUC BD-BOX Complete Edition」の特典) 2019年
ドラマCD バンダイナムコアーツ(「ガンダムNT」BD特典) 2019年
漫画「機動戦士ガンダムUC episode EX2 獅子の帰還」 玉越博幸 角川書店 2019年-2020年
「ガンダムさん」 TVアニメ(※) まんきゅう 【全13話】 2014年
「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」 OVA(※) 安彦良和 【全6話】 2015年-2018年
「機動戦士ガンダム サンダーボルト(第1シーズン)」 OVA(※) 2015年-2016年
第2シーズン OVA 2017年
映画「機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY」 2016年
映画「機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER」 2017年
「機動戦士ガンダム Twilight AXIS」 Webアニメ(※) 金世俊 2017年
OVA「機動戦士ガンダム Twilight AXIS 赤き残影」 2017年
「機動戦士ガンダムNT」 映画(※) 吉沢俊一 2018年
漫画 大森倖三 角川書店 【既刊3巻】 2018年-
「機動戦士ガンダム 光る命 Chronicle U.C.」 映像 福井晴敏 バンダイナムコアーツ(「U.C.ガンダムBlu-rayライブラリーズ」の特典) 2019年 /「編集版」 ガンダムチャンネル 2021年


2020年代以降
「機動戦士ガンダムG40」 Webアニメ 2020年
「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」 映画(※) 【3部作(予定)】2021年-
「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」 映画

 

 

 

最後になるが、筆者が野球に関心を抱いたきっかけは一つのヤフーニュースであった。

家族や知人経由で野球に関心を持った人は多いだろう。

野球関連の漫画・アニメ・小説・映画がきっかけとなって野球に関心を持った人も多いだろう。

だが、ヤフーニュースがきっかけで野球に関心を持つようになったという人は殆どいないと思う。

筆者以外に存在しないのではとすら思う。

いずれにせよ、2021年の東京五輪の決勝戦で観戦を楽しめなかった筆者が2023年のWBCで観戦を楽しめたのは、あのヤフーニュースの記事が筆者の視界に入ってきたからである。

そのことを考えると、数年後や数十年後、筆者はガンダムやエヴァンゲリオンや麻雀に詳しくなっているかもしれない。

数年後や数十年後も筆者が生きているのかは不明だが、そうなっている可能性は否定できないように思う。