〇発表までの経緯

久保帯人は2016年に長編漫画『BLEACH』を連載し終わった後、2017年11月放送のラジオ番組で「稲垣理一郎さんが7年連載して7年休んだので、僕は15年連載して15年休む」と述べていた。

しかし、2018年初頭に、久保帯人による新作の読切漫画が『週刊少年ジャンプ』に載ると発表され、同誌2018年33号にこの短編漫画が掲載された。

単行本第1巻収録に当たって「#0.8」という番号と「Don't Judge A Book By Its Cover」というタイトルが付けられたが、ジャンプに掲載されたときのタイトルは「BURN THE WITCH」であった。

 

 

〇タイトル

#0.8  Don't Judge A Book By Its Cover

第1巻 p7~70

 

 

〇分析

★タイトル

この英文は「本を表紙で判断するな(→外見で中身を判断するな)」という意味であり、英語圏の有名なことわざの一つ。オスシちゃんとセルビーの皮を被ったドラゴン(覆面竜)のことを指している。

 

★カラー見開き

新橋のえる、ニニー、バルゴ、主任(ビリー・バンクスJr)の4人が描かれている。紙面には映っていないものの、遥か左側に「4人にとって討伐の対象となる何らかの敵」が位置している構図となっている。この4人のなかでバルゴは慌てているだけであり、戦闘する姿勢を見せていない。新橋とニニーは魔器を左に向けている。第1巻を通して読むと、「主任のこのポーズは主任が人差し指だけで敵を討伐できることを表している」と分かる。

 

★p11

「制服が好きだ」というシンプルな一文で本作は始まっている。新橋は制服を着て歩いている。

 

★p12

「私が何者であるかを誰にも証明しなくて済むからだ」という文章が続く。新橋は表ロンドン(フロント・ロンドン)の街路を歩いているが、手には制カバンがあり、おそらく登校か下校の途中なのだろう。新橋はサウス・ブラクストン校の生徒である。

 

★p13

新橋は一匹の犬に出会い、制カバンから犬用の餌を取り出すが、男が背後からやってきた。実は、久保は『BLEACH』第4章のリルカ初登場のシーンのように、或る重要キャラを初登場させる際は、そのキャラをシルエットにして描くことが多い。男は「ハハハハハ、(罠に)かかったな!その犬はウチのオスシちゃんだ!」と叫ぶ。

 

★p14

その男はバルゴといい、サウス・ブラクストン校での新橋の先輩にあたる。バルゴは新橋のパンツを見たがっているが、そのたびに新橋から返り討ちを受けている。

 

★p15

新橋は2コマ目で空手のようなポーズをとっているが、新橋は黒崎一護同様に空手の経験があるのかもしれない。

また、3コマ目でバルゴは「ノエルちゃん」と平仮名ではなく片仮名で呼んでいる。

 

★p16~17

新橋は公衆電話に「S・S・W・B」と刻まれた特殊なコインを投入し、受話器に「ノエル・ニイハシ 出勤します」と語りかけ、表ロンドンの世界から裏ロンドン(リバース・ロンドン)の世界へ移動した。バルゴは新橋が地下へと消えていくのを目の当たりにして、唖然とする。

 

★p18~19

ひびの入った正門を見て「こないだのデカい奴にやられたのまだ直ってないじゃん」「だっさ!!」と愚痴を言う少女(ニニー・スパンコール)が描かれている。ニニーは牡羊座(おひつじ座)の記号が記されたマントを装着している。

正門に上から刺さっているかのような状態でモニターが設置されているが、このモニターの画面はニニーが出演しているCMの動画を流している。CMでニニーが来ているシャツには「CECILE DIE TWICE」とある。ニニーは表ロンドンと裏ロンドンの両方でアイドル活動をしているのだが、そのアイドルグループの名称が「CECILE DIE TWICE」である。

 

★p20

新橋がニニーの前に姿を現す。ニニーは「遅い」と怒るが、新橋は「表(ロンドン)の先輩に絡まれていた」と事情を話す。

 

★p21

本作では、ドラゴンは生物ではなく、表ロンドンと裏ロンドンの両方に存在しているという設定になっている。表と裏のロンドンにおける全死因の72%にドラゴンの存在が関わっているとされ、荒ぶるドラゴンは人に害をなすが、表ロンドンの住人はドラゴンを見ることが出来ない。一方、裏ロンドンの住人はドラゴンを見ることが出来る。

2コマは表ロンドンの風景であり、3コマ目は裏ロンドンの風景だが、大樹の有無などの細部を除けば、表ロンドンと裏ロンドンの建物は共通していることが分かる。

 

★p22

「従って必然的にドラゴンの保護と管理はその街(裏ロンドン)の住人たちの仕事となった」とあるが、裏ロンドンの住人であっても「魔女(ウィッチ)/魔法使い(ウィザード)」以外はドラゴンに接触することが禁じられている。もちろん表ロンドンの住人も接触を禁じられているが、基本的に表ロンドンの住人はドラゴン自体を見ることが出来ないので、ドラゴンの接触が禁じられていることすら知らない。ニニーと新橋は魔女に該当する。

ニニーと新橋は裏ロンドンの自然ドラゴン保護管理機関『ウインド・バインド』(略称:WB)の本部ビルの中に入った。

 

p23

新橋は”笛吹き隊”(パイパーズ)に所属するWB1等保護官であり、ニニーは”笛吹き隊”(パイパーズ)に所属するWB2等保護官である。ニニーは新橋のことを「ニーハ」と呼んでいるが、ニニーと混乱しやすく読解する上では注意が必要。

あと、ニニーは「ノエル(Noel)って男の名前でしょ」と言っているが、厳密にはNoelは男性にも女性にも使われる名前である。

 

★p24

主任が新橋とニニーの前に姿を現す。

2コマ目に「あんたの人生と比べて言ってる?」とあるのは、主任の人生がお世辞にも楽しいものではなかったことを示唆している。

3コマ目の出勤届のNSという印鑑はニニー・スパンコールのイニシャル。

5コマ目の「もしカエルだったら楽しいでしょ」とは「もし君(ニニー)がカエルだったら死ぬほど虫がわいている場所であっても楽しいでしょ」という意味。6コマ目の「そんなもしは存在しませんけど!?」というのは「『もし自分(ニニー)がカエルだったら』などという仮定は絶対にありえないということ」を意味している。このようにニニーはカエルが大嫌いである。ニニーとカエルの関係はドラえもんとネズミの関係と酷似している。

 

★p25

新橋とニニーはナインブルック放牧場へ出発した。3コマ目にオスシちゃんを掲げたバルゴが描かれているが、よく見ると「いなりずし」と書かれたポスターが貼ってある。オスシちゃんの名前の由来は日本料理の「お寿司」である。

 

★p26~27

バルゴは親友のセルビー(になりすましている覆面竜)を自宅に呼び、新橋が地下へと消えたことを話し、そして新橋のパンツが見たいと呟く。

覆面竜の説明はp44にある。

セルビー(になりすましている覆面竜)は「裏ロンドンというのはただのおとぎ話であり、フツーはサンタ(クロース)より先に信じなくなるんだよ」とツッコミを入れるが、この台詞は自分が本物のセルビーでないことを隠すための発言であると見られる。

また、サンタクロースは聖夜(クリスマス)に姿を現すが、ノエル(Noel)には聖夜という意味がある。

 

★p28

新橋とニニーはナインブルック放牧場に到着した。ニニーは田舎があまり好きではないらしく「笛吹き隊じゃなくて戦術隊(サーベルズ)に異動したい」と語るが、新橋は田舎のことを「のどかで良いじゃないですか」と語る。

#2で新橋がプランティ・ポッティという栽培用ドラゴンを愛でていることから分かるように、新橋は自然が好きな性格をしている。

今回の仕事の依頼主が登場したが、依頼主は宇宙服のようなものを装着している。そして、新橋とニニーに「今日は”特A収穫”をたのむよ」と話す。

 

★p29

作中においてドラゴンは「表ロンドンの住人が制御できない異形の総称」と定義されている。

ドラゴンには沢山の種があり、ほぼ全ての種が資源(移動手段、繊維、鉱物、薬品、発電など)として裏ロンドンの住人の生活を支えている。

新橋とニニーが空中を移動する際に使用しているのも「ブルームバギー」というドラゴンである。

 

★p30

ニニーの「日本じゃ問答無用で(ドラゴンを)殺すんでしょ」という台詞は裏ロンドンと日本の空座町(からくらちょう)が東西で繋がっていることを暗示している。なお、新橋は名前と外見からして明らかに日本人なのだが、ロンドン生まれとのこと。

 

★p31

「ドラゴン管理に於ける唯一の、そして絶対のルールがある。(表ロンドンと裏ロンドンの)一般市民は決してドラゴンに接触してはならない。ドラゴンへの直接接触は試験をパスし、WBに所属した魔女/魔法使いと呼ばれる有資格者のみに許可される。このルールはドラゴンと市民の双方を守るために定められたものであり、違反者は禁固100年もしくはー」と解説文がついているが、この文の続きはp42で明かされる。

要するに新橋とニニーは魔女だから、ドラゴンに触れることが許可されているのである。

4コマ目で依頼主が防御服を着ているのはドラゴンとの直接接触を避けるため。

 

★p32

バルゴはセルビー(になりすましている覆面竜)と一緒に、新橋が消えた公衆電話の場所へ移動した。バルゴは「新橋が受話器を取った瞬間に公衆電話の屋根の表示がTELEPHONEからWBに変わった」と証言する。バルゴに「何なんだろうなWBって」と問われてセルビー(になりすましている覆面竜)は「さぁな」と答えているが、おそらくとぼけているだけであり、本当はWBがウインド・バインドの略称であることを知っていると考えられる。

 

★p33

バルゴは「バカ野郎。パンツのことなら今この瞬間も考えて・・・」と叫ぶが、オスシちゃんの体内からダークドラゴンが出現する(厳密にはオスシちゃんという犬はバルゴに拾われる前の段階で死んでおり、その死体の中に覆面竜と呼ばれるドラゴンが入り込んでいた)。

「ドラゴンが人間に接触し続けると、徐々にその人間の持つ負の感情を吸収し、ダークドラゴンと化してしまう」とp40で解説されている。このタイミングでオスシちゃんの入り込んでいたドラゴンがダークドラゴンと化したのは、おそらくバルゴの負の感情(「ノエルちゃんのパンツが見たいのに見られない」という不満など)が一定の量を超えたため。

 

★p34

オスシちゃんの豹変に驚くバルゴ。2コマ目に新橋のスマホの画面が映っており、主任の名前「ビリー・バンクスJr」が表示されている。

 

★p35

新橋のスマホの着メロはアニメ「ドラゴンボール」の各回の冒頭で流れるBGMであり、日本のサブカル文化に対する新橋の親和性の強さを表している。因みに、『BLEACH』最終章では、黒崎一護が「修行の場となった霊王宮」から主戦場へ到着するまでに非常に長い話数と時間を要したというシーンがあるなど、ドラゴンボールのオマージュと見られる描写がある。

主任は新橋とニニーに「今日の収穫の仕事は切り上げて退治の仕事やってくれない?」と依頼する。

 

★p36

笛吹き隊は基本的にドラゴンの資源の収穫を主な業務としており、戦術隊は戦闘行為を主な業務としているようだ。

主任は新橋とニニーに「今日は戦術隊が演習で全員北部に出払っているから、代わりにダークドラゴン退治の仕事をしてほしい」と話す。

 

★p37~38

ニニーは成果を上げて戦術隊に異動したいという一心で、そのオファーを快諾する。表ロンドンと裏ロンドンを行き来する手段としてはフォンルートとコインルートなどがあり、二人はコインルートで表ロンドンのサウス・ブラクストンへと向かった。

 

★p39

ダークドラゴンに迫られて慌てるバルゴとセルビー(になりすましている覆面竜)。セルビー(になりすましている覆面竜)はダークドラゴンが見えないかのようなことを話しているが、その台詞が虚言でない保証はない。

 

★p40

新橋とニニーがコインルートを通って、サウス・ブラクストンに到着した。

 

★p41

「ダークドラゴンは知能が高く、その多くは人語を操る」との解説文がある。ダークドラゴンは「ノエルチャン…パンツミセテエ~!!!」と叫び、新橋が赤面する。

 

★p42

新橋は「バルゴが近くにいるに違いない」と察し、バルゴを見つけて「貴方は禁固100年か死刑になる」と叫ぶ。バルゴは新橋が空を飛んでいるのを見て驚く。

 

★p43

1コマ目のニニーの「あれが例の”表の先輩”ね」という台詞はp20にかかっている。新橋の頬が赤くなっている。

2コマ目で新橋は「規則に従って殺します」と叫ぶが、ニニーは「まあ待ちなって」「あの(バルゴが)抱えている毛皮に見覚えは?」と言いながら、新橋の肩を自分の右手で押さえつけている。この「毛皮」という表現は「オスシちゃんの死体から出てきたダークドラゴンが覆面竜であることをニニーが察知していること」を表している。

3コマ目は新橋の視点からバルゴと「オスシちゃんの毛皮」を眺めている構図となっている。

4コマ目の新橋の表情はどこか悲しげな雰囲気を出している。

5~7コマ目で新橋はニニーに「あれは2か月前にバルゴさんが拾った子犬」と説明する。ニニーは「覆面竜(ディスガイザー)か」と呟く。

ディスガイザー(disguiser)は「変装させる人・偽装させる人」という意味。

 

★p44

1コマ目でノエルは「初めて聞きます」と言う。ニニーは「死体を被ってそのものになりすますドラゴンよ。あまり見ない。18世紀までウヨウヨいたけど街が綺麗になって減ったって聞いてる」と説明する。→このコマとp43の描写を読む限り、読切版では「新橋よりもニニーの方が先輩」という設定が色濃いようだ。

 

2~5コマ目においてバルゴは覆面竜について詳しく知らないため、いまバルゴ自身が抱えている物体がオスシちゃんの死体であることに気づいていない。一方、セルビー(になりすましている覆面竜)はバルゴの幼馴染であり、表ロンドンの住人なはずなのに、何故かバルゴが抱えている物体がオスシちゃんの死体であることを知っている。これは、「本物のセルビーは既に死んでおり、セルビーの死体の中に(オスシちゃんの死体の中に入り込んだ覆面竜とは別の)覆面竜が入り込んでいて、その覆面竜がセルビーになりすましていること」の伏線となっている。この伏線はp48で回収される。

 

6コマ目で二人は以下の会話を繰り広げる。

 

ニニー「安全第一!とりあえず あの2人確保するわよ」

新橋「バルゴさん死刑ですか」

ニニー「それはあたしたちが決めることじゃないわ」

 

「あの2人」という部分から、この時点ではニニーがまだセルビーの正体に気づいていないことが分かる。

 

 

★p45

セルビーがバルゴから離れ、逃げ始める。

ニニーはセルビーを掴もうとする。

 

★p46

1コマ目で、新橋がp40でも出てきた「ドラゴンの位置を表示するスマホのセンサー」から、セルビーの正体が覆面竜であることに気づき、ニニーに警告する。

2コマ目で、セルビーの死体からダークドラゴンが出現している。

 

★p47

セルビーの死体から出現した覆面竜がニニーを襲い、ニニーは腕を怪我する。

この覆面竜は「・・・・・・ちぇ何だよ1人ずつバラして殺すつもりだったのにな」と語る。

この台詞は「新橋とニニーを離れさせて、二人の魔女を散り散りにさせてから、魔女を殺すつもりだった」という意味。

因みに、オスシちゃんの死体から出現した方の覆面竜はp67の2コマ目まで登場してこないので注意。

 

★p48

この覆面竜はバルゴに「自分はセルビーではなく、セルビーになりすましていた覆面竜である」と告げる。

 

★p49

しかしバルゴはその事実を飲み込むことが出来ず、まだこの覆面竜に対して「セルビー」と呼んでいる。

この覆面竜は「さっさと逃げろよバルゴ」「お前を殺したいわけじゃねえ」「俺は魔女を喰らって不死身になりてえだけだ」と叫ぶが、ニニーは「悪いけどそれ迷信だから」と否定する。しかし、覆面竜は「喰ってみなきゃわかんねえだろ」と言いながら、ニニーに攻撃を続ける。

 

★p50

新橋がニニーの腕を掴み、空中へ避難させる。新橋は「バルゴとセルビーが7歳のときに列車に轢かれかける事故に遭っていたこと」を話す。その際にセルビーはバルゴをかばって大けがを負ったのだと言う。

要するに、この列車事故のときにセルビーは死んでいて、その死体の中に覆面竜が入り込んだということ。

 

★p51~52

ニニーはこの覆面竜が10年間、街に紛れて人に触れ続けていたことに驚く。

そのとき、覆面竜が二人を襲う。新橋はブルームバギーに乗り続けることが出来たが、ニニーは地面へ落下してしまう。

p47にあるように覆面竜の目的は「新橋とニニーを離れさせて、魔女を一人ずつ殺していくこと」。

 

★p53

ニニーの落下地点の近くにバルゴが座っていた。

バルゴは「セルビーの死体からダークドラゴンが出現した地点」からほとんど移動していなかった。

バルゴはニニーの名前を知らないので、ニニーのことを「ノエルちゃんの友達の人」と呼ぶ。

ニニーはバルゴに「早く逃げろ」というが、バルゴは「ごめん…何ていうかその・・・置いていけなくて」と呟き、逃げようとしない。

すると、覆面竜がニニーとバルゴの前に現れ、「置いてけよ」と語り掛ける。

「オスシちゃんはドラゴンだったし、その女(ニニー)は今から俺が喰うんだ。置いてけ。ニイハシを置いてけねえなら、もう少し待ってろ。そいつを喰えたとこで不死身になれたらニイハシは見逃してやってもいい」と言いながら、覆面竜はニニーに向かって攻撃する。

 

★p54

ニニーをかばうバルゴ。

 

p55

激痛に悲鳴をあげるバルゴ。バルゴは「お前(覆面竜)に噛まれている間はお前の姿見えるんだな」「カオ怖ええええ!!!」と叫ぶ。覆面竜は「バルゴはニニーか新橋かのどちらかを置いていけないのだろう」と考え、「何してんだよバルゴ」「会ったばかりでその女(ニニー)に惚れたのか?」「だったら悪いがその女は諦めろ」と語る。

 

★p56

だが、バルゴが置いていけないのはニニーや新橋ではなく、10年近くセルビーになりすましていた覆面竜の方であった。

バルゴは「7つの時に入れ替わってたってことか・・・?」「じゃあそのあとの10年はお前だったんだろ・・・?」「だったら・・・本物のセルビーよりセルビーやっている期間長いじゃんかよ・・・」「俺がにぶいだけかもしんないけどさ・・・」と言う。

 

★p57

そして「7つより前も・・・そっから後もお前はずっと優しかったよ・・・俺はずっとお前を親友だと思っていたよ・・・」「そのお前が人を喰うって言ってんのにだまって置いてけるわけねえだろ!!!」と叫ぶ。

 

★p58

それを聞いた覆面竜は「・・・・・・何だよ・・・言葉が通じねえなら死ね」と叫び、バルゴに攻撃をしようとする。

そのとき、新橋が手と足を使って覆面竜に反撃をした。

 

★p59~60

覆面竜に体を向け、バルゴに背を向けたまま新橋は「バルゴさん・・・今のはちょっとカッコ良かったです」と言う。

 

★p61

新橋は「バルゴさんの気持ち受け取りました」と呟き、魔器を覆面竜に向ける。

 

★p62

そして「対竜絶対殺害砲(アブソリュート・ドラゴン・シャッター)!!!」という必殺技を炸裂させ、覆面竜を瞬殺した。

 

★p63

ドチャンという効果音とともに落下しているのは覆面竜の眼球だと思われる。

 

★p64

バルゴは「えウソでしょ殺した!?」「今ちょっとグッときたから殺さない流れじゃなかった!?」と拍子抜けするが、ニニーは「そんな流れにいつなったのよ」「ハイ終わり終わり」「ダークドラゴンは殺す!それがルール!お仕事終了!おっつー」と言い捨てる。

4コマ目の中央にあるWB本社ビルを更にズームさせたのが5コマ目。

4コマ目の「え~~~」はおそらくバルゴの叫び声で、ファンファンファンやウーといった効果音はおそらくブルームバギーの鳴き声。

5コマ目の「え~~~」はニニーの叫び声。

 

★p65

主任は新橋とニニーをサウス・ブラクストンに派遣したセンスが評価されて戦術隊に異動することになった。

4コマ目でニニーが悔しがっているのは、ニニー自身が入りたくてたまらない戦術隊に、よりによって主任が異動することとなったから。

 

★p66

バルゴは10年近くドラゴンに接し続けた上にそのドラゴンに噛まれた結果、ドラゴン憑きになってしまった。魔女/魔法使いでない人間がドラゴンと接触した場合は、ドラゴン接触罪で禁固100年か死刑が科せられるのだが、ドラゴン憑きは生物学上、人間ではなくドラゴンと分類されるため、バルゴはドラゴン接触罪に問われずに済んだ。

主任は新橋とニニーに「バルゴ君はウチで保護することになったんで、あとはよろしく」と告げる。

バルゴの首には首輪が装着されており、新橋がその首輪の縄を握っている。

 

★p67

2コマ目でオスシちゃんが再登場。

3コマ目でニニーは主任に「ビリーあんたねえ・・」と問い詰めるため主任を追いかけるが、一方のオスシちゃんは新橋を見つめている。

そして、4コマ目でオスシちゃんは「ノエルちゃんパンツみせて」と新橋におねだりする。

 

★p68

ニニーがp18で「こないだのデカい奴にやられたのまだ直ってないじゃん」といっていた正門がようやく修復され、「S・S・W・B」という紋章と「SOUL SOCIETY WEST BRANCH」という看板が復旧されている。

つまり、「S・S・W・B」というのは「尸魂界・西梢局(ソウル・ソサエティ・ウエスト・ブランチ)」のことであった。

しかし、復旧工事が完了した直後にブルームバギーに乗った新橋によって、その正門が破壊されてしまう。

 

p69

新橋は「待ってくださいバルゴさん!オスシちゃんを黙らせます!!」と叫びながら、頭にオスシちゃんを抱えたまま逃走しつづけるバルゴを追いかけ回している。最後のコマで「BURN THE WITCH」というタイトルに「BLEACH」が隠されていることが明かされている。

最後のコマをよく見ると、新橋のパンツのようなものが文字に覆い隠されているようにして辛うじて見えるとの声があがっているが、低俗で安直な成人向け漫画のように露骨にメインヒロインの下着を読者に見せつけるのではなく、見えるか見えないか分からないほど、さりげなく「メインキャラクターであるバルゴがずっと見たがっていたもの」を見せる(魅せる)というのは非常にセンスのある表現技法と言えるのではないだろうか。

 

★総評

「BURN THE WITCH」というタイトルに「BLEACH」というメッセージが隠されているように、新橋(にいはし)という人名に黒崎一護のメッセージが含まれている可能性がある。「に→2」「い→1」「は→8」「し→4」という四つの数字を足すと15となり、黒崎一護を象徴する数字「15」と一致する。

また、ニニーは新橋のことを二ーハと呼ぶが、ニニーを「22」と変換し、ニーハ(「ニーハ」という言い回しは「にいはし」に由来するので、2184から4を取り除いて考える)を「218」と変換した上で、足し算すると2+2+2+1+8=15となる。