君が1人で居る夜は
なんだかいつも
雨が降っているね

精気が失われたその瞳に
涙が浮かぶ日が無くなってからかな…

ありきたりな台詞だけど
"君の代わりに空が泣いている"
きっと
その通りだね…

決して
涙が枯れたワケぢゃない事は分かってる
決して
泣くのを我慢してるワケぢゃない事も
分かってる


感情豊かな君の波
なのに
楽しいハズのその波に
乗ること出来ず沈むのは
いつだって君

蝋に覆われた君は
まるで人形みたいに笑ってる
蝋で固まった君は
まるで命尽きたかの様に
冷えている

本当にただの
創りモノみたいに…

でもね
その目の奥に
今にも吹き出しそうな
窮屈さに耐えられずもがいてる
温かい水溜まりを
感じるんだ

君自身が一番よく知っている
その水の濁りも
だから綺麗な
その輝きも…

涙腺…詰まったかな…
どうすれば
その瞳をもう一度
潤す事が出来るかな…

それとも君は
流れが止まったワケを
知っているのかな…

苦しいはずのその胸は
蝋に囚われ泣いている
誰にも気付かれまいと
人形と化してしまった君は
1人の時すら…


涙を流したくても
出せないんだ…

泣く事よりもきっと
ずっとずっと辛いね…

でもね
空はやっぱり優しいから
空はいつでも味方だから

だから
君が泣けない1人の夜は
君が泣きたい1人の夜に

空が代わりに泣いている…

きっと君も気付いてるんだね
だって雨の日は必ず
君1人空を仰ぎ
その潤いを
その温もりを
全身で感じてる

その時の君は
固められた蝋ではなく
ありのままの情熱を纏ってる

その時は君も
心の底から
解き放たれてるんだよね…?

そんな君に
空はいつでも微笑んでる
そんな空はいつだって
君を包んでる

だから
大丈夫だよね…きっと…

その日を示され
告げられたあの日
喜は悲と共にやってきた

絡み合う真実が
ワケを差し出しては
掴む手さえも
光と共に消えてゆく

願いは何処へ

拒んでは羨むそのドラマ
一体君は
どんな隠れ家を持ってるの?

一体君は
何処で僕を見付けたの?

その日君は
何を想い現れたの…

君が知るはずもないこの事実
いつだってそうだ
知っているのは…

ときめく胸は君ぢゃなく
輝く瞳はただの飾り
飛び出す言葉に
本音のカケラも入ってない…

そんな出会いをいつまで
そんな茶番をいつまで
繰り返したら僕は
誰かの肩に寄り添える

期待に浮かぶ笑みすらも
ただの遊びと萎える日も
笑える様になったのは
全てを受け入れたのか
それとも
全てを投げ出したのか…

ワケが解らず迷い流した日々
今となっては
そんな日々が羨ましい…
今となっては
そんな日々にはきっと
生きた心地が存在してた…

どっち付かずの感情は
ただただ僕を道連れに
どっち付かずの魂は
ひたすら僕に
血を送る…

そんな僕を見つけた後で

君はその日にやってきた
知らずにただ…笑ってた
だから僕も笑うよ

君の鏡になれるよう
物知り箱にはフタをして
見える窓には目隠しをして
ただただ僕も
笑うよ

君が"その日"に現れたから…

もう僕は
何でもいいんだ

そうぢゃないと
潰れてしまうから
泣いてしまうから

言い聞かせれば
大丈夫なんだ

だから君に笑うよ

だって君が
"その日"に現れたから…

狙われたこの胸
放たれたその矢
打ち砕かれるクロス

何処かの誰かが叫んでる
静寂な闇に覆われて

いつだったかな
毒の盛られたリンゴを
疑いもせず食べたのは

何処だったかな
眠り続けた木の上で
キスで目覚めたあの森は

陽がまた昇り
朝のフリした暗闇で
小鳥が小耳に挟まれる

爪を伸ばした狼が
壺を火にかけ回してる
溺れる羊は安らかに
呑まれる輪廻は隠し味
喰える魂激情へ

狙い打つクロス
頭上のリンゴは砕け散り
滴る果汁は地に染みる

いつだったかな
眠れずボヤいた芝の上
鼠を追いかけ穴に落ちたのは

何処だったかな
躍り狂った卑猥な夜に
ガラスを捨てたあの階段

陽はまた沈み
夜のフリした明るみで
狸は狐に噛み付かれる

深爪気にする小人達
姫を眠らせ囲ってる
腐れる美女は穏やかに
妖気な歌は挑戦状
燃える火種は闇の奥へ

狙い放ったクロスの矢
足元ガラスは砕け散り
滴るワインに胸が酔う
刺さった王子は…不感症

いかれ狂うこの見開き
捲るページの冷たい風に
お腹を壊し額は熱く
それでも続ける読み聞かせ

笑いも
涙も
溜め息も
どれも止まらぬこの物語…
されど変わらぬこの表情…

狙われたこの胸
放たれたその矢
打ち砕かれるクロス

何処かの誰かが叫んでる
静寂な闇に覆われて

いつになく…無表情で…