前回、知らないままの方が幸せだった。ずっと知らないままでいさせてほしかったと思ったという話を書いた
なんでも知っておきたい人もいるが、私は知らなくても気にならないタイプだ。
優しい嘘をついてほしいタイプなのだ。
それを部下であるO君には常々言っている。
にもかかわらず、O君は全て正直に打ち明けてくるのだ。
この間も会社の花壇に花を植えるためにボランティアの男性が来てくれたので、総務部の私は慌てて手伝いに行かねばと軍手をはめながらO君にも
「ちょっと一緒に手伝いにきて‼️」と声をかけた。
O君は
「えー😔」と難色を示していたが私は無視して部屋を出た。
ところがいつまでたってもO君はこない。結局最後まで現れず、部屋に戻るとまだ席で仕事をしていた
「なんでこなかったの?仕事いそがしかったん?」
と私が聞くとO君は神妙な顔して
「実は、今日持ってる靴の中で一番良い靴を履いてたんです。花壇に入って泥だらけになりたくなかったんです」と言ったのだ。
「はぁ⁉️」
私はスゥと息をすうと腰に手を当ててO君の横に立つとそのまま怒涛の勢いでO君を叱りつけた。
「あのさぁ、なんでそこでホンマの事いうわけ⁉️仕事忙しかったんかって助け舟出してるやん‼️そうなんですでええやん‼️それが大人の付き合いってもんやん‼️なんでも正直に言えばいいってもんちゃうねん。ホンマの事をいうなー‼️」
人生で嘘をつくなと怒ることはあっても、よもや嘘をつけと怒ることがあるとは思わなかったぜと
「ホンマあんたは私が上司で良かったよなー」と嫌味たっぷりでそう言うとO君はこくりとうなづき
「確かに良かったです」と言った。
きっとそれも本当の事なので、結局私はいつものごとく笑ってしまい、O君の馬鹿正直な性格は治ることはないのだった。