ずっと前から夫が行きたがっていた福岡大名ガーデンシティに行った。
福岡市の再開発事業「天神ビッグバン」の対象の一つである再開発エリア。
ちょうど一年前に全面オープンした。
夫はこういう再開発系が大好き。
街が大きく新しくなることや、道路や鉄道が整備されることに興味を示す。
私にはあまり理解できないのだけど。
西通りから明治通りへ。
手前はずっと昔からある西鉄グランドホテル、
奥が再開発の一環、ザ・リッツ・カールトン福岡。
私は20代後半から30代前半、天神で働いていた。
東京に比べると低いビルばかりで、それが福岡の程よい田舎っぽさを表しているようで好きだった。
「空港が近いけん高い建物が建てられんのよね~」、という航空法の規制も何かにつけ出る話題で、なんとなくそれを楽しく思っていた。
でも、今は昔。
国家戦略特区になった福岡市、規制緩和され、あらゆる場所で再開発は進んでいる。
古いものがなくなり、街の様子が変わっていく。
複合ビルの間を抜け、ガーデンシティ・パークへ。
芝生のエリアは大名小学校の校庭だったところ。
奥の白い建物は、廃校になった大名小学校の校舎。↓
Fukuoka Growth Nextというスタートアップ企業支援の施設になっていた。
あちこち見て回ってる夫。
私はまだあまり体調が良くなかったので、日傘をさしてベンチで休む。
休みながら、さっき通り過ぎた西鉄グランドホテルの1階にあったラウンジカフェの思い出が頭に浮かぶ。
私が30歳頃。
勤務先に、本社から新人の女の子Kさんが着任した。
明るく朗らかで、スラっと細身の可愛らしい子。
私が転職で入ったその会社は、退社は終電時刻ギリギリの(もしくは過ぎる)サービス残業が日常茶飯事だった。
今でいうブラック企業、やりがい搾取企業だ。
Kさんが着任してしばらく経ったある日、理由は忘れたけど、
「今日はもう、残業しないで帰ろう!」
ということにした。
まだ明るい夕方の空気を新鮮に感じつつ、Kさんと一緒に駅まで歩きながら、
「ね、せっかく早いからお茶しない?」
と誘ってみた。
パッと顔を輝かせ、
「やった!嬉しい!」、と、Kさん。
一応上司だった私は、少し背伸びした気分で、西鉄グランドホテルのそのカフェに連れて行った。
多分、ジュースか紅茶を飲んだだけだったと思う。
けど、Kさんは、
「こんな素敵な所に仕事帰りに連れてきてもらえるなんて!」
「私、社会人になったんだ~、って感じがします!」
と、すごく喜んでくれた。
西通りに面した大きなガラス窓。
人の流れを見ながら、たくさん話をして、たくさん笑った。
ブラック企業のブラックな愚痴は出てこず、前向きなKさん。
朗らかな笑顔、品の良い明るさを持った子だった。
・・・と、ただこれだけの話。
オチはありません、ごめんなさい。
西鉄グランドホテルを見ると、いつもこの日のことを思い出す。
ブラックな組織の中、小さな正義の足場を作ろうと一生懸命だった若い自分とKさんがそこにいる。
その後グランドホテルは何度も改装され、西通りに面した大きなガラス窓のカフェはもうない。
満足した夫と合流して、早めのランチへ。
麺の店。
ミシュラン一つ星のお店の新業態?とか。
前菜。
夫が頼んだカルボナーラつけ麺。
私のポルチーニ麺。
この後、それぞれに白ご飯が出てくる。
スープにご飯とチーズを入れ、リゾット風にいただくのだ。
・・・正直・・・、私も夫も、好みではなかった。
これが人気があるのか・・・
理解できない私たちは、現代人ではないのかも。
(前菜の何品かと、お鍋で炊いた白ご飯は美味しかった)
福岡ガーデンシティ、いろんな意味で、過去と未来を行き来したようなひと時だった。