ベテランとは経験を積み、その経験から学び、この場合はこう。
あの場合はこう。
と、臨機応変な態度で行動することが出来る。

その代わりルーキーは、
ベテランに比べ経験が少ないため、初めての場合ミスをしてしまったり、戸惑ってしまうことがある。
しかし、皆それを乗り越えベテランになっていく。

今日はそんな話である。

私はユザワヤが大好きだ。
布や、ペンキや、画材、なにこれ!?と言うものまで幅広い商品を扱っているのが魅力的だ。

専門学生の頃、アニマル柄のファー素材の布を買いに行った。

ユザワヤの仕組みは、まず巻物状になった布を自分が欲しい分だけ布切り係のスタッフに切ってもらい、

それをレジに持って行く流れである。


いつも混んでいるので、布切りはけっこう並ばないといけない。

私の目の前の女性が、
「1メートルお願いします」
とスタッフのおばちゃんに言うと、
おばちゃんは、長さを計ってからまず、チョンとだけハサミを布に入れ、そこからまっすぐ布を手で切った。

私はハサミでチョキチョキ切っていくものだとばかり思っていたので、
「おお!こうやるのか!素早い!」
と、感心した。

そして私の番になると、そのおばちゃんと代わり、
若い女の子のスタッフが来た。

私が
「20センチください」
と言うと、
若いスタッフの子は、
長さを計り、先程と同じ様にハサミをチョンと入れ、
両手で布を引っ張り切ろうとすると、
「ビシャアァァァァァー!!!」
と周りが焦るぐらいの音を立て、
アニマル柄の布を、
無惨にバラバラに引き千切った。

目の前の光景に度肝を抜かれていると、
横にいたスタッフのおばちゃんが、
「ちょっと!あんた!!その布はそれやっちゃダメだよ!!」

ファー素材には、あの技は御法度らしい。
「申し訳ありません!」
と謝られ、新しく布をチョキチョキ切ってくれた。


場数を踏むごとに増していく経験値。

彼女にはこれを足場にして頑張ってもらいたいと思った。







電車に乗っていると飲み帰りのオヤジ達がちょうどご機嫌になっているところと出くわす。

彼らも酔っているので、いつもしょうもない話ばかりしている。

何個か挙げていくと、
サラリーマン2人とOLさん1人の三人組の会話
「オレ、明日早いんだよなー」
「あー、大変ですねー」
「おまえ、朝弱いよなー」
「そうなんすよ、佐藤さん朝強いですよね!」
「おれ、朝も強いけど、
 夜も強いよ!!ガハハハ!!」
「やだー佐藤さーん」



めっちゃしょうもなくて、大変くだらないのである。


次に目撃したのは、

「今年どこが勝つんすかねー」
「阪神タイガース頑張ってくれないかなー」
「伊藤さんどこ応援してるんすか?」
「おれなんか下半身タイガースだからね!!ガハハハ」



オヤジたちはもう思い付いたら言いたいのである。
守るものも捨てるものもなくなった彼らは強い。

踏んできた場数が違うのである。

あの若者達の恥じらいと、「どう?こんなに堂々と下ネタも言えちゃうんだぜ?」的なセクハラ感がなく、
逆に爽やか感がある。

そして、破壊力がすごい。

オヤジ達の下ネタには学ぶべきギャグセンスが凝縮されていると私は思う。






これも私が幼稚園の年長の5歳の時の話。


それは幼稚園の給食の時間に起きた出来事である。

その日、給食にはハンバーグが出た。
子供に人気のメニューである。

私もハンバーグにかぶりついていたところ、
誤ってハンバーグを床に落としてしまった。

ちなみに床はカーペット等ではなく普通の板の間。


幼稚園児の私にとってはクラスの先生が絶対的な存在である。

まずは先生に報告をして、そのハンバーグの処分方法を尋ねなければならない。

普通ゴミかもしれないし、生ゴミ専用ゴミ箱があるかもしれないし、何かに包んで捨てなくてはいけないかもしれない。


そして、シャイガールだった私は意を決して先生に
「先生、ハンバーグ落としちゃいました。どうすればいいですか?」
と尋ねた。


すると、クラスの担任のくみこ先生は
「洗って食べなさい」
と言った。


想像していなかった答えが返ってきたので、
「何で洗えばいいですか?」
と、もう一度聞くと、


「あそこの水道で洗って食べなさい」
と言われた。


5歳ぐらいだと、まだ世間の常識がきちんとインプットされていないので、
これは合っている。間違っているの判断があやふやである。
なので、
それが、正しい答えなのか、間違っているのか、その時の私は判断出来なかったが、

かなり、嫌だ
と思った。

しかし、先生の言うことは絶対なので、
教室の水道でハンバーグを洗い、
先生に
「洗ってきました。」
と報告すると、
「じゃあ食べなさい。」
と言われたので、
席に戻ってハンバーグを食べ始めると、
未だに忘れられないハンバーグの味がした。

水味。
ソースも何もかも洗い流され、少し、水をはらんでいる。

おかしいのかな、なんだろうな、
普通洗うのかな
と考えながら、給食の時間は終わることになった。


今なら、わかる。
ハンバーグは水で洗うものではない。