『黄昏』 On Golden Pond・ 人生のたそがれは静かに輝く・1982年度 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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懐かしい名画、最近の気になる映画のことを書いています。

好きなのは戦前のフランス映画です。

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『  黄昏 』


原題はOn Golden Pond、ー---同じ黄昏という題でウイリアム・ワイラー監督作品がありますが

   こちらは原題が「carrie」です。ー---


本作品は
ヘンリー・フオンダとキャサリン・ヘップバーン、そしてジェーン・フオンダの共演

 

まずはストーリーから



 ニュージャージー州の通称ゴールデン・ポンドと呼ばれる池の側にある別荘に

長年連れ添った老夫婦の夫ノーマンと

妻エセルがやって来る。


二人は半年ぶりの池に向かって背伸びをする。


”見て、ノーマン、アビよ 私たちに挨拶をしているわ。”


アビとはこの池に住む鳥で、湖面をゆったりと泳いでいる。

ノーマン達が見かけるアビはいつもつがいだ。


エセルは森へ薪を集めに出かけた。ノーマンは家の中をゆっくりと回った。



もうすぐ80歳に達するノーマン。


このところ体力だけでなく、記憶力の衰え、判断力の衰えと妻エセルはノーマンから目が離せない。


おまけに頑固で人の話は聞かないし、減らず口は目いっぱい叩く。


身体的にはエセルはニトログリセリンを用意している。


そんな夫をエセルはなんとか気丈に支えている。


ノーマンはエセルに言われて森にイチゴを摘みに出かけた。


途中で森の中にいるのが怖くなりパニックになり、出口もわからなくなった。

何とか帰ってきたものの、容器の中は空っぽ。ノーマンはエセルに聞かれて食べたと嘘をつく。

そういう頭は回るようだ。


郵便配達人のチャーリーがメイルボートでやってくる。娘のチェルシーから

手紙が届いたようだ。

彼もノーマンの毒舌の餌食だが、そこは心得たもの。長い付き合いだ。

ノーマンはこのところ死について非常に敏感になっていて、

エセルは何とか気力を持たせようと懸命。


人生の黄昏をどう乗り越えるか、どう感じるか、どう向き合うか、

今のところ

ノーマンとエセルは一体ではない。

だが会話や、議論は盛んで、エセルも舵の取り方を考察中だ。


 ノーマンの80歳の誕生日に、

 

娘のチェルシーが、

婚約者の歯科医ビルと彼の連れ子である13歳の少年ビリーを連れて

別荘にやって来た。

 



しかし、ノーマンとチェルシーの間には長年、確執があり、二人は会うといつもお互いに毒舌の応酬だ。

今回も、2人は久しぶりに会うというのに、エセルの気遣いも効果なく、話がかみ合わない二人だ。


偏屈なノーマンは、子供の扱い方も不得手。

生意気なビリーとの間もなんかギクシャク、行き違い、思い違いがあってうまくいかない。



”80歳だって?” 

 ”聞いたのか?” 

 ”すごく年だな?”

”わたしの親に会ってみるか?”  

 ”生きてるの?僕も13歳になったばかりだ”

ノーマン”まるで双子だな”とすまして言う。


婚約者のビルは聡明な人のようでエセルは安心。

ノーマンと話すビルはなんとか、ノーマンと打ち解けたいと会話を弾ませようとする。



ビルはノーマンに言う。

”あなたの毒舌はそのままでもいい。

何を言いたいか僕は見抜けるから

そのままでいい。

だけど、分かり合えないだろう。

でもあなたは魅力的な人だ”


そして、チェルシーはせっかく来たのに、心が穏やかではない。

いつまでも昔おデブちゃんと言って接してきたままの扱いをするノーマンに腹が立つ。


これはどちらがどうというよりも父親は人を言い負かすのが好き、娘は人に負けるのがいや。

チェルシーに言わせれば、”父親はいつも威圧的で母エセルはわたしの味方もしない。

長年苦しんできたのは事実のようだ。

だが、つまりに似た者同士なのだ。

父は人の顔色を見ない人、

娘は子供のころから

 

父親の顔色ばかり見てきたようだ。


木陰で、エセルはチェルシーに言った。

喧嘩腰でノーマンに対するあなたは魅力的ではないわ。

過ぎ去ったことをいつまでも言って何になるの?人生を無駄にしないでと諭す。

光り輝く湖面は全部見ているよう。



ビルはビリーにノーマンと話せと言う。ビリーはあんな口うるさい年寄りと話すなんて嫌だと答えるが、

ビルは”話すんだ なにか学べるかもしれない。”


別れた前夫人がビリーを放任していたようで、ビルはどうにかしてビリーをもう少しましな子供にしたい。


チェルシーとビルはビリーを一か月老夫婦に預かってもらうことになり、ヨーロッパ旅行へと出かけて行った。


残ったビリーは相変わらず生意気な口を利く。

ところが、ノーマンの毒舌がビリーを目覚めさせていくのに役立つよう。


エンジン付きのボートはノーマンの釣り用だ。

三人で魚釣りに出かける。



この池にはボスがいるそう。ウオルターと名付けている。


ノーマンがマス釣りに誘ったことで、釣りを教えながら、

二人の間はいつしか距離を縮めていった。


ここは湖というより池か沼に近い雰囲気。

黄金色に輝く夕べは見事な眺めである。

水面をゆったりと泳ぐ アビ という名の番い(つがい)の鳥はまるでノーマンとエセルを象徴するようにゆったり

ゆったり。


ある日の釣りでノーマンはとっておきの場所にボートを移動させ座礁。

ボートは壊れ水の中に投げ出される。

そして、家では暖炉の火を点けていて火事を起こしそうになったノーマン。

老いというもの嫌というほど感じざるを得ない。がそんなノーマンを見てビリーは労わることを学んでいるのですね。



そうやって日は過ぎてゆき、チェルシーが帰ってきます。

今度はビリーとノーマンが仲よくったことが気に入らないチェルシー。


二人は
ついにウオルターを釣り上げます。

 

でも逃がしてやるのですね。


チェルシーはノーマンを受け入れることが出来るのか・・・



金色に輝く湖面が、頑なな父、娘の心を溶かし、少年の成長をも促した。

ひと夏に綴られた人生のほんの一ページ。

 

親子三人は再会を約束して帰っていった。




さて、自分達も帰る準備をしていて、
ノーマンは心臓発作を起こしますがエセルの機転でニトロが役に立ちました。



”湖に別れを告げてくるか・・・見ろ アビが別れを告げにきているぞ。”

もう、木々は紅葉を始めています。

”ヒナは成長してロスにでも飛んで行ったんだろう・・”とノーマン。 娘のことですね。

湖は黄金色に輝き始めました・・・・・




湖面に向かって老夫婦は 今をどう生きるか・・・今を受け入れる。。。


さらばえていく老いもあれば、その老いが人を育てるという役目もある。

老夫婦も黄昏、池も黄昏て主役を担っている。アビも黄昏て主役を担っている。


池の黄昏が人生を抽象的に表して素晴らしい。




監督    マーク・ライデル  (11人のカウボーイ)が好きです。




キャスト

  エセル     キャサリン・ヘプバーン

  ノーマン    ヘンリー・フオンダ

  チェルシイー  ジェーン・フオンダ

  ビリー     ダグ・マッケオン

  ビル      ダブニー・コールマン

  
私生活のでのこの父娘は実際に確執があった。この作品の共演に当たっては色々あっただろうが

なんとか理解し得たようです。


1982年のアカデミー賞では、

キャサリン・ヘップバーン四度目の主演女優賞。



ヘンリー・フオンダはここにきてやっと主演男優賞を獲得しました。

 

 

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