『マリア.ブラウンの結婚』・戦後のドイツをしたたかに生きる ・1978年度 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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『マリア.ブラウンの結婚』

 

        

 

 


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第二次世界大戦末期のドイツ。混乱の中でヘルマンと永遠の愛を誓ったマリア。

運命に翻弄されたのか、自らの意志で選んだ人生なのか。

戦後のドイツの復興の形を、逞しく生き抜いた女性の姿を通して、生き生きと描き

ファスビターの名を世界に知らしめ大ブレイクしたとっておきの女性映画です。

ヴイム・ヴアンダースの(パリ・テキサス)と共に、ニュー・ジャーマン・シネマの代表作となった。


大まかな物語を


ヒトラー政権末期、マリアとヘルマンが、

役所で結婚証明書に記載しているところに、アメリカ軍の爆撃が・・・

書類が花のように空を舞い、二人は必至で自分たちの紙を離すまいと

俯せになってサインした。



たった一日半一緒に暮らしただけで、夫は前線に行ってしまう。

 

戦争が終わっても夫は待っても待っても帰らない。死んだのか生きているのか

 

行方不明のままだ。プラカードを背に負って駅へ何度も何度も行っては待った。

 

そうしているうちに、女友達のヴイリーからヘルマンの死を知らされる。

 

マリアは母親と暮らしているが、戦後の食糧不足、暖をとるものもなく、家財を少しづつ処分しては

 

生計をたてていた。

 

 

少しでもお金を稼ごうとアメリカ人専用のバーで雇ってもらう。

 

そこで知合った黒人に近づき誘惑して英語を覚えていくのだった。

 

そして妊娠。

 

 

ある日、二人が部屋に一緒にいるところを扉の陰から窺っている男がいた。

 

ヘルマンである。生きていたのだ。

 

唖然とするマリアだったが二人がもみ合っているところにマリアはビール瓶で

 

黒人を殴り殺してしまう。

 



ヘルマンは妻の身代りとなって刑に服すのだった。



ヘルマンを愛するマリアは彼が出所してきた時のことを夢見ながら、

より金を稼ごうと考え、懇意にしている町医者を訪ね、お腹の子を始末するのだった。

 




自由の身となったマリアは次のステップへと進む。

金持ちがよく利用する列車で空いた車両・・・コンパートメントのような車両に中年の男が

一人だけ乗っていた。

どうやって近づくのか・・・

男はフランス人で織物商の社長でオズワルドと名乗った。

マリアはすべて計算づくで男の気を引く。

マリアは特に男好きでもない。

英語が話せる武器、大胆な経営方針をオズに吹き込む。

オズはマリアに関心を抱いた。マリアは通訳として雇われた。


オズは     ”どこで英語を覚えた??”

マリアは    ”ベッドの中で”

そして彼女はよく働いた。仕事に魅力も感じた。頭は切れる。

 



自分の働きに見合った給料をオズワルドに求めながら彼と深い仲になっていった。


しかし、これもマリアの中での計算上の一部で情や欲に駆られてのことではなかった。

愛があってこうなったのではないとはっきりとオズに伝えた。

自分は夫を心底、愛していると。

そして、刑務所で面会したヘルマンにもオズと関係を持っていることを伝えた。


それをマリアの潔さと感じてオズはますますマリアに惚れていった。

マリアに内緒でヘルマンに会いに行ったオズ。

マリアが愛している男を見たかったと。

そしてオズはヘルマンと約束を交わすのです。

自分の命は後、二、三年。その間マリアとの関係を続けさせてもらえるなら遺産の半分を渡すと遺言した。

ヘルマンの刑期が終わった日、マリアは迎えに行った。が、ヘルマンは出所した後だった。




手紙を渡された。しばらくカナダで暮らし、生きている証拠に毎月バラを一本送ると。

 

マリアは裕福になり、

 

郊外に大きな屋敷を買い、、毎月届くバラの花を大きな花瓶に順にさし続けた。

枯れた花も生きた花も一緒に。


二年ほど経ったころ、ヘルマンが訪ねてきた。

 



一日半で止まってしまった結婚生活を再開しようと興奮したマリアは歓喜に震え、家の中を走り回る程だった。

そこにオズワルドの会計士が

 

秘書と共に訪ねてきた。

オズワルドの死を伝え、遺産の半分をヘルマンに残りの半分をマリアにというものだった。


それを聞いてマリアはヘルマンが二年も

 

カナダなぞに行っていた訳を初めて

知ることになったのだった。

そして笑いもせずに受け取る半分の遺産を

 

ヘルマンにやると言い、ヘルマンも自分の分をマリアにやると言った。

二人ともお金に執着はないのだ。



煙草をいつも離せないマリアだが、このところライターを失くしたのか、

ガスコンロで火を点ける癖がついていた。

ガス栓からのガスが充満していたことに気づいていなかったマリアは

煙草の火を点けに台所へと。”止めろ!”とヘルマンが叫んだと同時に爆発は起きた。


門扉のところにいた会計士二人が振り向くと屋敷は瞬く間に火の海と化したのであった。

 

ー--------

この女性を好きか嫌いかは別として、非常に魅力的な作品でした。

 

彼女の生命力というか生活力というか、非常に丁寧に淡々と描いていて

 

男を誘惑しても嫌味がない。


たった一日の結婚生活でもこれが同棲ではなくて結婚していたから夫の帰りを待ち続けた......

結婚という意味がマリアの中で、いやあの時代の特にこの作品ではドイツという国で意味を

なしたのだと思う。


今と違って、あの時代では同棲ではそこまで気持ちが持ったかどうか・・・・

連合軍の爆撃の中で、マリアとヘルマンがまるで命がけのように書類に署名する姿の描写は

それなりの意味があったのだ。。


簡単に男に身体を許す女性たちが多いのも不思議ではないし、こんな時代を生きていくために

仕方のないことかもしれない。マリアも例外ではない  やむを得ない事情だ。

けれど、彼女は男を利用してステップアップするのではない。男に寄り掛かるためだけなら

売春婦になっていただろう。

それではマリアという人格が否定されてしまう。生き方が否定されてしまう。
作り手は
この生命力にあふれたマリアと生まれ変わろうとするドイツを重ねていたと思うのです。


マリアは夫をこよなく愛する妻なのだ。

刑務所にいて一緒に暮らせないだけでマリアにとってヘルマンとの結婚は重大なことなんだと思う。


だからお金を稼ぐ現実に積極的だったのであろう。

大戦後のドイツ復興を

 

若い女性の生態を通して

 

そして、男社会への進出とその成功を

 

描くためほとんどのシーンは

 

マリアの生活描写に終始している。

彼女がこだわったものは何なのか。


いつか結婚生活を再開するために頑張る過程で黒人も必要だった。

 

なぜなら黒人と会ったことで

オズとも巡り合えた。

彼女の人生設計では成り行き上でも

 

ちゃんと計算は合っていたはずだった。

ガス爆発以外は。

お金は稼ぐが、お金そのものに二人とも関心がなかったから真実の愛が育まれたのかもしれない。

ハンナ.シグラ....という女優さん。

ヴイム.ヴアンダース監督の作品の

『まわり道』で初めて見たのですが、

とても地味な女優さんでした。

 

でも、この作品では見事でした。

 

 監督ライナー・ヴィエルナー・ファスビンダー

 
キャスト ハンナ・シグラ   マリア
 
    クラウス・レーヴイッチ ヘルマン 
 
    イヴアン・デニー   オズワルド
 受賞  第29回ベルリン国際映画祭 
 コンペテイション部門                           銀熊賞 女優賞
 

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