≪間諜最後の日≫・・ヒッチコック作品 ③夜 ・・1936年度 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

吐夢の映画日記と日々の雑感

懐かしい名画、最近の気になる映画のことを書いています。

好きなのは戦前のフランス映画です。

読まれて共感頂けたら、"いいね"を押してくださいませ。
励みになります。

 

 

 

       ≪間諜最後の日≫   

 

こんばんは。いつもご訪問ありがとうございます。

 

さてヒッチコック作品③夜は  

 

≪間諜最後の日≫  1936年度作で

 

シチュエーションの似た≪バルカン超特急≫の前に作られた作品です。

 

 原作
W・サマセット・モーム

 

  お題からして期待されると思うのですね。

 

英国諜報部から秘密の指令を受けてスイスに赴き活躍する英国諜報部員の物語。

 

原作=サマセット・モームの短編・・「アシェンデン」の中の何篇かを集めて

 

ひとつの作品にしたようです。

 

見ていて消化不良起こす感じがしたのですが、何が原因かと言うと

 

例えば主人公は 犯人探しとか目的達成に躍起になると言うのが

 

普通なんですが本作品の主人公アシェンデンさん(ジョン・ギールグッド)は

 

そうじゃない・

 

観客が主人公に同化して後押しする、障害が大きいほど、また頑張れば

 

頑張るほど、

 

主人公を応援する我々は必死になって助けたくなる気持ちで見るわけだが

 

この作品のアシェンデンさんはいやいや勤める仕事であって

 

本当はやりたくないと思っている。しかも人殺しだ!

 

消極的だから盛り上がらない。

 

だが、ジョン・ギールグッドはイギリスのすごい役者らしい。

 

17歳で正式に舞台デビュー。

 

シェイクスピア、チェーホフ、イプセンなどの劇で多くの役を演じ、

 

大成功を収める。1953年にナイトの称号を得ているんです。

 

 

ところがなぜこの作品を愉しんだか?また取り上げたか??

 

それはスイスへ一緒に向かい、敵のスパイを狙うといい

 

あだ名を「将軍」というもうひとりの人物がとても痛快なのだ。

 

というより本来不気味な怪物のような役者である、ピ-ター・ローレ!!

 

本作では笑わせてもくれるし、こちらが主役ではないかと思わせられるくらいの

 

インパクトであるからだ。

 

吐夢のサスペンス映画でも紹介している

 

ピーター・ローレの、≪M≫ とは全く違う気持ち悪さで迫ってきます。

 

 

そして悪役の新しいタイプの登場。

 

紳士然とした上品で魅力的な存在感の悪役が今後の作品のひとつの要素になって

 

行ったのではないでしょうか。

 

ロバート・ヤングである。

 

1950年代末から1960年初頭にかけて

 

大ヒットしたテレビドラマ・・≪パパは何でも知っている≫のあのパパ役です。

 

そしてお相手の女性は≪三十九夜≫に登場したマデリン・キャロル

 

 

さて、簡単にストーリーを・・・

 

1916年春、イギリスの陸軍大尉のブロディーは小説家であるが

 

”R”と名乗る諜報機関の部長から、呼び出された。

 

アシェンデンという新しい名を与えられ、英国と米国のパスポートを渡された。

 

中東へ向かうドイツのスパイを探して暗殺せよとの命令だった。

 

敵はスイスにいるとのことですぐに向かった。

 

彼がスイスに着くと、アシェンデン夫人(マデリン・キャロル)の

 

女間諜エルザが先に着いていた。

 

フロントで奥様がお風呂付の部屋を取られています・・・と聞いて

 

アシェンデンはにんまりとした。

 

にんまりと部屋へ着くと、先客がいてしかも相当ずうずうしい男のようだった。

 

昨日から話し相手になってくれたとか。。。

 

エルザはアシェンデンの妻を演じる指令がきていた。

 

アシェンデンの助手を務めるというあだ名を「将軍」と名乗る

 

奇妙なスパイ(ピーター・ローレ)も先に着いていた。

 

通称はげのメキシコ人と呼ばれて

 

いるが、本人は将軍を気に入ってるらしい。はげの・・由来は本人と全く逆で

 

髪ふさふさらしい・・・

 

しょっちゅう、女性を追っかけているが、どうも生理的に

 

嫌われるみたいですね。

 

 

エルサはマーヴィン(ロバート・ヤング)と名乗る

 

アメリカ人と知り合い、

 

マーヴィンはしきりに彼女に接近し愛をささやいた。

 

アシェンデンたちはランゲンタル村の教会のオルガン奏手が

 

 

イギリス諜報部の手先となって働いていることを知らされて、彼を

 

訪ねたが、一足先にドイツのスパイによって扼殺されてしまっていた。

 

唯一の手がかりは、

 

殺された男が握っていた胡栗の殻の形をしたボタン一個だった。

 

そのボタンと同じボタンの着いた服を着ている男は

 

ケイパーと名乗るドイツ人であった。

 

彼はダッくスフンド犬を飼っていて常に連れ歩いていた。

 

わんこはご主人様のことはテレパシーで何でも分かるようでした。

 

アシェンデンと将軍とは良く調べもしないで

 

ボタンだけの判断で彼、ケイパーが中東へ向かう敵のスパイと決め付け

 

巧みに登山に誘い、ランゲン山登攀に誘って、

 

将軍は断崖からケイパーを突落として殺したのだった。

 

その時、家でケイパーの妻とアシェンデン夫人エルサ、マービンたちが

 

くつろいでいたが、誰よりも先にそのケイパーの愛犬が主人の死を予感して

 

なき騒ぐのだった。

 

スイスの警察はケイパーの死を

 

単なる遭難と認めた。

 

エルサとアンシェンデンは互いに一目惚れをしたのであるが、

 

彼女はケイパーが好人物であり、

 

その妻のケイパー夫人もドイツ人ではあるが優しい婦人であることを知ると、

 

ケイパーを殺したアシェンデンや将軍にその事を非難した。

 

 

しかもケイパーは全然スパイではない事が

 

”R”からの

 

返電で判明すると、

 

エルサはアシェンデンに人殺し稼業に等しいスパイ仕事をやめてくれと

 

懇願するのだった。

 

アシェンデンもあまり気の進まない仕事だったので辞めようと決めた時、

 

「将軍」が

 

 新しい手掛かりを得たと、誘いに来たので一緒に出かけるのだった。

 

行く先はチョコレート製造場。そこはドイツスパイの書簡局だった。

 

見学という名目で入り込んだ。

 

が英国人のスパイが潜り込んでいるとスイス警察に匿名の電話が

 

入った。

 

アシェンデンは非常用のボタンを押して工場の中を

 

騒ぎの渦にして逃げた。

 

チョコレート工場の情報を得たのは前の晩に将軍が知り合った

 

チョコ工場の工員。その恋人カールが手引きをしてくれたのだが、

 

もちろんお金で動いた。

 

彼が盗んできたメモの最後に  マーヴインと署名があったことから

 

彼等が探しているドイツの間諜は

 

マーヴィンであることが分かった。

 

二人が引き返すと既に、マーヴィンはコンスタンチノーブル行の

 

列車に乗った後だった。

 

しかも仕事を投げ出して帰路に着こうとしていたエルザと一緒のようだ。

 

エルザは本気でアシェンデンを愛し始めたようで、だからこそ

 

この仕事に嫌気が差したのだった。

 

アシェンデンは将軍と共に、同じ列車に乗り込むのに

 

何とか間に合った。

 

其の列車がスイスを離れてオーストリア領に入った時、

 

イギリス空軍の空爆で、

 

列車は粉砕され、マーヴィンも「将軍」も最期を遂げた。

 

幸運にもアシェンデンとエルサは命拾いをし、

 

マーヴィンとトルコ軍との連絡を遮ることに成功した。

 

そして二人は改めて結婚式を挙げて、名実共にアシェンデン夫妻となった。

 

そして、”R”はお手柄をたてたわけだ。