≪光をくれた人≫・・尊い光の交信・・・(米 豪 ニュージーランド)  2017年 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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     ≪光をくれた人≫

 

こんばんは。いつもご訪問ありがとうございます。

 

2017年ですか?公開当時話題になった作品でしたが

 

鑑賞しまして・・・時代が変わっていってもすばらしい作品は

 

どんどんつくられるんだなあと感動いたしました。

 

本作品を一言で表現するにはあまりに重い。

 

見ているうちにどんどん、どんどん息苦しくなってしまった。

 

これは決して不快 という意味ではない。

 

感動という言葉では軽すぎる。

 

原題はThe Light Between Oceans  海を照らす光・・・

 

光をくれた人という邦題から推察すると、光と陰の二面。

 

つまり光を与えることまたは人、そして光を貰うことまたは人

 

愛の感動作と簡単にいうけれど本作品の愛というのは

 

大きな懐、赦し、そして逆に責め、自身の魂への懺悔や

 

恋人の残した赦しという優しさ・・・をまた 人に与えるやさしさ

 

などなどいろんな愛や後悔を目いっぱい見せ付けてくれた・

 

 

アリシア・ヴィキャンデル も

 

レイチェル・ワイズも 相手を鏡としながら自分を省みてゆく・・・そこが

 

見ている私には救いでした。

 

気づいたのは、お話が進んでいく過程で、私自身が何を考え、どう感じながら

 

見ているのか、自分自身への問いかけだった。

 

この映画は多分、その人の育ってきた家庭環境や人生経験によって、

 

或いは見る年齢によって、一人身か既婚者かなどで

 

ずいぶんと感じ方も違うのではないでしょうか・

 

 

ーーデレク・シアンフランス監督

キャスト

トム・シェアボーン      マイケル・ファスベンダー 

イザベル           アリシア・ヴィキャンデル 

ハナ             レイチェル・ワイズ 

セプティマス・ポッツ     ブライアン・ブラウン 

ラルフ・アディコット     ジャック・トンプソン 

 

    ストーリー

 

物語の始まりは1918年。

 

第一次大戦の直後、

 

戦場で心に傷を負いオーストラリアへ帰還を果たしたトムは、

 

インド洋と南極海のぶつかる洋上の孤島

 

ヤヌス島で一人、連邦灯台保全局の灯台守りとしての仕事に

 

就くこととなる。

期間は半年。臨時要員である・静かに暮らしたかった彼には

 

うってつけの仕事だった。

 

 

列車でパルタジョウズ港まで行った。

 

そこである人を訪ねた。グレイスマーク夫妻とチッパー夫妻だ。

 

 

”トム、あの灯台は北半球からの船を導き、この国に富と繁栄をもたらす。

 

  大戦後の復興が必要だ  あまりに多くが失われた 君に務まるかな?”

 

 

  ”じきにわかるでしょう”とトムは自信を持って答えた。

 

 

クレイズマークの娘 イザベルを紹介された。

 

食事をしながら聞かされた話は前任者がなぜ職を離れたか・・・

 

孤独による情緒不安定と悲しみが原因だと。

 

しかしトムは孤独の問題については覚悟が出来ているので大丈夫だと答えた。

 

フランス戦線の後なのでむしろ今は独りでいたいと。

 

蒸気船で孤島に送ってくれたのは

 

ラルフ・アデイコットだった。

 

 

彼以外にこの島に住む者はいない。まさに外界から隔絶された地。

 

トムは几帳面な性格であった。

 

三ヶ月ぶりにラルフがやってきて元気そうなトムの姿に

 

意外そうでもあった。前任者のトリンブルの病が治るどころか

 

自殺をしたということでこのままトムに正式に燈台守となって欲しいという

 

伝言を持ってきていた。

 

トムはグレイズマーク邸を訪問して報告をした。

 

イザベルは生命力に満ち溢れた女性でトムに積極的に近づいた。

 

二人が恋に落ちるのに時間はかからなかった。

 

やがて結婚。

 

 

誰にも邪魔されずたった二人しかいない孤島での暮らしは満ち足りて

 

幸せそのものだった。

 

そしてイザベルはお腹の中に新たな生命を授かった。

 

……しかし運命の神は、彼らに厳しい試練を与えた。

 

授かった生命はこの世に誕生することはなかった。

 

それも一度ならず、二度までも。

 

イザベルは毎日赤子の墓の前で過ごすことが多くなった。

 

 

そんな傷がまだ癒えぬある日、1隻のボートが島に打ち寄せられた。

 

舟内には息絶えた男性と、元気な赤ん坊が泣いていた。

 

イザベルはその子を自分たちの子として育てたいという思いに駆られる。

 

だが几帳面なトムはここで起きたことは全て保全局に報告せねばならないと

 

イザベルを説得しようとするがイザベルは聞き入れない。

 

一晩赤ん坊と過ごしたイザベルは、もはやその子を手放すなど考えられなくなって

 

しまったのだった。

 

自分たちの子供として育てようという彼女の強い懇願に負けたトムは、

 

男の遺体を浜に埋める。

 

 

二年後、ルーシーと名付けた赤ん坊に洗礼を受けさせるために

 

イザベルとトムは、バルタジョウズへと向かう。

 

トムは教会に敷地にある墓の前でむせび泣く女性を見かける。

 

 

興味を持ったトムはその墓の前に立った。

 

トムは唖然とした、

 

その墓石には海洋に消えた夫と娘グレース・・・と刻んであった・

 

ボートで海に消えたまま消息がわからなくなった彼女の夫と娘の墓であった。

 

彼女はハナ・ポッツ。このあたり一番の金持ちとかで

 

ドイツ人と愛し合い、親の反対を押し切ってその人フランクと結婚した。

 

がしかし、ドイツは敵国だった。

 

ある時、戦争で家族を失った者たちにドイツ人という理由だけで

 

絡まれたフランクは、生まれて間もない娘を抱いてボートに乗って

 

海へ逃げたのだった。

 

が運が悪く船が流されてしまったのだった。

 

罪悪感に苛まれたトム。

 

あの時離婚問題になっても反対すべきだった。

 

島に戻る前に「夫君は神の御許だが娘さんは大切にされている」と記した

 

匿名の手紙をハナの家に届ける。どうしても良心の呵責から赤ん坊が生きていることを

 

告げずにはいられなかったのだ。

 

 

驚いたハナはその手紙を警察に持っていくが、警察もあまり乗り気ではなく

 

何の手がかりもないまま時は過ぎた。

 

ここら辺りからサスペンスの香りもいたします。

 

 

それからまた2年後。トムは、

 

ハナのことは自分だけの胸に秘め、

 

イザベルには何も知らせていなかった。

 

ある日、灯台建設40周年を祝う式典に出席するため、

 

トムはイザベルとルーシーを連れ、バルタジョウズに渡る。

 

式典の会場にはハナもいた。

 

そしてついにイザベルも真実を知ることになる。

 

自分たちの行為の重大さ、罪の大きさにおののきながら

 

対立するイザベルとトム。

 

やがてトムは島へ戻る前にある行動をとる。

 

それは自分の意志で赤ん坊を育てることを妻に強要したということで

 

自分が一人罪を背負って自首をしたのだった。

 

論点は赤ん坊のことよりもフランクがまだ生きていたのではないか。殺したのではないかという容疑に

 

ウエイトは置かれた。

 

ルーシーはグレースという名でハナの元に連れて行かれた。

 

当然引き裂かれる母と娘の絶叫はある。

 

だが、事故で引き裂かれた母ハナも身を裂かれる毎日を送ってきたのだ。

 

 

アメリカ映画に≪代理人≫というジェシカ・ラング主演の

 

やはり産みの親と育ての親の闘いを描いた作品があった。

 

しかし、こちらは実母は一度は自らの意志で赤ん坊を捨てた。

 

こちらは見ていて予想できるラストであった。

 

 

が今回はちょっと違う。

 

どう納得させてくれるんだろうと目が離せなかったんですね。

 

ヤヌス・・・オワリとハジマリという二つの顔を併せ持つローマの神の名らしい。

 

 

そして二つの海インド洋と南極海がぶつかるその孤島で、

 

主人公たちの心もまた二つの側面に引き裂かれる。

 

真実をハナに知らせた夫が絶対に許せない。これは自分が引き起こした罪であるのに夫を恨むのは筋違い。

 

だが、ぜーんぶを包み込んで罪を一人が被ろうとする夫トム。

 

では、タイトル 光 は何を意味するのか??

 

 

 登場人物たちはそれぞれが、そうしなければ生きてはいけない、とでもいうよう

 

   その表情は一途に見える。

 

そもそも灯台守りという仕事は真っ暗闇の海を照らし、人々に光をもたらす

 

仕事である。最初、イザベルはトムに生きる喜びを与えた。

 

これは光を注いだのだ。

 

二人はお腹の中の生命を亡くすという悲劇を体験するが、

 

それでも海の向こうから小舟に乗って届いた光に喜びを得る。

 

まさにルーシーが現れたのは光をもらったことだ。しかし、それは

 

誰かの悲しみを意味することでもあった。知らず知らずのうちに

 

他人の光を奪っていた。戦場での哀しみ、お腹の子が光を見れなかったその

 

悲しみがあるからこそ、こんな行為が、また自分がどうしても許せない、

 

耐えられないトムであった。

 

イザベルには道徳や善悪よりも娘を取られたくないという

 

思いしかない。

 

良いとか悪いとか考える前にどう決着がつくんだろうとそのほうが

 

気になりまして。

 

ハナの亡くなったドイツ人の夫はとても温かい性格で

 

ハナが思い出すのは彼のつぶやく言葉・・・赦す・・・

 

これが鍵ですね。

 

夫フランクからもたらされたすばらしい光をどう他人に与えるか?

 

みなが願い続けたことはよき魂でありたい。

 

罪に問われるはずだったトムは罰金だけで済み

 

グレースはハナのもとに。そしてイザベルは夫の気持ちに気づいてやることに

 

気づくのです。

 

時は経ち、イザベルが亡くなった後、一人暮らすトムの元に

 

男の赤ん坊を連れたルーシー・グレースが訪ねてきます。

 

ルーシー・グレースはドイツ人の面立ちくっきりです。

 

光をくれた人・・・これは光の交信の物語です。

 

 

尊さに満ちた納得を、温かな光を届けてくれた作品です。

 

満足度98%。

 

 

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