≪バベットの晩餐会≫・・人生の幸福とは??・至高の料理映画・ デンマーク製作 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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基本、鑑賞後の感想ですのでネタバレが殆どです。
ご了承くださりませ。

      
       ≪バベットの晩餐会≫

 

 

こんにちは。いつもご訪問ありがとうございます。

 

今日は趣向を変えましてデンマーク製作の作品。

 

デンマークの国民的作家カレン・ブリクセンが発表した小説を基にした

 

ドラマで、19世紀デンマークの小さな村を舞台に、

 

ある初老の姉妹と二人に仕えるメイドが育む絆を、

 

元フランスの一流シェフであったメイドが

 

腕を振るう食事会を絡めて映し出す作品を取り上げます。

 

これは単なるグルメ映画ではなく状況描写を通して

 

人生の幸福を表現した佳品である。

 

 

メイドに扮するステフアン・オードランーーーー

 

この≪バベットの晩餐会≫で初めて意識した女優さんで

 

鑑賞をきっかけに思い起こしたのは、ドロンさん作品の≪チェイサー≫で

 

モーリス・ロネ扮する代議士フイリップの夫人役。

 

どこかでみた顔と思いつつもメイドのバベットに扮した

 

ステファン・オードランは

 

穏やかで温かな女性で、今まで見た彼女の役どころとはあまりに違って

 

すぐにわからなかったのですね。

 

≪パリのレストラン≫にも出ていましたよね。

 

オードランさんは短い間でしたがジャン・ルイ・トランテイニアンと結婚。

 

その後クロード・シャブロルの≪いとこ同志≫に出演後、20年に及ぶ

 

パートナー関係を送り、彼の作品に多く顔を出している。

 

 

尚、世界的に知られるようになったのは年齢を重ねてからだった。

 

 

 オードランさんは、1968年のシャブロル監督作品≪女鹿≫で

 

バイセクシュアルの女性を演じ、ベルリン国際映画祭の女優賞を受賞。

 

また、同じくシャブロル監督作品の≪肉屋≫では

 

抑圧された教師を演じ、

 

初めて英国アカデミー賞の女優賞にノミネートされた。

 

1987年の≪バベットの晩餐会≫は、

 

デンマークの閉鎖的な村人たちに美食の喜びをもたらす、

 

亡命フランス人女性料理人を描き、

 

アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞で外国語映画賞を受賞。

 

さらに、オードランさん自身も同作で

 

英国アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされた。彼女の代表作となり

 

作品もAランク評価のすばらしい至福の時間をもたらしてくれる作品となって

 

います。

 

また姉妹に扮する女優さんも美しく優雅。

 

年老いてからもつましく控えめで魅力的な人物として描かれている。

 

    簡単なストーリー

 

 

時代は19世紀

 

重々しい雲と寒々しい海が

 

これから始まるストーリーも多分重苦しいものなんだろうと思わせる、

 

北欧ユトランドの片田舎が舞台である。

 

前半は姉妹の若い頃のその恋と生き方を淡々と描く。

 

美しい姉妹であるマーチーネとフィリパは、

 

いつも十姉妹<じゅしまつ>のようにくっついていてとても仲がよい。

 

 

牧師である老父と清貧な暮らしを送っている。

姉のマーチーネには地元で謹慎中の若い士官ローレンスが、

 

また妹のフィリパには休暇中の

 

著名なフランス人バリトン歌手アシール・パパンが

 

賛美歌を歌うその美しい声に感動し、そろそろ引退を考えている彼は

 

フイリパに歌の指導をする。そして求愛するが、

 

姉妹とも、父に仕える道を選び、結婚することなく、

 

毎日淡々とした清廉な人生を

 

過ごしながら年老いていく。

 

 

やがて姉妹のもとに、パリ・コミューンによって

 

家族を亡くしてフランスから亡命してきた女性バベットが

 

歌手のパパンの紹介でやって来て、姉妹の元で、家政婦として働くようになる。

 

 

 

姉妹の父である牧師が亡くなって、村人の信仰心が衰えを見せていたため、

 

姉妹は父の生誕100年を記念したささやかな晩餐会を催して

 

村人を招待することを思いつく。

 

そんな折、バベットに1万フランの宝くじが当たったという知らせが

 

フランスから届く。マーチーネとフィリパは、

 

 

バベットがこのお金でフランスへ戻るであろうことを予期し、

 

寂しく思いながらも、

 

その思いは2人だけの心にとどめおく。

 

その直後、バベットは姉妹に対して、お願いしたいことがあると申し出る。

 

それは、祝いの晩餐会の食事を作らせて欲しい、また、

 

今回だけフランス料理を出したい、費用は自分が出したい、というものだった。

 

実はバベットには、姉妹には話していない秘密があった。

 

バベットはかつて、パリの有名レストランの女性シェフだったのだ。

 

 

また、牧師の生誕100年を祝う晩餐会のために、

 

宝くじで当たった1万フランをすべて使おうと決めていた。

 

 

バベットはフランスまで食材を手に入れに行き船で戻ってくる。

 

甥っ子も連れて・・

 

 

 

バベットに晩餐の準備を一任したものの、

 

運び込まれた食材が生きたウミガメや

 

かたつむりや」ウサギまた

 

ウズラであることを見たマーチーネはショックを受け、

 

夜中にウミガメが火にあぶられている夢で目が覚める。

 

マーチーネは天罰を恐れ、

 

招待する8人の村人たちと話し合って晩餐会では食事を味わうことなく、

 

食事の話も一切しないことを決める。

 

晩餐会にはかつてマーチーネに求愛していた今はいい老紳士になった

 

ローレンスも参加することになる。姉妹を含めて占めて12人

 

キリストの最後の晩餐とひっかけていますね・

 

 

 

こうして後半はフランス料理の下準備や盛り付けや真髄といったものが

 

 

映像として我々にインパクトを運んでくれる。

 

 

 

豪華な豪華なテーブルセッテイング。

 

甥っ子は見事なアシスタント振りである。適材を適時に運び

 

料理の一番旨いタイミングを外さない。

 

 

バベットは豪華な料理をてきぱきと用意し、

 

晩餐会は進められていく。

 

まずはワインを口にしたローレンスは驚き微笑む。

 

”アモンテイ・ラードだ  しかもこれほどのものは初めてだ  ”

 

 

不思議そうに顔を見る姉。

 

料理のあまりの美味しさにローレンスは

 

深く感動するが、無反応の村人たち。

 

レモネードかしら??ワインとレモネードの違いも分からない村人。

 

 

姉マーチーネをはじめとする他の参加者は食事について言及することなく、

 

不自然かつ奇妙な会話を繰り広げられる。

 

皆はローレンスが料理を口にすると真似て食す。

 

僻地特有のまして老人たちのわけの分からない理屈の会話が続く・

 

周りを気遣うこともないこの老人たちは我勝手に自分たちの愚痴や

 

噂話を繰り広げ絶品の料理の味など分かるはずもない。

 

料理の内容からローレンスは、

 

この料理を作っているのが、かつてパリで人気だった

 

レストラン「カフェ・アングレ」の女性シェフであることに気付く。

 

かつて食した料理の味を再度口にし感動するも、皆は関心なし。

 

しかし、

 

頑なに食事を味わうことを避けていたマーチーネたちも

 

料理の美味しさに次第に気づき始め、心を解きほぐし、

 

いがみ合っていた者同士も段々と打ち解け合うのだった。

 

こうして晩餐会は無事に終わる。

 

晩餐会のあと、バベットはマーチーネとフィリパに、

 

自分がかつてレストラン「カフェ・アングレ」のシェフだったことを

 

初めて打ち明ける。

 

パリに戻ってもあなたを忘れないとバベットに言う姉妹に対して、

 

バベットはパリには戻らないと言う。ここに置いてください・

 

”お金もありませんし”と続けるバベットに姉妹は驚く。

 

お金のことを問いただす。”お金がないって?あの一万フランは?”

 

”使いました  一万フランは カフェ・アングレの 12人分です”

 

”でも私たちのために全部使ってしまうなんて・・・・”

 

バベット”理由は他にもあります”

 

姉妹  ”一生 貧しいままになるわ”

 

 

バベット ”貧しい芸術家はいません”

 

立ちあがった妹はバベットに近づき、

 

”あれがパリで出したお料理なの??”と言った。

 

深く頷きながらバベットは言った。”お客様を幸せにしました。

 

力の限りを尽くして・・・・・  あのパパン氏がご存知です”

 

 

妹は  ”アシール・パパン    ”と言ってかつて自分に求愛した人の名を

 

つぶやき思い出し  微笑んだ。

 

バベットは”彼が言いました  世界中の芸術家の心の叫びが聞こえる”
    

 ” そして わたしに最高の仕事をさせてくれた。”

 

妹は”でもこれが最後ではないわ   絶対に最後ではないわ

 

天国で  あなたは試行の芸術家になる  それが神の定め”

 

歩み寄りバベットを抱きしめ  ”天使もうっとりするわ”と目に涙をためて

 

感動の言葉を発するのだった・

 

外は雪・・・・ロウソクもゆっくりと消えていった・・・・・。

 

 

衣食住の中でわたしはやはり食に満ち足りた時が一番幸せを感じます・・・

 

ステファンさんは昨年3月85歳で亡くなられたそうです。

 

ご冥福をお祈りします。

 

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