≪雪之丞変化≫・・銀幕の男優 ⑯ 長谷川一夫 作品・1934年・衣笠貞之助監督 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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銀幕の男優 ⑮長谷川一夫さん  作品≪雪之丞変化≫

 

  こんにちは。

 

いつもご訪問ありがとうございます。

 

大柄なハリウッド女優の貫禄の作品が続きました。

 

アン・バンクロフトの作品はもう一本取り上げたいと思いますが。

 

今日は、ちょっと趣を変えまして昔の時代劇一本。

 

長谷川一夫といえば一時代を築いた大スターですね。

 

そして興行収入を上げれる、大衆娯楽時代劇の大スターです。

 

女形をやれる市川雷蔵や、大川橋蔵といったスターが出る前の

 

水も滴る男の代名詞であった日本の時代劇第一次黄金期の

 

大スターであります。

 

晩年、宝塚の(ベルサイユの薔薇)を演出したことでも知られていますね。

 

 

N○Kの大河ドラマの二作目だったか三作目だったか

 

(赤穂浪士)の大石内蔵助役で独特の台詞回しで

 

       ”おのおの方  ”という言い回しが流行語になったことも

 

思い出しました。

 

初代≪銭形平次≫でもあります。

 

さて、

 

小学校低学年の頃はまだ、我が家にテレビも無い頃で

 

 ラジオドラマをよく聞いていた。

 

 

 新諸国物語や赤銅鈴之助を夕方18:00になると

 

 ラジオにかじりついて聞いていた。

 

 

 夜ともなると楽しみに聞いていた記憶があるのが

 

  《雪之丞変化》である.

 

そしてそのお題は  ≪江戸の闇太郎≫だったと記憶する・・

 

たしか歌舞伎俳優の市川中車という役者が

 

雪之丞と江戸の闇太郎を二役で

 

演っていたように思います。

 

 

とにかくチャンバラは劇場で映画を見るしかない時代だから

 

普段はラジオの連続ドラマが非常に楽しみだったのだ。

 

 

その《雪之丞変化》

 

 

 昭和10年に林長ニ郎(長谷川一夫)主演で

 

衣笠貞之助が撮った作品が最初であるが、

 

わたしが初めて見たのは、戦後の

 

市川崑監督作品で、同じ長谷川一夫主演のものである。

その後、大川橋蔵主演のもの美空ひばりのもの

 

市川雷蔵のもと結構観ました。

 

 映画をストーリーだけで観ないの゙で

 

役者が変われば同じ内容のものでもわたしは苦にはならない・

 

 

東海林太郎の♪むらさき小唄♪が

 

 この雪之丞変化の主題歌だったことも後になって知ったが

 

衣笠映画の時のものだ。

 

♪流す涙が~ お芝居ならば

     なんの苦労もあるまいに・・♪

 

 何年か前に衛星放送でこの昭和10年の作品を見たが、

 

 衣笠は泉鏡花作品などの新派調の作品を得意とするだけに

 

白黒とは言えやはりきれいでしたね。

 

 

 後にいろいろのリメイクがされた中でやはり市川作品がそれなりに

 

面白いのではあるが、

 

何事においても最初にやる、撮るということに

 

無限の価値があるものだからして

 

 やはり衣笠の作品が良い。

 

オリジナルの値打ちというものといって良いだろう。

 

 

 主人公はむしろ夜盗、江戸の闇太郎であるが

 

必ず、雪之丞との二役と決まっている。

 

そしてこの役がやれるのは舞の名手であること、

 

 女形がやれる色っぽい役者でなければならない。

 

 男前の俳優、役者は多いが、

 

色気のある品格のある美剣士や、

 

ああいった惚れ惚れするような画面に

 

食い入ってみてしまうようないい男がやれる役者がいなくなったのは

 

淋しい限りである。

 

 闇太郎、仇の土部三斎、その娘波路などの名はいつまでも

 

忘れないでいるものだ。

 

    ストーリー

 

長崎の豪商松浦屋清左衛門は抜け荷の疑いで捕らえられ

 

家財没収、妻は自殺、自身は恨みを呑んで狂い死にして果てた。

 

 

すべては時の長崎奉行土部駿河守と、松浦屋と同業の

 

広海屋松浦屋の番頭だった三郎兵衛に謀られ、

 

 陥しいれられたためであった.

 

 以来数十年の月日が流れ....

 

 駿河守は今や三斎と称し、娘波路を将軍家の愛妾に差し上げ、

 

そのおかげで権勢を欲しいままにしていた。

 

 松浦屋の番頭だった三郎兵衛も今は長崎屋の主となり

 

広海屋と共に豪商として羽振りをきかせていた。

 

その頃、江戸の町には大阪歌舞伎の中村菊之丞一座の

 

花形雪之丞(林長ニ郎)が大変な評判を呼び、

 

 人気を集めていた。

 

この雪之丞こそあの死んだ松浦屋の一子雪太郎だった.

 

 

 彼は学問は孤剣先生に剣は脇田一松斎に学んで、

 

 共に抜群の腕前で密に父の仇討ちの機会を狙っていた.

 

 一松斎から剣の秘伝を授けられたことから兄弟弟子の恨みを買い

 

嫉妬に狂った彼等の闇討ちにあっている所を

 

夜盗闇太郎(林長ニ郎の二役)に助けられ難を逃れた。

 

 

 芝居の評判を聞いた土部三斎が波路を連れて芝居見物に

 

 やってくる。

 

 波路は雪之丞の美しさに心を奪われ、

 

 恋に狂う身となった.

 

いまひとり、女賊のお初もまた雪之丞に惚れてしまう。

 

 得意の忍びの術で雪之丞の宿にしのび込み

 

彼のあだ討ちの秘密を知ってしまう。

 

お初はそれをネタに雪之丞を脅し、恋を成就しようとするが

 

 あだ討ちを心に誓っている雪之丞は誘いには乗ってこなかった。

 

 怒ったお初は土部と共謀して雪之丞を古寺に閉じ込めるが

 

 これも闇太郎の働きで救われる。

 

 雪之丞はまた土部ニ近づく為に波路の誘いを受け相手を

 

 しながら土部の動きを伺っていたが

 

 とうとう機は熟し、見事仇を討つという長い長い道のりに

 

終止符を打つことが出来た。

 

 雪之丞恋しさに家を出た波路は重い病いの身となり

 

恋しい雪之丞に手をとられつつ薄倖の生涯を閉じた。

 

テレビの一連の時代物にはこのストーリーがベースになった

 

 ドラマが結構あり、

 

 江戸のかたきを長崎で討つ ならぬ長崎の仇を江戸で討つ

 

 といったお決まりのストーリーもこれが最初である。

 

 時代劇は歴史ものではないが、言って見れば

 

 さかのぼった昔の時代のお茶の間劇であろう.

 

なんの変哲も無いドラマとなってしまったことは時代の流れであるが、

 

画面の役者の色香にうっとりとするだけの映画が

 

  あってもいいような気がします。

 

肩張って名作時代劇と銘打ってやらずとも大衆娯楽時代劇も

 

撮って欲しいと思う吐夢であります。

 

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