≪愛と喝采の日々≫・人生には分かれ道がある・The Turning Point 1977年度 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

吐夢の映画日記と日々の雑感

ご訪問ありがとうございます。
懐かしい名画、最近の気になる映画のことを
日記形式で書いています。
戦前のフランス映画が大好きです。
基本、鑑賞後の感想ですのでネタバレが殆どです。
ご了承くださりませ。

   

  

       ≪愛と喝采の日々≫   ハーバード・ロス監督  1977年度

 

こんばんは。いつもご訪問ありがとうございます。

 

   アン・バンクロフトの作品をもう一本

 

しかも大好きなシャーリー・マクレーンとの共演です。

 

 

キャスト

 

デイーデイー    シャーリー・マクレーン 
エマ        アン・バンクロフト 
ウエイン      トム・スケリット
ユ-リ-       ミハイル・バリシニコフ 
エミリア      レスリー・ブラウン

 

愛と喝采の日日という邦題がいいか悪いかは別として

 

原題は The Turning Point

 

    つまり人生においての選択がもたらす意味、面白さ、

 

     人間二つの人生は生きられない

 

必要に迫られて選ぶこれから

 

好きか嫌いで選ぶこれから

 

価値で選ぶこれから

 

いろいろあるだろう。

 

プリマとして成功し、その終焉を迎えようとしているエマと

 

プリマとしてのバレエを捨て、バレエを教えることで才能ある娘エミリアの人生が

 

これからが始まろうとしている母親デイーデイーの嫉妬や寂しさ、

 

親子愛、友情、などを縦糸に

 

素晴らしいバレエシーンを横糸にふんだんに盛り込んだ作品である。

 

まずは ストーリー

 

ディーディーは夫ウエインと長女エミリア、次女ジャニア、長男のイーサンと

 

オクラホマ・シテイに住んでいる。

 

アメリカ・バレー団の公演に今から家族揃って出かけるところだ。

 

 

デイーデイーとウエインは昔、アメリカ・バレー団で共に踊っていたが

 

デイーデイーがエミリアを身ごもった時に正式に結婚して

 

バレー団を退団し、このオクラホマ・シテイでバレー教室を開いた。

 

 

デイーデイーには親友でありライバルであったエマというプリマがいた。

 

その彼女が今夜、この公演で踊る。何十年ぶりかの再会が待っていた。

 

娘エミリアは見るからにプリマとしての条件を兼ね備えている。

 

容姿も美しく、父母の血をひき、バレリーナになる才能を充分に具えていた。

 

アデレイド(マーサ・スコット)をオーナーとするこのバレエ団のエマは

 

ディーディーの親友であり、ディーディーがプリマ・バレリーナをやめるかどうか

 

迷った時に、辞めて結婚するよう促した女性であった。

 

 

デイーデイーはそう思っていた・・・・

 

エマはディーディーに決まっていたアンナ・カレーニナの役を踊ることになった。

 

そうやってエマは

 

プリマ・バレリーナの地位にのぼることができたのだった。

 

そして今夜、ディーディーは久方ぶりのエマの舞台姿に感激した が、

 

内心には複雑な思いが交錯していた。

 

舞台の上の姿はひょっとしたら自分だったかもしれなかったからだ。

 

 

エミリアを一目見たエマはスターになれるその素質を見抜き

 

バレエ団への入団を勧めた・

 

ニューヨークのエマの元にエミリアは住み、練習に励んだ。

 

デイーデイーもウエインと二人の子供をオクラホマに残し、

 

ニューヨーク引っ越したが、エミリアはエマに心酔していて

 

デイーデイーは母親として世話することもままならず寂しい思いと

 

エマに娘をとられるのではないかと嫉妬した。

 

夏のシーズンを控え、エミリアは ジゼル で初舞台を踏むことになった。

 

そして団員の1人で、ソ連生まれのユーリーを知り、愛するようになるが、

 

キャロリンというバレリーナといい仲になったということを知り、失望する。

 

エミリアは物静かではあるが、

 

自分の意志をきちんとあらわすことの出来る娘であった。

 

エマはそんなエミリアをやさしく慰め、段々と2人の仲は深まっていく。

 

やがてバレエ団が4年毎に行なうガラ公演の日が近づく。

 

ガラ公演とは

 

バレエなどで全幕通しで行なわれる公演とは違って

 

出し物つまり白鳥の湖やくるみ割り人形、眠れる森の美女などの

 

見せ場の場面だけをいくつも踊って見せる公演のことですね。

 

 

エマはこれに出演するエミリアに衣裳を贈るが、

 

このことでエミリアとディーディーの間に微妙な亀裂ができてしまう。

 

デイーデイーにとってはこのエマの行為は差し出がましいのだ。

 

ディーディーはエミリアをエマにとられたくない気持でいっぱいだったのだ。

 

その上デイーデイーが寂しさのあまり魔が差して浮気をしてしまったことを

 

エミリアに知られてしまい、二人の仲は益々険悪になっていった。

 

ガラ公演で、エマは

 

あのいわくつきの出し物の≪アンナ・カレーニナ≫に出演、

 

エミリアは≪ボーテックス≫に出演し喝采を浴びたのだった

 

素晴らしかった・・と娘を抱きしめたかったのに

 

エミリアの視線はやってきたエマに向けられ静かに歩いていき

 

エマと抱き合う・・居場所のないデイーデイーは場を去った。

 

エマはエマで、打ち上げの席で次回作の≪眠れる森の美女≫の演出をと

 

経営者のアデレイドにあからさまに言われ憤慨して静かに

 

席を立った。

 

ホテルのバーに座るとデイーデイーもひとりお酒を飲んでいた。

 

この作品はバレエの場面以外ではここからが見せ場です。

 

2人が互いに抱いていたライバル意識があからさまに爆発するのである。

 

”エミリアに読んだ本 覚えてる??  二人の王女の話

 

    1人は口を開くと宝石が出てくる  もう1人からはーーー

 

     イモリやヒキガエルが出てくるの  イモリやヒキガエルがね”と

 

         デイーデイー。

 

エマ ”そのうちの一匹がもう出てきたわ”

 

デイーデイー”いつ??”

 

エマ ”エミリアのドレスが迷惑だとあなたが言ったときよ  二回言ったわ

 

    しかも舞台の直前に  ”とシャンパンを口に運んだ。

 

デイーデイー ”らしいわね”

 

エマ ”また出た  何年も イモリをためてたみたいね”

 

デイーデイー  ”いいえ  葬ってきたのよ”

 

エマ ”違うでしょ 言いなさいよ 明日は舞台がないからいいのよ”

 

不満一杯の横目で見ていたデイーデイーはエマの横に座った。

 

デイーデイーは両手を差し出し、右手を開けたそして言った・

 

”これは小さいカエルだわ  なぜあの時、親友の私に夫を疑うように仕向けたの

 

     なぜ不仲にさせようと?

 

      子供を産まなければあの人を失うといったわね  どうしてなの”

 

”エマ ”勘違いしてる  よくあることだわ 

 

        中絶したらウエインを失うかもと言ったのよ”

 

デイーデイー ”それは正確に言えば違うわ  それとバレエは他でも踊れると

 

言ったわね   よく言うわよね 

 

       あなたはどうしてもあの役を手に入れたかった

 

   だから嘘をついたのよ”

 

エマ  ”黙ってても役は来たわ”

 

デイデイー  ”そう??”と続き・・・・

 

エマ ”人のせいにしないで  選んだのはあなたよ 悔やんでも遅いわ”

 

デイーデイー”あなたも同じよエマ”と女の闘いが始まった。

 

デイーデイーはエミリアを盗られたと恨みつらみをいう。

 

エマはデイーデイーの果せなかった夢をエミリアでと思い力になりたかっただけ。

 

だがデイーデイーのエマへの攻撃は度を増しついにエマはデイーデイーの顔に

 

シャンパンを引っ掛けた。それからは心の中に溜まったものが噴出し

 

つかみ合いの喧嘩となった。

 

”自分で選んだ人生でしょ”

 

”私から才能を奪ったじゃないの””才能がないから結婚に逃げたのよ”

 

”逃げたんじゃないわ ウエインを愛してたからよ”

 

”バレエを捨てるほど??”

 

行きつくところまで行きつくと二人は笑い出した・・・・

 

”嫉妬は毒薬だわ  人を怪物にするわ 冷静でなくなる

 

あなたの言うことは当たっていたわ”

 

”あなたのいうこともよ”

 

そして一息ついて、エマは正直に言った

   

   ”何を言ったか覚えてないけれど多分なんでも言ったと思う

 

     役を取るためなら”としみじみと・・・・

 

デイーデイーは   ”そう    分かる??”と首を振りながら涙を流しながら
      

   言った。

 

    ”何十年も その 言葉だけを 聞きたかったの”

 

そして抱き合うのだった。

 

そしてそのことはデイーデイー夫婦にも影響をもたらした。

 

ふたりは改めてお互いを見つめなおしたのだった。

 

抱き合う二人を見てエミリアのわだかまりも解け、にっこりと笑みを浮かべて

 

リハーサルに向かうのだった。

 

晴れの舞台公演。。エミリアは真っ赤な衣装で愛するユーリーと素晴らしい

 

踊りを見せ大成功に終った。

 

エミリアはデイーデイーに花束を持って近づいたのだった。

 

プリマとしての舞台を去るエマはひとり舞台で感慨に耽っていた。

 

デイーデイーはそっと近づきエマの肩に手をあてた。

 

エミリアの舞台の成功を見た二人の思い・・・

 

”どう思う??

 

うらやましい  彼女の新しい人生ね。

 

長くはないわ

 

そうね

 

あの子の望んだ道よ

 

ええ

 

そうね

 

全部知ってても  この道を選ぶかしら・・

 

きっと選ぶわ・・・・・・

 

 

何といっても

 

バレーシーンの素晴らしさはピカイチです。

 

バレー映画は数々あれどこの作品のバレーシーンは

 

我々も気持ちが入るんですね。そしてたっぷりと見せてくれます。

 

エマの選択肢

 

デイーデイーの選択肢

 

ウエインの選択肢

 

エミリアの選択肢

 

原題のターニング・ポイントが分かってみたほうが作品の素晴らしさが

 

倍増すると思います。

 

そしてユーリーに扮するミハイル・バリシニコフはアメリカに亡命した

 

ソ連出身の名バレエダンサーである。

 

エミリアに扮したレスリー・ブラウンはアメリカのプリマ・バレリーナであり

 

女優さんです。

 

だから、ミハイル扮するユーリーとの踊りは優雅で息を呑む美しさです。

 

現実的な熟女二人の絡みと対照的に二人のバレエは満腹感でいっぱい。

 

まあとにかく

 

超一流のダンサーの出演者が大勢出ていてうれしい限り。

 

タイトルバックは「ラ・バヤデール」の影の王国。

 

ミハイルのダンスがいっぱい観られまする。

 

眠れる森の美女から始まって、 ジゼル、

 

それから、すごいエネルギーが伝わる 海賊 のアリ。

 

ガラ公演のシーンでは

 

フォネスの白鳥の湖、

 

マルシア・ハイデとリチャード・クラガンによる 伝説 、

 

スザンヌ・ファレルとピーター・マーティンスの 

 

チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ。

 

そしてアルヴィン・エイリーが振付けたモダンの作品を

 

レスリー・ブラウンが踊るのだけど、シンプルですてき。

 

ラストはミハイルとレスリーによる ドン・キホーテの3幕のパ・ド・ドゥだが、

 

ほとんど全部見せてくれる。

 

全盛時のミハイルなので、もうこれだけで十分見がいがあるという作品です。

 

 

シャーリー・マクレーンという女優さんは

 

どんな大物女優と並んでも相手の女優さんを引き立てて、後ろに控えているようで

 

どっこい、かわいらしくてお茶目な毒舌がとってもインパクトがあって

 

さすがの存在感。

 

アン・バンクロフトは貫禄、貫禄、でも言いたいこと口にせず

 

男前の女性といったところですね。

 

 

      ★バレエを堪能する映画です。

 

  ランキングに参加しています。

ポチっと押していただけたらうれしいです。

   ↓

にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
にほんブログ村