≪チャーリングクロス街84番地≫・往復書簡を映画化 アン・バンクロフトの違った魅力が溢れる作品  | 吐夢の映画日記と日々の雑感

吐夢の映画日記と日々の雑感

懐かしい名画、最近の気になる映画のことを書いています。

好きなのは戦前のフランス映画です。

読まれて共感頂けたら、"いいね"を押してくださいませ。
励みになります。

 

    

 

こんばんは。いつもご訪問ありがとうございます。

 

今夜の作品のお題は
     

        ≪チャーリングクロス街84番地≫

 

 

アン・バンクロフトという女優さんのいつもと違った魅力の作品。

 

マリリン・モンロー主演の(ノックは無用)で1952年にデビュー・

 

私たちが彼女の存在を知ったのは1962度作品の

 

   (奇跡の人)でした。ヘレン・ケラーの厳しい教師として登場した時でした。

 

その後、(女が愛情に渇くとき)という印象深い作品の後、

 

ダスティ・ホフマンとの共演作(卒業)で圧倒的な存在感を見せてくれました。

 

本日のお題の(チャーリングクロス街84番地)は1986年

 

夫のメル・ブルックスが製作した洒落た作品です。

 

彼女の持つ本来の魅力とはまた違った魅力を醸し出していました。

 

どちらかというと大柄であくの強いイメージがありますが

 

この作品では謙虚であるが行動的且つ思慮深いアメリカ人作家を演じています。

 

お相手に名優、アンソニー・ホプキンス

 

私の最も好きな分野の映画です。

 

チャリング・クロス街 84番地 』という本を御存知でしょうか?

 

「書物を愛する人のための本」という副題のついた、書簡体小説です。

 

わたしは映画を観るまで全く知りませんでした。

 

読書はずーっと日本の歴史小説ばかり・・・洋物まで手が回りませんでしたもの。

 

これは

 

アメリカ合衆国の女性作家ヘレ-ヌ・ハンフから、

 

英国ロンドンの古書店への本のオーダーと、

 

入荷や請求、出荷のお知らせのやり取りなのです。

 

ヘレーヌの呟きがストーリーの案内を致します。

 

しかも20年以上に渡る、手紙のやり取りの物語。

 

そこから厚い友情が育まれる様は、奇跡に近いすてきな往復書簡になっていますが

 

これは友情というよりも

 

究極のプラトニック・ラブを描いた作品ともいえるかもしれません。

 

キャスト

ヘレーヌ           アン・バンクロフト
古書店主フランク     アンソニー・ホプキンス
妻ノーラ           ジュデイ・デンチ

 

     ストーリー

 

ヘレーヌは英国行きの飛行機に乗っていました。

 

初めてのロンドンに想いを馳せ、上機嫌でした。

 

隣席の紳士 ”ロンドンは初めて??”

 

ヘレーヌ   ”何か アドバイスでも??”

 

紳士    ”タクシーは遠回りを、地図は見るだけ無駄”

 

ヘレーヌ   ”引き返すべきかしら フフ?”

 

紳士    ”土地っ子でも歩けない・・だが楽しめる街です!!”

 

 

タクシーの中から乗り出すようにロンドンの景色を眺めるヘレーヌ。

 

ホテルでチェックインを済ませると早速、

 

街へ・・チャーリングクロス84番地へと向かいました。

 

そこは古書店屋さん。

 

だがあれから何十年??お店は廃業となっていました。

 

それでもヘンーヌはドアをそっと押して中へ入りました。

 

感慨深いものがありました。

 

ああ ここが二十年もの間、ニューヨークの私宛に

 

古書籍を発送してくれた場所・・・

 

ーーーーー絶版本を扱っておいでだと雑誌広告で拝見しましたーーー

 

二十年前を思い浮かべるのでした・・・・。

 

それは

 

戦後間もない1949年のニューヨークに住んでいたときのこと。

 

いつもいつも、大好きな英文学の古書を探していますが、

 

どれもこれも高くて到底買えなかった。ある日、

 

ロンドンの老舗古書店マークス社の広告を雑誌で見つけます。

 

早速手紙で直談判を始めます。

 

” 絶版本を扱っておいでだと雑誌広告で拝見しました

 

   古書=高価と考える私に「古書専門店」の名は恐怖です

 

私は古本好きの貧乏作家

 

     当地では高価な希少本しか手に入りません

 

    リストを同封します  一冊5ドル以下で汚れていない在庫が

 

    あれば送ってください  この手紙が注文書です  

 

 よろしくお願いします   ヘレーヌ・ハンフ”と

 

始まる茶目っ気たっぷりの文面で。

 

 

マークス社の社長店主フランク・マークス。

 

フランク  ”マダム 10月5日付のご注文 3分の2は揃えました

 

 ハズリットの随想3編はナンサッチ版「随想選」に”

 

スティーブンソンは「懇談録」に入っています  

 

      書籍小包にて送ります  無事届きご満足いただけることを。

 

請求書を同封します。”と店員の女性セシリーに口述筆記で書き取らせ

 

  タイプを打たせ、別の女性が梱包し、早速ヘレンの元へと送られた。

 

思いもかけぬ丁寧で心のこもった返事を受けとったヘレーヌ。

 

希望の品の在庫状況と価格について、

 

充分満足したヘレンは、すぐに感謝の気持ちと注文の手紙をしたためます。

 

ヘレーヌ ”マダム?は英国のミスの呼称??

 

”フランク”フフ!!”

 

ここから、ヘレーヌとフランクの長きに渡る友情が始まるのです。

 

フランクは、ヘレーヌの手紙を読んで、

 

こんな行為をする女性らしくその洒落たセンスの文面に感動します。

 

またヘレンは、古書店主フランクの

 

英国紳士らしい、上品で優しい文面に好感を持ちます。

 

文学を愛する者同士にだけ判る絆を育んでいきます。

 

二人のやり取りは、

 

やがて

 

周囲の人々も巻き込んで行くのです。

 

 

ランドーの「架空対話集」の在庫は??

 

「ランドーの作品と生涯」の第二巻が店にありお手紙のギリシャ人の対話も

 

入っています・・・・

 

ニューヨークでのヘレンの日常の姿が映される中でヘレンの手紙の文面が

 

聞こえ、チャーリングクロスでのフランクの日常が映される中で

 

フランクの文面が聴こえてきます。

 

それはもはや彼らの日常に

 

お互いの存在と二人にしかわからない書籍の話のやり取り、が

 

欠かせないものとなっていた。そしてそれは充実した二人にしかわからない

 

ワクワク感が心豊かにしていったのだった。

 

 

ある時、フランクの手紙の中で、食料が配給制で肉も卵も手に入らないことを

 

知ったヘレンは、フランクやその同僚達に、

 

いつもお世話になっているからと断わって

 

肉類や缶詰めなどの食料品を送ります。

 

この思わぬ贈り物に感激した家族や同僚達は、

 

それぞれが思いを手紙に込めてヘレーヌに感謝するのでした・

 

特にセシリーとは何度も手紙を交換していました。

 

フランクの家庭のこともセシリーがそれとなく教えていました。

 

定期的に食料品を届けてくれるヘレーヌへ、

 

同僚たちはみなで英国伝統の刺繍が施された美しいテーブルクロスを送ります。

 

受け取ったヘレーヌは、ロンドンへの憧れをさらに強めます。

 

ヘレーヌは映画「逢びき」を観てロンドンを歩いてみたいと強く思い

 

旅行を決意します。エリザベス女王の戴冠式の見物も兼ねての旅行を。

 

1953年のこと。

 

その事を知ったフランクは、まるで恋人に会うようなときめきを覚え、

 

心待ちにしていましたが、ヘレーヌの歯の治療が発生し、費用が思わぬ

 

高額であったために断念せざるを得なくなりました。

 

フランクの失望感は大きかった。

 

 

その後、月日は流れ、ヘレーヌは思いもせずに、脚本家としての仕事が舞い込み

 

生活も少しづつ豊かになってきます。

 

住んでいるアパートも改築をするということで追い出され、

 

明るく広いきちんとしたアパートに引っ越すことになりました。

 

一方、マークス社の皆は、全員合わせると五人。

 

フランクを除き散り散りになってしまいます。

 

それでも、頻繁ではないけれど、

 

フランクとヘレーヌは、古書と手紙のやり取りを通じて、

 

変わらぬ交流を続けていたのです。

 

ある日、マークス社の社長秘書からヘレーヌへ手紙が届きます。

 

内容は、フランクの突然の死を告げるものでした。

 

結局、会えぬままで終わってしまった二人。

 

フランク・マークスの妻ノーラからの手紙・・・

 

 

”ぜひ一度主人に会っていただきたかった 

 

穏やかでユーモアのセンスに溢れた人でした

 

   それに慎み深い人だったと弔状からわかりました。

 

古書業界の方々が 彼は博識な人だったとそしてその知識を

 

誰にでも与えていた  と 

 

お望みなら送ります・・時にはあなたに嫉妬もしました

 

  主人がお手紙をとても喜び、ユーモアの感覚も共通のようで

 

あなたの文才にも嫉妬しました

 

主人とわたしは正反対で

 

親切でやさしい主人に対し  アイルランド気質のわたしは言いたい放題

 

楽しかった分 今は寂しくなりました  本について いつも私に

 

教えてくれました

 

子供たちにも恵まれています だから独りきりではありません

 

乱筆 お許しください  ノーラ・・

 

 

ヘレーヌは送ってもらった古書を一冊づつ涙を流しながら

 

布できれいに拭いていました。

 

”ひとつ確かなことは 英国文学は ここにある・・”とつぶやいた。

 

それでも、諦めきれないヘレーヌ、すぐさまトランクを引っ張り出して

 

フランクの面影を追って、ロンドンへ旅立ったのでした。

 

ーーーーもう閉店された古書店に足を踏み入れ、

 

フランクや同僚達の思い出に浸りながら、

 

“フランキー やっと来たわ  ”と微笑むヘレーヌだった。

 

 

ヘレーヌに扮するアンはとても素敵です。

 

この作品で三度目の英国アカデミー主演女優賞を獲得しています。

 

1950年代のファッションがとても素敵なんですよ。

 

それはヘレーヌだけでなく他の女優さんも含めて、街行く人たちの

 

ファッションも含めて・・

 

そしてロンドンの生活様式もニューヨークのヘレーヌの生活様式も規模は違えど

 

とても似ていてインテリジェンスに満ちたいい時代の感覚。

 

美術がいいですね。

 

ヘレーヌの友人夫婦が常にヘレーヌと共にあるのも適当に上品ですてきです。

 

ノーラ役のジュデイ・デンチは、

 

年を経てからの彼女しか知りませんでしたが

 

昨今、色んな作品で若かりし頃の彼女にお目にかかりますが

 

ちょっぴり意地悪な顔立ちですが結構雰囲気のある美しさですね。

 

一見の価値ある作品だと思います。

 

rランキングに参加しています。

ポチッと押していただけたらうれしいです。

   ↓

にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
にほんブログ村