(裸足の伯爵夫人)・エヴァ・ガードナーの魅力・1954年度作品ジョセフ・L・マンキウィッツ監督 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

吐夢の映画日記と日々の雑感

懐かしい名画、最近の気になる映画のことを書いています。

好きなのは戦前のフランス映画です。

読まれて共感頂けたら、"いいね"を押してくださいませ。
励みになります。

       

 

 

 

      ≪裸足の伯爵夫人≫

 

 

 

  (渚にて)のエヴァ・ガードナーは強さも弱さも見せて魅力的でした。

 

先に投稿した  (モガンボ)に登場した時には母性的な温かなキャラクターで

 

これも魅力的でした。

 

そんなエヴァの作品をもう一本取り上げてみましょう。

 

 

ちょっとその前に・・・

 

エリア.カザンの作品は吐夢でもいろいろと取り上げましたが、

 

兼ねてより思っていたことですが、

 

カザンの作品でわたしが一番!と思うのは

 

≪群衆の中のひとつの顔≫という作品。

 

 

この作品はまたの機会に紹介しますが、

 

群集という力は時にはすごい力を発揮するが、

 

又、一方でいかにいい加減なものかを知らされることがあります。

 

マスコミを描いた作品では、後に≪ネットワーク≫など、

 

いろんな作品がありますが、

 

この≪群集の...≫ほど、

 

辛らつに描いた佳作はないと思うのです。

 

舞台女優のスター誕生を描いた、ーイヴの総てや女優志願、

 

また、喝采(もその部類に入るでしょうが)ーーなど、

 

マスコミではないにしろ、その舞台裏を描いた面白い作品も

 

たくさんありました。

 

 

今日、ご紹介する作品≪裸足の伯爵夫人≫は、

 

映画スターの隆盛といいますか、

 

これも群集に関連があるのです・・・・

 

 

 

ハリウッドのよき時代が終わろうとしている過渡期の作品。

 

ジェームス.ディーンに代表されるニュー.シネマとまでは

 

いかないまでも、

 

もう、新しい感覚の映画が台頭しはじめました。

 

よき時代のテンポの遅い映画は

 

ぼちぼちソッポをむかれ始めたころの境目の作品です。

 

 

じゃあ、旧い映画は駄目なのか?というと

 

やはり、若い方でもお好きな方はいらっしゃるわけで、

 

特に最近はお若い方のクラッシック映画ファンが増えたと聞きます。

 

 

そういった意味でこの作品も見逃してはならない。

 

というのも、

 

もう無くなってしまったけれど、テレ朝の日曜映画劇場がまだ、土曜映画劇場として番組を組まれた時の

 

第一回目の作品に選ばれている記念すべき作品だからです。

 

昭和41年の秋..9月の第一週の土曜日だったと記憶しています。

 

当時、まだテレビは白黒で、ジャック.カーデイフの

 

キレイなカラーが観れずに残念がったことを覚えています。

 

 

映画劇場を番組にして、ゴールデンタイムに

 

織り込むことは当時、テレ朝 さんは、

 

ものすごい勇気がいったそうです。

 

 

一回目の放映で失敗すると完全に映画劇場というものが

 

意味をなさなくなると。

 

しかし、この作品の高い視聴率で自信を得、

 

また、各テレビ局が競って

 

映画劇場をゴールデンタイムにもってきたという

 

経緯があるのです。

 

まあそういった裏話もたくさんありますが、

 

そういうことで、今日はその≪裸足の伯爵夫人≫を紹介します。

 

 

1954年度作品

 

 脚本.監督  ジョセフ.L.マンキウイッツ

 

撮影     ジャック.カーデイフ

 

出演.    ハンフリー.ボガード

       エヴア、ガードナー

 

 

      ストーリー
      
 北イタリアのラパロの墓地、

 

 冷たい雨の降る中で映画女優マリア.ダコタ(エヴア.ガードナー)の

 

埋葬が行われていた。

 

 人垣を離れて佇むハリー.ドーズ(ハンフリー.ボガード)の

 

胸に様々な思いが蘇ってきた。。。


 回想シーン....

 

ハリーはハリウッドの映画監督であった。

 

ーーー三年前のこと。

 

 好奇心から、映画製作に乗り出したテキサスの大地主、

 

カーク、エドワードに雇われた。

 

ハリーは仕事に行き詰まり、不調から脱却しようと

 

彼の野望に加わったのだ。

 

カークと一緒にヨーロッパにスター探しにやってきた。

 

 

マドリードの小さな酒場でまるで、炎のように情熱的に踊る

 

野生の女マリア(エヴア.ガードナー)を発見した。

 

その美貌と野性美の中に、スター性を見出したカークの命令で
 

ハリーは支配人に声をかけ、話をしてみようと

 

支配人に頼んだが、

 

マリアに相手にされなかった。

 

ハリーは、やむを得ず、監督というプライドを捨て、

 

 楽屋にマリアを訪ね、映画出演を交渉した.

 

酸いも甘いも弁えたハリーのこと、

 

そこはうまくマリアを説き伏せた。

 

マリアは、身ひとつでただちにヨーロッパに飛び、

 

 撮影は始められた。

 

 映画は大成功だった。

 

 

マリアは一躍大スターとなり、監督をしたハリーも

 

巨匠の座に返り咲いた。

 

ある日、マリアの父が母を殺すという事件がおきた。

 

マリアは法廷に立って、母の不倫ゆえの犯行だと、父を弁護し、

 

 世界中の同情を集めた。(群集心理ですね)

 

いまや押しも押されぬ国際級の女優となっていった。

 

 第二作目も成功し、ハリーとマリアの間は深い友情で結ばれた。

 

ハリーは友人という域を越えなかった。

 

 情熱家のマリアにはそれが不満だった。

 

 彼の気持ちが掴めないまま、彼女は

 

 たまたま知り合った、

 

ヴインチェンッオ伯爵(ロッサノ.ブラッツイ)の

 

南仏のヴイラに滞在した。

 

そしてついに結婚。伯爵夫人の座に収まったのである。

 

たまたま近くの村にロケで来ていたハリーは

 

会ったマリアから意外な話を聞かされた。

 

 伯爵は、戦争による性的不能者で、彼女にその診断書を見せて、

 

 彼女に許しを請うたというのである。

 

 野生のマリアには耐えられない事であった。

 

 彼女は情熱の炎をもてあまし、

 

ついに不義の子を身篭ってしまった。

 

ハリーは不安のあまり、

 

ロケを終えるとすぐにマリアの後を追って、

 

パリへと飛んだ。

 

しかし...

 

 

伯爵の邸へ着いたとき、二発の銃声が轟き、

 

ハリーは立ちすくんだ。

 

マリアとその情人が伯爵の手にある銃で撃ち殺されたのだった。。

 

マリアの埋葬される墓地....

 

伯爵は警察に引かれて行った。

 

マリアの死と共に、ハリーの映画生命も終わった。

 

いつまでも呆然と立ちつくすハリー・・・。

 

 

マリアが父の弁護をした時に群集は同情した。

 

が、この事件を知った 群集 は、マリアと共にハリーをも見捨てた。

 

この群集 という存在ーーー気になる要素のひとつなんですね。

 

エリア・カザンのー群衆の中のひとつの顔ーと

 

 フランク.キャプラのー群集ーという作品を

 

 いつか比較してみたいと思っています。

 

(モガンボ)の時のガードナーは情熱的な見かけの美しさに反して

 

母性愛に満ちた思慮深い女性を演じた。

 

しかし、彼女の持って生まれた華やかさ、情熱、で言うならば

 

伯爵夫人は彼女の魅力が100パーセント発揮されているのではないでしょうか。

 

 

 情熱の女、エヴアの魅力に尽きますね。

 

 私生活でも、最初は人気絶頂のミッキールーニーと結婚し、

 

 売名行為だと言われながらも、うまく立ち回り

 

 スターへの階段を上り始め、

 

かのハワード.ヒューズの熱心な求婚を退け、

 

フランク.シナトラに熱烈に恋し、結婚。

 

 

 (フランクは後にミア.ファーローと結婚)。

 

エヴァとフランクは6年間の結婚生活を送っている。

 

その間、名実共にハリウッドの人気女優として、

 

 又、着実に演技力もつけていった。

 

 全身から発散する情熱とモダンさ、貫禄。

 

こういう女優は今いませんねえ。

 

 

ハリウッドのあの時代だから、生まれたし、

 

 存在しえた女優であろう。

 

ボギーが一歩引いてしまった...。

 

ロッサノ.ブラッツイが

 

 アカデミーの男優助演賞を獲得したかなあと

 

記憶するのですが、違ったらごめんなさい.

 

裸足で炎のような踊りを踊っていた女性が伯爵夫人になる

 

 ということからつけられた題名。粋ですねえ。

  ランキングに参加しています。

ポチっと押していただけたらうれしいです。

     ↓

にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
にほんブログ村