①(ソフイーの選択)メリル・ストリープの魅力・魂が死んでも生きねばならない苦しみ ・ 1982年 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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基本、鑑賞後の感想ですのでネタバレが殆どです。
ご了承くださりませ。

ソフィーの選択
こんばんは。
いつもご訪問いただきましてありがとうございます。

 


今夜はいつか書きたい書きたいと思っていて中々書けなかった作品ーーー

 

メリナ・ストリープ主演の(ソフイーの選択)を取り上げてみたいと思います。

 

今はもうベテラン俳優となっているケヴイン・クライン(ネイサン)との共演です。

 

そしてもうひとりの共演者はピーター・マクニコル(ステインゴ)

 

深い深い意味合いの作品で、わたしはどこまでを理解出来たんだろうと

 

思ってしまった作品でした。

 

ストーリーの表面だけを読み取るだけでも深い。だから掘り下げると

 

もっともっと深いメッセージを突きつけてくる。

 

三人の登場人物

 

ソフイーのアウシュビッツを経験している烈しい過去

 

ネイサンの心の病気

 

そして二人の力になろうとするステインゴの絡み合いがとても重く

 

息苦しいんだけれど、ヒロインソフイーに与えられた人生にどうしても

 

目を背けることが出来ない。

 

何度も観る作品ではないが一度は絶対に観ておいたほうが良いと思う作品である。

 

 

    ストーリー

 

 

1947年のこと・

 

まだ弱冠22歳の青年スティンゴは

 

南部の田舎からわずかな所持金で、ニューヨークに自分探しの旅に出てきた。

 

作家志望である。まだ恋もしたことがない。

 

ブルックリンにあるジンマーマン夫人のアパートに行き着き、

 

内装がピンク一色という風変わりなところだがここに住むことに決めた。

 

着くや否や階段で2人の男女が争っているのを目にしたステインゴ。

 

女性はひどく美しい。

 

それがソフイー、ネイサンとの出逢いだった。


ネイサンは怒鳴るだけ怒鳴って出て行ったが

 

帰ってくるとソフイーに謝っていた。

 

その夜、

 

その時の女性ソフイーが訪ねてきた。

 

身の上話をする中でソフイーはーー父はポーランドの大学教授で

 

ユダヤ人を助けようとしたーーー

 

と語るソフィーの腕には、強制収容所の囚人番号の烙印があった。

 

翌朝、ソフィーとネイサンに起こされた。

 

ネイサンはファイザー製薬に勤めている生物学者で、

 

ステインゴはコニー・アイランドで遊ぼうと二人誘われ、二人とひとりは

 

たちまち親友となった。

 

 

そして二人の馴れ初めやお互いの身の上話をするのだっ
た。
ソフイーはアウシュビッツ強制収容所にいた経験があると言う。

 

収容所から解放され。一年以上経ってからアメリカに来て暮らし始めた・・・

 

もやしのように衰弱していたににもかかわらず、ブルックリン大学の図書館で

 

英語を学んでいた。

 

授業の時に講師が言ったエミリー・デキンソンというアメリカの詩人の本を

 

借りたくて司書に尋ねたが、名前を聞き違っていたのか、そんな詩人はいないと断られ

 

栄養不足でやせ細ったソフイーはその場で気を失ってしまった。

 

そこに居合わせたネイサンが彼女を介抱し今のアパートにに連れ帰ったのだった。

 

運命の出逢いだった。

 

たまたまネイサンはエミリーの詩集を持っていて

 

ソフイーにあげるよと手渡し、詩の一節を読んで聞かせた。

 

””寝床をゆったりと  おそれをもって整えなさい

 

    その中で  審判の日を待ちなさい   見事に晴れた審判を

 

   マットレスは真っ直ぐに  枕はふっくらと

 

      のぼる朝日の黄色い音に 

 

       この地を乱されるな””

 

こうやってふたりはそのまま一緒に暮らすようになった。

 

ネイサンは心の病ーーーネイサンの兄の話によると

 

精神障害で病名は妄想性分裂症。穏やかな日もあれば狂犬のように

 

キレまくる日もある病気だ。

 

スティンゴはネイサンがソフィーに何気に言った言葉・・・

 

わかるかソフィー、俺たち死ぬんだーーーが心に引っかかった。

 

ある夜ソフィーがステインゴを寝酒に誘う。

 

ポーランドで育ったソフイーは母国語のポーランド語の他に

 

ドイツ語、フランス語、ロシア語。ハンガリー語などを駆使できること

 

そしていま英語を学んでいること。

 

ステインゴは12歳の時に母親を失くしたこと。

 

ソフイーは結婚していたことも話した。

 

そして、父と夫がドイツ軍に拉致されて処刑されたこと、

 

自分は病気の母のため闇市でハムを買ったことが原因で

 

結局はドイツ兵に捕まりアウシュヴィッツに送られた話もした。

 

カソリック教徒である彼女は、解放後、教会で自殺を図ったとも語る。

 

手首に刻まれた収容所の烙印を見せるのだった。

 

そして飲みながらネイサンの部屋へ入ると、

 

ナチ関係の本がいっぱい。

 

ユダヤ人である彼はナチの犯罪が許せない。

 

帰ってきたネイサンは

 

スティンゴの書きかけの大事な原稿をひっさらって読み、

 

ソフィーとスティンゴを連れてブルックリン橋へ行き、

 

スティンゴは偉大な作家になると大声で叫ぶのだった。

 

ある日、ネイサンはノーベル賞ものの研究が完成したと打ち明ける。

 

その夜、ネイサンは精神状態が不安定になり、

 

ソフィーが雇い主と外出したことを責めたあげく

 

スティンゴの小説を青くさい自己憐憫という。

 

翌日、ネイサンとソフィーがいなくなった。

 

スティンゴは、ポーランド時代にソフィーの父の講議を受けたという教授を訪ねた。

 

意外な事実を聞いた。ソフィーの父は実はナチ信奉者だったというのだ。

 

ソフイーはなぜそんな嘘をついたのだろうか?

 

その夜、もどってきたソフィーを問いつめると、彼女は父と

 

父の弟子であった夫が

 

反ユダヤ主義者であったことを認める。

 

だが、ナチにとってそんなことはどうでもよく、父と夫を拉致した。

 

彼女自身も息子ヤン、娘エヴァと一緒にアウシュヴィッツに送られたのだという。

 

ヤンは子供バラックに送られ、エヴァは抹殺され、

 

彼女は収容所長ヘスの秘書にされた。

 

父のナチ賞揚の論文を見せヤンをドイツ人化計画に組み入れてくれと頼むが、

 

効果はなく、ヤンのその後は知れずじまいに終ったとソフイーは言った。

 

ネイサンはソフィーに求婚し、

 

新婚旅行にスティンゴの故郷である南ヴァージニアに行くと上機嫌。

 

幸福そうなソフィー。

 

ある日、またネイサンが怒り出し、

 

スティンゴはソフィーを連れてワシントンに逃げる。

 

ホテルの一室で、ソフィーに求婚するスティンゴ。

 

ソフィーは、結婚の話はしないで。子供の母親は他の女性にして””と告げる。

 

まるで幸せになることを拒否するように・・・・

 

”あなたに話しておくことがあるわ”・・・

 

それはアウシュビッツで起きた真実であった。

 

アウシュヴィッツの駅でナチの高官の目に止まったソフイー。

 

美しすぎるのだ。ポーランド人か??と言う問いにすぐ返事が出来なかった。

 

行きすぎた高官に

 

””ええ、ポーランド人です、カトリック教徒です。”と至らぬことを口走ったソフイー。

 

”キリストを信じているのか??では子供を差し出せ”と高官は言うではないか。

 

出来ないと言うと、高官は、

 

”じゃあ二人とも焼却炉行きだな”と冷たくきつく言い放った。

 

”一人を差し出せば一人は助けてやる。いやなら二人とも焼却炉行きだ!”

 

 

非情な選択を迫られ、追い詰められソフイーは””娘を連れてって”と

 

 

叫んでしまった。泣き叫ぶ娘にソフィーも悲鳴をあげて泣き喚いた・・・

それが一生ソフイーについて回る非情な選択の重石だったのだ。

 

・・・・スティンゴとはその夜、結ばれた。

 

翌日ソフィーの姿はなく別れの手紙が置かれていた・

 

ブルックリンに戻りアパートを訪ねたスティンゴは、

 

ソフィーとネイサンが自殺したことを知った。

 

ネイサンの兄に案内され二階に上がると

 

ネイサンの腕に包まれるようにソフイーは抱かれ安らかな死に顔を見せていた。

 

傍らには二人の思い出の詩人エミリー・デイキンソンの詩集が置いてあった。

 

詩集を開いたステインゴはつぶやいた・・・・

 

”寝床をゆったりと恐れをもって整えなさい・・・・あの詩のままの
姿であった・・・・

 

 

こうしてステインゴのブルックリンでの自己発見の旅は終わった

 

ふたりに対する憤りも悲しみも解き放った

 

彼らは  この地上で虐殺され裏切られーー殉教者となった子供たちの

 

一部に過ぎないーーやがて目に入ったのは

 

濁った川面に照り返す夜明けの光だったーーそれは審判の日ではなく・・・ただの

 

      朝 だった。見事に晴れた朝だった。

 

ピューリッツァー賞作家ウィリアム・スタイロンの原作。

 

アラン・J・パクラ監督が映画化。

 

 第二次大戦。

 

ホロコーストを描いた作品は数多く見た。

 

暗く重くそれでもずしっと心に刻み込まれたこの作品の魅力を考えてみた。

 

なぜネイサンはソフイーに惹かれ、

 

ソフイーはなぜネイサンだったのか??

 

形こそ違え心に傷のあるもの同士が傷口をなめあうような愛情。

 

 

この作品はナチスがどうのこうのというものではなく、

 

ソフイーが こんな不条理な人生に甘んじて生きていかなければならなかったかを

 

描いたドラマですね。

 

アウシュビッツに連れて行かれたから、

 

ソフイーは選択を迫られる運命に出くわした

 

その非情な選択を犯してしまった母としての罪を背負って魂が死んでしまった。

 

その生き様を三人の関係から浮かび上がらせていると感じました。

 

 

ラストでソフイーがステインゴに

 

”あなたに話しておくことがあるの”と告げたことが物語の核心で

 

”ソフイーの選択”でした・

 

どうしてあんな愛情を求めてしまうのか・・・

 

心の病で自分を見失ってしまったネイサンのために生きようと思ったソフイー。

 

過去の選択で魂を失ってまったソフィー。

 

生きてても死んでいるこの2人だから

 

お互いが必要であり傷つけあって救われていたのだろう。。

 

 魂が壊れても生きなければならなかったソフイーの苦しみと悲しみ。

 

その選択の意味が明らかになったラスト・・結末は

 

彼女が待っていたそのときなのだろうと思わざるを得ない。

 

人生は選択の繋がりだとよく言うが、ソフイーの選択はあまりにも辛い。

 

人が生きるとうことは、誰かの犠牲の上で成り立っている。

 

メリナ・ストリープはデビューして5年後にこの演技です。

 

すごい女優さんですね

 

一度目のアカデミー主演女優賞受賞

ケヴインは新人賞を受賞・・まだデヴュー間もないのですね。