(白夜)ドストエフスキー原作・・・ルキノ・ヴイスコンテイ作品 伊 1957年度 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

吐夢の映画日記と日々の雑感

ご訪問ありがとうございます。
懐かしい名画、最近の気になる映画のことを書いています。

戦前のフランス映画が大好きです。

読まれて共感頂けたら、"いいね"を押してくださいませ。
励みになります。

 

 

          《白夜》   
こんばんは。いつもご訪問いただきましてありがとうございます。
 

今夜のヴイスコンテイ監督の作品・・・

   《白夜》
 

作家ドフトエフスキーの五大作品は《罪と罰》、《白痴》、《悪霊》、
 

《未成年》、《カラマーゾフの兄弟》ですが
 

この《白夜》はドフトエフスキーの
 

初期の短篇を映画化したものです。

 

(白痴)は黒澤明作品で取り上げましたね・


白夜・・・・

 

舞台を19世紀のサンクトペテルブルグから
 

現代イタリアの港町に変えて作られた映画です。
 

1957年のヴェニス映画祭“サン・マルコの銀獅子賞”を受賞している。



なんと マリア・シェルとマルチェロ・マストロヤンニ、それに加えて
 

ジャン・マレーの共演という贅沢なキャストです。
 

マリア・シェルの作品は過去に取り上げた《居酒屋》で登場していますね。
 

見た目、薄幸なオーラを出すマリアは居酒屋でもそうでしたが、
 

変に意固地なところがありイノセントな感じの強いヒロイン。

 

この《白夜》でも共通した
 

キャラクターのように思えます。
 

《居酒屋》のジェルヴェーズがこれでもかこれでもかといたぶられても
 

流されていく・・観ていて歯がゆくなるほどの悲惨さ・・
 

マリア・シェルにうってつけの役どころだったと思います。
 

この《白夜》は、  ヒロインナタリアに恋するマルチェロ扮するマリオの
 

愛の誤算を描いて面白い。

1957年度作品
キャスト
マリオ   マルチェロ・マストロヤンニ
ナタリア  マリア・シェル
下宿人   ジャン・マレー
娼婦    クララ・カラマイ

イタリアのある港町。ここへ越してきたばかりの青年マリオが
 

夜の飲食街かな・・・裏通り路を散歩していると、
 

運河の橋の袂にに立たずむ一人の少女を見かけた。
 

少女は泣いているように見えた。
 

マリオはただ、興味をそそられて、初めての土地で知り合いも無く寂しさもあって
 

少女に声をかけた。
 

彼女は大きな悲しみを抱えているようで、どうしてもマリオは彼女に声を
 

掛けたかった。
 

マリオと名を名乗り、やわらかく断わる彼女を
 

何とか家まで送った。明日又会おうと約束して別れた。
 

しかし、少女はマリオが帰ったとみるなり、
 

また、さっき居た橋にひき返して行ったのだった。
 

翌晩、少女は約束を破ってマリオから逃れようとした。
 

マリオ少女をやさしくなじった・


 

少女は素直に謝って、ナタリアという名を教えてくれた。
 

そして、なぜ 毎晩
 

 

橋へ行って立っているのかを話してくれた。
 

ナタリアは眼のわるい祖母と二人、
 

家の二階を人に貸して何とか生計を立てていること。
 

そしてその下宿人の青年と親しくなった。
 

男は自分のことをなにも語らず、
 

ナタリアもまた世間知らずの少女だった。
 

二人の間には愛情が芽生え、
 

ナタリアは生まれて初めての恋に有頂天になった。
 

だが、男は突然、町を出て行った。
 

ナタリアは彼について行こうとしたが
 

男はそれには反対で一年経ったら必ず戻ってくると言い残して。
 

その時にあなたの心が変っていなければ結婚しようといって、
 

運河の橋のたもとで別れたのだった。  一年経ちました。
 

ナタリアは毎晩、約束の橋の上で男を待っているときに、
 

マリオに出会ったのだった。
 

マリオは、こんな夢のような話が・・・少女は男に騙されたのではないかと
 

驚いた。
 

その上、男はすでに街に戻っているというではないか・
 

ナタリアはマリオの友情??に甘えて、その男に手紙を渡してくれと頼む。
 

彼は引き受けたものの手紙を男に渡す気は無かった。
 

破って捨てた。
 

マリオはナタリアを本気で愛してしまい、その男に渡したくなかった。
 

てっきり手紙が男に渡っているものと思っている彼女は
 

心は弾み、もうすぐ男に会えるんだと浮き浮きしていた。
 

手紙に書いた約束の時間が来て、

 

ナタリアはマリオを残して橋の方へ急いで駈けた。
 

だがそこには誰もいない。
 

絶望した彼女にマリオはすかさずに
 

愛の告白をしたが、ナタリアは振りきって行ってしまった。
 

傷心のマリオは街をさまよっていて彼女にまた出会った。
 

そこで例の手紙の件を白状した。

 


ナタリアは、マリオに迷惑をかけたことをわび、
 

彼の愛を受入れて、現実の恋に生きようと考え直した。
 

二人は未来を語り合いながら、雪の降り出した夜の街を
 

雪の玉を投げあったりしてさまよった。
 

(この雪の場面がロシアでは白夜なんですよねきっと)


 

ふたりが明るく笑い転げながら、楽しそうに・・・橋の近くまで来たその時
 

その男がそこに・・橋の上に立っているではないか・・・
 

ナタリアは突然駈け出した。ナタリアは男の胸に飛び込んでいったのだった。
 

マリオはそれを静かに見送るしかなかった・・・・
 

白夜の深夜、さびしく裏通りを歩くマリオに一匹の野良犬が寄り添っていた・


マリオの失恋・・・
 

純真そうで世の中を知らなさそうに見える
 

ナタリアの心の強さを見抜けなかった男の誤算が招いた失恋でしょう!!
 

つかのまの幸せな夢を見せてもらいましたねっ。
 

(サンクトペテルブルクの白夜は、日没の時刻が朝にあたり、
 

黄昏と黎明が一晩中続く期間のことを指すのだそうです。)
 

「夏の嵐」の脚色をした女流脚本家スーゾ・チェッキ・ダミーコが

 

脚色しているので女心のえぐさが際立ちました。

 

ヴイスコンテイの作風は、貴族社会に焦点を充てた絢爛豪華なまたその没落を描く一方で、プロレタリアの中での

 

社会を皮肉るメッセージをつき向ける作品とに分かれると思うのですね。

 

この悲恋物語は雪に閉ざされ、誤算の結果の残酷な結末になるのですが、なにかしら、観終わってほのぼのと暖かいものが

 

印象付けられる。

 

それは・・・

 

主人公マリオに向けるヴイスコンテイの温かな眼差しを感じるせいかも知れない。

 

港町で青年マリオは橋の上にたたずむ一人の少女を見初める。

 

恋人を待ちわびるナタリアというその少女をなんとか踊りに誘い出すマリオ。

 

愉快に踊って笑わせた後、曲は主題歌 “スクーザミ”に替って頬を寄せ合うチークダンス。

 

うれしさを満面に浮かべる青年の顔を見るうち、少女の心も彼に傾きかけたが・・・・

 

肩に回した彼の腕時計が、無常に時を刻むのをふと目にし、

 

その針の音にせき立てられるように、橋の上へ再び駆け出してゆく少女・・・・・・

 

すべてが、セットでの撮影。

 

ヴイスコンテイ初期の作品ですが、華やかな貴族社会を描く作品とは対照的に

 

ふりそそぐ雪のに咲く白き花のような世界を見た・

 

音楽はニーノ・ロータです。

 

ランキングに参加しています。

ポチっと押して頂けましたらうれしいです。

    ↓

にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
にほんブログ村