《家族の肖像》

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           《家族の肖像》

 

 

 

イタリア映画界において、フェリーニは天才、ヴィスコンティは巨匠だと
 

以前書きました。
 

ヴィスコンティの方が難解な監督のように思われがちですが
 

わたくしはどちらかと言えばフェリーニのほうが難解。に感じます。

今夜はヴィスコンティ晩年の作品で、B.ランカスターの最高の演技の
 

作品である”家族の肖像”を取上げるのですが、
 

ランカスターを語る前にヴィスコンティその人を少し整理してみたいと思います。

わたしも彼の作品をそうたくさん見ているわけではありません。
 

叶夢で紹介したヴィスコンティの作品は、
 

”若者のすべて”、”山猫”、”夏の嵐”、”ベニスに死す”位でしょうか。

”揺れる大地”という初期の作品は見ていないのですが、機会があれば

ぜひ観てみたいと思っています。

 

”若者のすべて”は南イタリアに住む貧乏な一家族が
 

北のミラノの新天地に希望を抱いてきて、そして家族が
 

崩壊していくさまを
リアルに描いたまさに号泣ものの作品でした。

ヴィスコンティはイタリアでも屈指の名門の貴族出身ですが、
 

彼自身は極端な左翼思想に影響された人で
 

自らの貴族階級というものを容赦なく否定したところに
 

彼を知る鍵があるように思います。

それは”山猫”や後年の作品に美と頽廃を徹底した時代考証で
 

歌い上げているところにあると思うのですが・・・・。

彼の完全主義なリアリズモは見るものには息苦しく、
 

偏執的にさえ感じられる。
 

徹底した考証再現で描き、容赦ない姿勢を作品に貫いた
 

エネルギーは
 

ただただ、すごいなと・・思うのです。

フェリーニはというと
 

ストーリー性を重要視せず、映像感覚で表現する・・・という
 

感覚がどうも苦手です。

”家族の肖像”は
 

実生活で、ヴイスコンテイが  愛人関係・・・同性愛と言う関係に

 

あったと言われるヘルムート・バーガーを美の象徴として据え、

死を間近にした老人ランカスターの戸惑いは
 

まるでヴィスコンティ自身をモデルにしたのかと思う作品です。

”ベニスに死す”は大好きな作品ですが、
 

ダーク・ボガード扮する老作曲家が若く美しい少年の息吹に
 

胸苦しさを覚えながらも彼を眺められずにはいられない・・・
 

・・芳香なワインのような作品でした・
 

これもヴィスコンティ自身を投影しているようですね。

”家族の肖像”はそれをも超越して生きる気力もなかった
 

老人に生きる活力をもたらし、
 

そしてまた絶望し、死を迎えるといったものを描いている。
 

それは、旧いものと新しいものの交代はどうしようもないと言う
 

監督のメッセージであろうか・

どんな題材のモノでも
 

ヴィスコンティの手にかかるとそれはもう芸術の域に招じられると言った方がよい
 

重厚さをもって伝わってくるのですね。

そして、ランカスター・・・
 

前期、ランカスターは野性的な魅力で売っていた俳優ですが、
 

”山猫”での没落貴族の役柄で演技に開眼した。

ヴィスコンティによって
 

彼の持つ渋さが引き出されたといって良いでしょう。
 

そして役者は役に埋没していった・

簡単なあらすじ

騒々しさを嫌いひとり大きな館に住む老教授(バート・ランカスター)は
 

孤独を愛し、
 

たくさんの絵画・・家族の肖像画に囲まれて静かに暮らしている。

そこへ傍若無人にも突然、公爵夫人(シルバーナ.マンガーノ)が
 

愛人で元学生運動家の美青年、
 

娘とその愛人を伴って、拒む老教授の声に耳も傾けず
 

間借りをしたいとやってくる。それはもう侵入と言う表現が
 

いいかもしれない。

女たちはそれぞれ身勝手、
 

男たちは屁理屈をこねる輩である。

騒々しく勝手に二階を改築したりと
 

老教授は、彼らに振り回されわけであるが
 

そのうちに
 

その仮の家族のような錯覚にむげに抵抗する事もなくなり
 

むしろ美少年のヘルムート・バーガーに美の対象を見つけ
 

何かと構うようになる。


 

そしてそれが息子への愛に変化してゆく。
 

それは生きる意欲のなかった孤独な老人の
 

生への気力と変る。



だが、旧い階級意識や因習はいずれは崩壊し、新しいものへと
 

移り変わっていくものだと気づいていくその中で
 

美少年の死によってまたもや老教授は生きる意欲を失い、
 

孤独な死を迎えると言う物語である。



それは明らかに貴族制度は崩壊しても、新しい息吹で
 

新しい形へと受け継がれていくものだという監督のメッセージでありましょうか。

この老教授役は
 

ランカスター最高の出来栄えであると思うのですね。

そして病から一旦は立ち直ったヴィスコンティが
 

死を予感してランカスターにわが身を投影して
 

愛人であったヘルムート・バーガーを起用して
 

撮ったというのは興味深い。

まるで私設美術館のような豪華な邸宅で繰り広げられる
 

舞台劇のような人間模様は一見の価値アリです。

バート.ランカスターの作品は
 

叶夢では過去に、前記した”山猫”、
 

ハリウッド作品の
 

”愛しのシバよ帰れ”、ドロンさんとの共演作品”スコルピオン”を
 

紹介しています。

他に”空中ぶらんこ”や”終身犯”、ヘップバーンとの
 

共演作品”許されざる者”、大好きな作品”雨を降らす男”
 

”地上より永遠に”などなどたくさんありますね。
 

1974年度作品
 

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