(河のほとりで)・コーヒーブレイク 哀悼 星由里子さん・ 1962年作品 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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好きなのは戦前のフランス映画です。

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哀悼 星 由里子さん

 

  

哀悼・・星由里子さん
    (河のほとりで) 
こんばんは。いつもご訪問いただきましてありがとうございます。

 

先月東宝の青春スターだった  星 由里子さんが亡くなられました。

 

青春映画、特に加山雄三さんの若大将シリーズでは

 

マドンナ澄ちゃんで知られた星さんですが、いろんな男優さんと共演された

 

東宝のドル箱スターでした。

 

あの時代・・・・・東宝では
         星 由里子さん 
         浜 三枝さん

 

  ちょっと後に内藤洋子さん、酒井和歌子さんがいらした。

 

青春スターのたくさんいた日活とはまた一味違うカラーで、

 

中流家庭育ちのお嬢さんっていうイメージが強かったですね。

 

若大将シリーズでは”大学の若大将”から”リオの若大将”まで11作

 

加山さんのお相手をしています。

 

今夜紹介する(河のほとりで)は3,4作目だかの若大将の合間に撮られた作品で

 

!青い山脈以来当代人気作家の石坂洋次郎原作の

 

青春映画の傑作と言われている作品です。

 

石坂洋次郎作品はもう男女問わず言いたい放題のセリフが特徴で

 

1960年代に日活、東宝競って溢れるように製作されました・

 

河のほとりでは青春映画なんだけれども

 

親たち・・・つまり大人の複雑な恋愛問題も加えて奥行きの深い

 

そして名優、名女優のオンパレードの作品になっている。

 

 

ストーリーに入る前にキャストの紹介を

 

多賀谷家
多賀谷新蔵・・・・山村 聡
   とも子・・・草笛光子
 娘 たね子・・・星 由里子
 弟 正二郎・・・・田辺靖雄

 

 知人藤吾・・・・・・東野栄冶郎
 その妻となる珠子・・・乙羽信子

 

高山家
高山兼吉 ・・・・加東大介
  あさ子・・・・淡島千影
息子 新太郎・・・加山雄三
 妹    ・・・桜井浩子

 

高山家旅館の従業員 信子・・・池内淳子
      恋人坂本敬三・・・小林圭樹

 

牧師・・・・・・・有島一郎
妻  ・・・・・・沢村貞子 


多賀谷新蔵が仕事を終えて乗った東京行きの飛行機で偶然

 

隣席に座った女性は・・二十数年前に離婚したあさ子であった。

 

久しぶりに会った二人はなんだか感無量のような雰囲気。

 

あさ子は今は高山兼吉と結婚し、熱海で旅館を経営していた。

 

”あなたは受身で生きる静かな女性で、妻のとも子はそのときそのときを

 

精一杯生きる女性で正反対だと”改めて言った。

 

空港にはあさ子の長男新太郎が迎えに来ていて

 

三人はお茶を飲みながら挨拶を交わした。

 

するとなんと娘のたね子と同じ大学に通っていることが分かった。

 

新蔵は帰宅してから、とも子にその日の出来事を話した。

 

新蔵の娘たね子は二十一歳。

 

フランス文学を専攻する美しい女子大生で

 

明朗快活、歯に衣着せぬかしこく潔癖な娘だ。

 

ある日、たね子は帰宅した時に、母親とも子と知人の藤五が

 

激しく言い争っているのを耳にしてしまった。

 

あとで藤吾に問いただすと

 

父親の新蔵にはむかし別の妻があり、とも子がその人から新蔵を

 

奪いとったらしい。

 

……。その人はとも子のまたいとこにあたりしとやかで美しく、

 

とも子とはとても仲良しで、あさ子が新蔵と結婚してからも

 

いつも遊びに来ていた。そして積極的なとも子がひょんなことから

 

新蔵と愛し合うようになり結婚に至った。

 

両親の秘密はたね子にとって大きなショックだった。

 

自分が一人の女の人の幸せを踏みにじって、この世に生れたということに

 

嫌悪感を感じた。

 

高山新太郎はたね子と同じ大学の経済科の学生。

 

ラグビーで鍛えた身体は逞しく、明るく飾り気のない好青年だ。

 

たね子は大学の学生たちから””文科のバラ””と呼ばれ憧れの的だった。

 

新太郎とたね子はお互いに好意を抱きながら、まだ口をきいたこともない。

 

ラグビーの練習の後偶然出合った時にたね子の方から声をかけた。

 


両親が知り合いであることから急速に仲よくなっていった。

 

夏休み。新太郎はたね子に従業員で年上の女信子と

 

関係があったと自分の秘密を打ちあけた。

 

「……不潔だわ」

 

”私は恋人になる人からは君の瞳は星のようだとか君の口びるはバラのつぼみのよ

 

うだとか告白されると思っていたのに年上の女性と寝た・・とか言われるなんて

 

許せない!馬鹿にしてるわと激怒した。

 

新太郎にしてみればすべてを知ってもらった上で愛して欲しいと思ったまでだっ

 

た。その信子も旅館のお客で坂本敬三と結婚すると言う。

 

男女の間でもおやこの間でも思ったことをすべて口に出す。それも

 

饒舌に喋るのが石坂文学の特徴で

 

現代の若者の恋愛ドラマに比べても

 

よほど雄弁にくどいほど心のうちをしゃべっている・・

 

今よりも進歩的に感じてしまう。

 

 

数日後、あさ子は上野の陶磁器の展覧会に出かけて、新蔵に電話を入れた。

 

しかし、あさ子は新蔵に会っているだけでは何かもの足りないと思った。

 

何なんだろう??そうだ。とも子さんに会いたい、

 

とも子さんの声を聞きたい、

 

自分では気づいていなかったけれど、

 

そういう思いがあって新蔵に会っていたのだと気付いた。

 

そしてある夜、

 

もう一人の友人珠子のバーに飲みがてら相談に行った。

 

そしてその足であさ子は多賀谷家を訪れた。

 

”ごめんください”というあさ子の声に

 

とも子は”あの声はあーちゃんの声よ!!”と玄関に飛んでいった。

 

劇的に対面したふたりはかつての男への未練など毛頭なく、

 

。二人の女と一人の男が、こだわる気持もなく二十年振りの再会を

 

喜び合うのだった。

 

澄みきった秋の空、ゆったりと流れる河のほとりを散歩する新太郎とたね子は

 

何もかもすっきりとした今、素直な恋人どおしに成っていた。

 

 

別れた夫婦の偶然の再会が、二つの家族の間に

 

小さな波紋を起こしていく様子を描いた文芸作品で、

 

東宝の創立30年の記念作品である。

 

脇を飾る大人たちはみんな一枚看板で主役を張れる女優さんたち。

 

贅沢な配役です。そして

 

やっぱり星さんはキュートだ。のびのびとした屈託のない

 

 

お育ちのよさが感じられるすてきな女優さんでしたね。

 

ゴジラもいい、ハードボイルでは夏木洋介さんと共演したり

 

出演作品はめちゃくちゃ多いのではないかしら。

 

ご冥福をお祈りいたします。

 

後日、銀幕の女優さんの一人としてまた作品を選んで書きますので

 

よろしくです。