『悪魔のようなあなた』・フランス映画特集④ 記憶喪失の男が暴く完全犯罪・・アラン・ドロン作品 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

吐夢の映画日記と日々の雑感

懐かしい名画、最近の気になる映画のことを書いています。

好きなのは戦前のフランス映画です。

読まれて共感頂けたら、"いいね"を押してくださいませ。
励みになります。

 

こんばんは。いつもごほうもんありがとうございます。
フランス映画第四夜・・・
今夜は
ジュリアン・デヴイヴイエの晩年の作品を一本・
アラン。ドロン主演の『悪魔のようなあなた』です。


≪悪魔のようなあなた≫のテーマ曲は

 

≪冒険者たち≫でお馴染みの曲の作曲者、

 

フランソワ・デ・ルーペが担当している。

 

 

 最初に担当することになっていた、フィリップ・サルドが

 

担当していたら、どんな風にイメージが変っただろうか??

 

ワクワクしながら再度見てみました。

 

うんうん、なるほど・・・・

 

 でも、当初予定されていたサルドの曲は

 

≪暗黒街のふたり≫に行ってしまったが、

 

その曲をこの作品にあててももうだめ!でした。

 

≪暗黒街のふたり≫のメロディーはもう、

 

この作品のものとして

 

頭にインプットされ、

 

わたしの頭にぴたりと納まってしまっているからだ。

 

フランス第一次黄金期の四大巨匠のひとり

 

 ジュリアン・デヴィヴィエ監督による

 

≪悪魔のようなあなた≫は

 

デヴイヴイエ晩年の作品である。

 

ハリウッドタッチのサスペンス・・・

 

 そしてメロドラマっぽいデヴィヴィエタッチは細部に生かされ、、

 

なまめかしいセンタ・バーガーのお色気に

 

 メロメロになるドロンの記憶喪失による

 

謎解きものとして、過去の≪自殺への契約書≫に通じる

 

面白さの作品であった.・

 

 

南フランスあたりか?

 

 道路を突っ走る車がドカーンと言う音と共に

 

 ひっくり返り天地はまッ逆さま・・・

 

気が付いたときには

 

 ピエール(ドロン)は病院のベッドの上でした.・

 

 

奥様はご無事ですよと言う医者の言葉に

 

  ”ぼくに奥さんが??・・・・

 

左手の薬指には結婚指輪が確かにある。

 

 奥様に連れられて帰ったところは広大な敷地と立派なお邸。

 

 東洋趣味も混ぜられたそのお邸には中国人の召使キエムと

 

 フレデリック(以下フレディという)という医者がいた・

 

 

 ピエールはどうやら記憶喪失で自分が何者なのか、

 

 名前もなにも覚えていない・

 

奥様の話によると自分はジョリュジュ・カンポと言う名で

 

 どうもたいした富豪であるらしい・

 

1ケ月前まで香港に在住していたらしく、

 

 東洋人の愛人も居たらしい。

 

 

 横暴でわがままな男だったと奥様・・・妻クリスティーヌ)ーー(センタ・バーガー)

 

・・・と使用人のキエムは言った。

 

 

だがジョリュジュと言われても、そんな生活の記憶は皆無。

 

 妻と一緒にベッドに入った記憶もないと

 

 フレディに告げるジョリュジュ(ドロン)。

 

こんなキレイな妻が居るとなれば誰だってその気になって

 

 その人物になってしまいたいだろうというフレディの言葉にも

 

 いつ記憶が戻るカもしれないという妻クリスティーヌ(以下クリス)は

 

どうも様子がおかしい・

 

 ジョリュジュは

 

最初はジョリュジュとしての記憶を取り戻したかったが、

 

 何度か危うく殺されそうになり、

 

その上眠っている時にふと見る夢に

 

 アルジェリアの夜が垣間見えることで、

 

 果たして本当に自分はジョリュジュなのか?

 

という疑問を解き明かそうと邸を探索し始める。

 

ジョリュジュが飼っていた犬も

 

彼に吼えて噛み付きそうになったことも疑問のひとつだった・

 

 

 ある日

 

 庭を探索していて

 

犬が掘った土の中に、人間の手を見つけ、

 

やはりここの主人、

 

ジョリュジュは殺されていると確信をもった・

 

 

 だが妻に話し、現場に行くと死体は無かった・

 

 

疲れているのよと言う妻の言葉と

 

夜、眠りの中で聞こえてくるあの催眠術のような声・・・

 

”お前・・ジョリュジュ・・

 

    もう死んで楽になるのだ.・・・自殺するのだ・・・!

 

    という声に何がどうなっているのだ?と

 

疑問を整理し始めたジョリュジュであった。

 

 

 毎夜眠る時に飲まされる薬も飲まずにベッドに横たわると

 

今夜もまた、

 

あの声は聞こえてきた・

 

 が、今夜は意識もはっきりとしている彼は

 

 その声を探した.

 

 

それは、どうやら枕の下から聞こえてくる・・

 

案の定、枕の下でテープレコーダーが回っていた・・

 

やがて、妻を言いくるめ、甘い言葉で

 

彼女をついにベッドへ運んだジョリュジュは

 

明くる朝、ついに真相を聞き出した。

 

 

フレディと夫ジョリュジュが嫉妬で争いとなり、

 

 夫を殺してしまったこと。

 

 死体を埋めたこと。

 

キエムは自分の愛人であること。

 

ピエールに何故白羽の矢が当ったか?

 

アルジェリア帰りで身寄りが無かったこと・

 

 あの事故で本当は死んでもらうはずだったこと・

 

 

 それから、ピエールはフレディが戻ってくると

 

 クリスが本当の妻になった・・・と伝えた.・

 

 するとフレディは逆上し、クリスをぶった。

 

 

 冷ややかに観察するピエール・

 

 クリスを殴打し続けるフレディの胸にナイフが突き刺さった・

 

 キエムが刺したのだった・

 

 

 ピエールは受話器を取って、警察に電話をしようと・・・・

 

 

 ところが、クリスの拳銃がピエールに向けられた。

 

そして全ては自分の仕組んだことだと告白した。

 

しかし、ピエールを少し愛しはじめていたクリスは

 

 じっとみつめるピエールの目に

 

 すくんでしまった・・・

 

諦めたクリスは銃を降ろした・

 

再度ピエールが電話機を取ると

 

銃声がした・・・・

 

 クリスがキエムを撃ち殺し、その銃を死んだフレディの手に

 

握らせた・

 

 ピエールは警察が来るまでに筋書きを考えようと・・・・

 

警察の取調べにクリスは平然と

 

  ”使用人のキエムと客のフレディが争って

 

   殺し合いになった”と・

 

 クリスの肩に置かれたピエールの手の重さは

 

”真実は語らないよ!”という無言の合図だった。。。

 

これでピエールは莫大な財産を持つクリスと一緒になれる??

 

だが、警察官のひとりがこんなものが見つかった・・と

 

 あのテーオウレコーダーを持ってきた。

 

 回るそのテープには”ジョリュジュ、自殺するんだ!”・・・・という声が

 

流れてくるのだった・・

 

女の完全犯罪??

 

 疑惑が向けられたピエールの無実を

 

証明してくれるのだろうか???

 

ラストのどんでん返しまでは

 

 ドロンの心理描写に重きが置かれ、

 

センタ.バーガーの魅力を余すところ無く見せ、

 

 美しいドロンとバーガーの艶やかそうに見える場面の中に

 

駆け引きとサスペンスを織り交ぜての娯楽作品となっています。

 

 

センタ.バーガーは1941年、オーストリア生まれの人で

 

主にドイツで活躍していたが、

 

その後アメリカの作品にも多く出演し、

 

 国際スターとして活躍した女優さんです。

 

≪さらばベルリンの灯≫では可憐な面差しでしたが、

 

その後の主な作品はセクシーなお色気のある女優として

 

 ファンを掴んだようである。

 

 使用人キエムには

 

東洋的な顔立ちのドイツ人俳優、

 

ピエール・モスパルジュが扮している。

 

 

デヴィヴィエの遺作となったこの作品・

 

監督は

 

撮影終了後に交通事故でお亡くなりになっております。

 

 私の大好きなお薦めの作品・・・

 

≪望郷≫、≪舞踏会の手帖≫、≪パリの下セーヌは流れる≫

 

 ≪自殺への契約書≫、≪旅路の果て≫、≪めんどりの肉≫。

 

そしてオードリーとホールデン共演の

 

≪パリで一緒に≫の原作者でもあります。

 

 人間臭い、

 

そしてメリハリのはっきりとしたケレン味たっぷりの作品作りを

 

得意とするデヴィヴィエの

 

 ドロンを起用してのサスペンスは

 

 娯楽作品として楽しめます。

 

 ひとつ気付いたのですが、ずっと彼ドロン様の作品を観てきて、

 

クレマンが≪太陽がいっぱい≫で撮った

 

 あのアップのアングル、どの監督によっても

 

1ケ所撮られているんですよね。

 

どの監督も彼の顔に心酔しているのか?・・・

 

 

どうなんでしょうね??

 

 この作品でもありましたよ・

 

 

 監督・・デヴィヴィエ
原作・・ルイ・C・トーマス
音楽・・フランソワ・ド・ルーペ
撮影・・・アンリ・ドカエ