≪紳士協定≫・・反ユダヤ主義を黙認する協定??・・1947年制作1987年日本公開 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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懐かしい名画、最近の気になる映画、映画への思いなどを綴っています。特に好きなフランス映画のことを書いていきたいです。

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    ≪紳士協定≫

 

 

こんばんは。いつもご訪問いただきましてありがとうございます。

ーーーーーーー
エリア.カザン監督が亡くなってもう15年になろうとしています。

 

今日はエリア.カザンが初めて,ハリウッドで認められた作品を、

 

紹介します。

 

        ≪紳士協定≫。

 

彼の作品では、先日、放映された≪欲望という名の電車≫を

 

ご覧になっての、メッセージをいくつか頂きました。

 

吐夢の夢のページでも、≪欲望という名の電車≫、

 

≪波止場≫、≪草原の輝き≫、≪ブルックリン横丁≫を

 

取り上げました。

 

≪亡命監督達とその系譜≫という日記の中で

 

書いたと思いますが、

 

彼はトルコ生まれのギリシャ人で、

 

幼い頃に、アメリカに渡ってきた人です。

 

東西冷戦中のときに、元共産党員だったことを告白して、

 

ハリウッドの他の共産党員の名をあげるという卑怯な事をして

 

ボイコットにあったことがあります。

 

だから、彼が社会派ドラマを描くということにちょっと

 

抵抗はありました。

 

 

ただ、先に,≪ホロコースト≫を書きまして,

 

ユダヤ人の戦後は、決して、平坦な道のりの始まりでは

 

なかったし、アメリカの人たちが、この人種偏見に、戦後すぐに、

 

どのような向かい方をしたかを理解するには

 

この作品は格好なドラマだと思い、取り上げる事にしました。

 

それで、作品のストーリーと私見を述べるために

 

やはり、詳しく、紹介していきたいと思います。

 

ユダヤ人に対する差別はおそらく...というより

 

その後取り上げられた映画などで、周知ですが、

 

この作品でも予想した差別が襲ってきます。が、

 

  ★見終わって感じたのは、

 

    人々の差別よりも

 

    主人公とその婚約者との出会いから、婚約、そして、

 

     ユダヤ人と分った時の周囲のわだかまり、

 

     
      そして主人公が記者と言う立場で、

 

   ユダヤ人になりすまして、ユダヤ人が受ける屈辱,差別を

 

    身を持って,受けて,理解する...という奇想天外な発想で、

 

     取り組む記者魂。

 

     そして、その事を婚約者が知ってからの

 

      愛と理解の闘いであるというテーマの方が

 

        強いと感じたことです。

 

ユダヤ人差別のテーマを縦軸に、

 

記事を完成させ、その後にどんな非難が待っているか、

 

本当は、生粋のアメリカ人と分って、

 

差別はなくなるのかどうかも分らないのに、

 

敢えて、挑戦する主人公と、

 

婚約者の愛の行方を横糸に描いています。

 

そしてグレゴリー・ペックは気負わずに

 

良心を持つアメリカ人を好演しています。

 

  一気に書いてまいりますね。

 

いつものことですが、ネタばれですのでご了承くださいませ。

 

 

1947年度作品    アカデミー賞作品賞、監督賞、

 

            女優助演賞(セレステ.ホルム)授賞。

 

監督 エリア・カザン

 

製作   ダリル・F・ザナック

 

原作   ローラ・Z・ホブスン

 

脚本   モス・ハート

 

撮影   アーサー・ミラー

 

音楽   アルフレッド・ニューマン

 

出演.  グレゴリー・ペック...   フイル

 

     ドロシー・マクガイア..  キャシー.

 

     ジョン・ガーフィールド....、親友のデヴイッド

 

     セレステ・ホルム...   社の同僚アン

 

     アン・リヴェア.....   フイルの母親

 

    アルバート・デッカー..  ミニファー社長.

 

     サム・ジャフェ...     物理学者リーバマン

 

 

       ストーリー

フイル(ペック)は病弱な母、ひとりの息子トミーと、

 

カリフォルニアからニューヨークへやってきた。

 

 

人気ライターのフィルは妻には先立たれていた。

 

ニューヨークの雑誌社の社長、ミニファーの招待で、彼に、

 

あるテーマの記事の依頼をという事だった。

 

 

それは、ユダヤ人についての記事の依頼だったが、

 

データを基に書くライターは吐いて捨てるほどいる...

 

フィルに斬新な切込みで書いて欲しいというものだった。

 

その案は、ミニフアーの姪、キャシーの発案であり、

 

早速、彼女に紹介されたフイル。

 

離婚暦のある彼女は利発そうで、勝気な女性であったが、

 

ふたりはすぐに、惹かれあった。

 

良家の育ちにありがちな、鷹揚さで、”差別などいけないわ”と

 

叔父や、彼の熱意にも同調してくれ、

 

早速、フイルは執筆にかかった。

 

しかし、どうしても上手く原稿書きは進まない。

 

よき理解者で、今までのすばらしい記事を理解し、誇りに

 

思ってくれているフイルの母は、彼の悩みを一生懸命に聞いてくれた。

 

ユダヤ人で、彼の親友のデヴィッドに、相談する事も考えたが

 

思いとどまった。

 

ある夜、母が元々弱い心臓の発作をおこした。

 

自分が母に代わってあげられたらとふと思ったときに

 

フイルはひらめいた。

 

自分が本物のユダヤ人に成りすまして、

 

人々から受ける差別を体験しようと思い立った。

 

もちろん、社長のミニフアーと母だけにしか知らせない。

 

 

ミニフアー社長はさすがだ!と、早速、行動開始する事に。

 

社の幹部連中との昼食会で、

 

今回の特集記事について、彼等は

 

さも、理解者のように述べていたが、

 

わたしもユダヤ人だと発言したフイルに早速、沈黙が流れた。

 

社に個室を与えてもらった部屋で初めて会った

 

ウエールズという美しい秘書は、

 

名前だけで、(名前でユダヤ人と分る)、秘書応募に

 

何度か断られたと言った。。

 

 

この社でも最初に本名で応募したところ、断られたので、

 

名前を変えて応募したら合格だったわという彼女の言葉。

 

”記事を特集するお膝元の会社がこんなものよ”と

 

笑う彼女に言葉が出なかったフイル。

 

”あなたも名前を変えた方が...ユダヤ人でしょ?”

 

”ンンン...?何時知った?”とフイル。

 

幹部の昼食会の後、すぐに聞いたわ。”と言う言葉に

 

予想はしていたものの、この噂の広がりの早さに唖然とした。

 

 

人々は急に彼に対して、よそよそしくなった。

 

キャシーにも本当の事を話せねばならないと、

 

彼女の夕食のお招きに出かけたフイル。

 

”実は、僕はユダヤ人なんだ。”

 

”わたしがそんなことで偏見を持つと思って?”と

 

キャシーは応えた。

 

”いい発案があったなんて、いきなり、僕はユダヤ人だでは、

 

とっぴ過ぎて分らないわ"と言う彼女に、

 

この計画を話した。

 

なんだか、食事は気まずいものになった。

 

そんなことをして、混乱を招かない?

 

本当はユダヤ人じゃなかった..と記事の完成後に話しても、

 

信じてもらえるかしら?という彼女に

 

”構わんさ!”と応えたフイルに、同調できずに

 

沈黙は続いたのだ。

 

しかし、部屋を出たフイルはこのままではいけないと

 

引き返し、彼女に”君を試すような事をして、済まなかった!”と

 

詫びて、抱きしめた。

 

フイルはミニフアー社長に人事部の差別を告げた。

 

社長は驚き、早速、ウエールズ君のことは、

 

私が目を光らせておくから、

 

待遇に気をつけろと人事部長に言い、

 

求人広告にも、”激腕な秘書募集、宗教を問わず”と出せ、

 

特に後者は外す事はならんと人事部長を戒めた。

 

 

”偏見がまかり通っていたのがわが社もだとは、、、情けない”と

 

嘆いた。

 

秘書は、社長の言った広告の件は本当かとフイルに尋ねた。

 

あんまりヘンな人が多く入りすぎて、

 

ユダユダしても困る!!と言った。

 

ひとり、ヘンな人が入ると雰囲気が気まずくなるんです。

 

君までが...!...そんな発言を?_

 

深い意味はありませんと言い、

 

好ましくない人には、

 

そんな表現をしたりすることがありますわ。

 

 

好ましくない人とは?

 

下品でいやらしい人とか、...

 

なぜ、そんなひとにユダヤ人を引き合いに出すのかね。

 

ユダヤ人でない人は好ましい人か?

 

どちら側の人間でも差別する事は許さんと言ったが、

 

差別された彼女までが、差別発言をしている現実を見て、、

 

これから大変だと気を引き締めたフイルであった。

 

 

退社しようとすると同僚で美人のアンが彼を呼び止めた。

 

彼女に、翌日の自宅でのパーテイーに誘われたフイルは、

 

キャシーを伴って出かけた。

 

姉にもこの計画(ユダヤ人でないユダヤ人ということ)を

 

話していい?とキャシー。

 

迷ったが、仕方なく、内々ならいいと許したフイル。

 

アンは、物理学者のリーバマン教授をフイルに紹介した。

 

彼の特集記事のことは知っていた。

 

どんなテーマ?と聞く教授に”シオニズムを"と応えると、

 

 

”国家建設・?難民問題?と聞かれた。

 

だから複雑なんです。

 

”科学者にとっては、ユダヤも何もない。

 

わたしの救済の道は、ユダや人でなくなることだ。

 

科学の原理だ。”

 

今、宗教という意味が薄れてきているのに何故?

 

ユダヤ人を特別に?何故だ?と教授。

 

”差別する側の優越感のせいで、ユダヤ人も意地になって騒ぐ。

 

私はユダヤ人でないと宣言する。

 

差別がなくなるまで”と教授は飄々として言った。

 

同僚のアンは、美人のユダヤ人だが、

 

フイルとはいい友人はになりそうだ。

 

キャシーとの結婚も喜んでくれたが、

 

後々のもめごとを予見しているようだったが、

 

みなまでは言わなかった.。

 

 

コネチカットの実家の家族に紹介するというキャシーだが、

 

フイルにどんな態度をとリ、

 

キャシーとの間にどんな問題が降りかかってくるのか。。。。

 

子供の教育の問題、口で言う差別否定論と

 

現実の差別に戸惑い、対応できない、また勇気もないキャシーが

 

どうやって乗り越えてゆくか....

 

休憩・・・

 

 

★ メモーー 

 

エリア・カザン監督作品の

 

   ≪欲望という名の電車≫、

 

   ≪波止場≫、

 

   ≪草原の輝き≫、≪ブルックリン横丁≫を掲載していますので、

 

そちらもご覧になって、この作品と比べてみてくださいね。

 

エリア.カザンという監督が見えてくるかもしれません

      

       後半

 

さて・・・

 

その前に 

 

 「紳士協定」とはどういう意味なのでしょうか・

 

   ーーーー反ユダヤ主義を黙認することーーー

 

    貧士の協定といった方が良いかもしれませんよねえ。。

 

 

 ユダヤ人と名乗った事により、

 

まず、アパ-トの郵便受けにフルネームで書き入れると

 

管理人から、困ると断られた。規則でだめだと言うが、フイルは

 

書き入れることを強行した。

 

トミーが友達にユダヤ人かと聞かれたよと父親に言った。

 

”なんと答えた?”と父。

 

"分らない"と答えたという。

 

 

ユダヤ人も僕たちもみんな平等なんだ。

 

これはユダヤ人だというゲームみたいなものだ...だが

 

真実は秘密だよと約束させた。

 

コネチカットの姉が今週末に帰ってきなさいと言って来たと

 

  キャシー。

 

   ”あのことはやはり隠しておいてくれというフイルに

 

  "もう遅いわ、言ってしまったわ。”

    

     ”なんて?”

 

    "すばらしい切り口だって!、

 

     きっと姉達とはあなた、気が合うわよ”

 

     ”パーテイーをするらしいから、

 

      あのこと(ユダや人だということ)も

 

      秘密にしておいた方が良いと言ってたわ”

 

     ”断る。”とフイル。

 

いつもこのことになるとむきになるのねと、

 

ふたりは喧嘩別れをしてしまった。

 

ユダヤ人で親友のデヴイッドが除隊になって帰ってきた。

 

 例の件を打ち明けるとデヴイッドは”ほう..”と言った。

 

そして、差別がフイルの思っていた以上のものだったと言うと、

 

  俺たちの一生分を何週間で受けたとは辛かったろう。

 

   俺たちはもう慣れっこだけど...とデビッドは笑った。

 

 

 

キャシーと仲直りをしたフイルはコネチカットに向かった。

 

パ-テイーにはいつも仲良くしているはずの姉の主な友人達は

 

 みんな欠席していた。

 

  姉は上手い口実を作って繕い、フイルに伝えたが、

 

  見え見えだった。

 

 

 自分が建てた思い入れのある家にフイルを案内し、

 

 結婚への夢を話し、ここに一緒に住もうとキャシーは言った。

 

数日後、

 

 

アンとデヴイッドと四人でお茶をしている時に

 

 ハネムーンは何処に泊まるのとアンに聞かれ、

 

フルーム.イン・・よというと

 

 びっくりして、あそこは協定があって...とアンが言う。

 

ユダヤ人は断られるのだ。

 

 予約をキャンセルさせられるわよとアンは言った。

 

 確認すると言うフイルに

 

 キャシーは波風立てなくても....と

 

新居でハネムーンをすれば良いと言ったが、

 

フイルはいや、確かめに行くと引き下がらない。

 

 

そこまでしなくてもと、止めるキャシーとは次第に

 

溝が出来てくる。

 

 案の定、敢えて、ユダヤ人だと名乗ってみると、断られた。

 

デヴイットが家がなかなか見つからないと言う。

 

 

キャシーの力でどうにでも出来そうだが、

 

 彼女は黙って聞き流した。

 

 

わたしの近所だって、

 

ユダヤ人に家を貸す時は”紳士協定が..”と。

 

"止めろ!、キャシー、きみまでそんな”。

 

”黙認するのか、そんなバカな規則に従えと言うのか。!”

 

 

 ”現実を見て!世界を敵に回すの?”

 

 ”例えそうでも、戦うんだ!”

 

どうしても、二人の意見はかみ合わないのだ。

 

そんな時、また、トミーが友達にいじめられて帰ってきた。

 

”ユダヤ人は臭いっていうんだ”

 

ちょうどキャシーが来ていて、彼女はトミーに

 

 

”可愛そうに、あれは嘘なのよ、

 

    ユダヤ人じゃないんだから安心よ!”

 

  フイルはキャシーに止めろと言わんばかりに睨んで、

 

   トミーを別室へ連れて行き、言って聞かせた。

 

 

”真実を言ったのか?”

 

 ”うううん、言わなかった。”

 

 ”偉いぞ!ユダヤ人は悪くないんだ!

 

   自分は違うと言えば、

 

    ユダヤ人が悪いと認めたことになるんだよ!”

  

   ”あいつらは弱虫さ”

   

    ”そうさ”

 

   ”そういう大人も多い.大人になると影で言い出す。”

  
     父親の言う事を理解したトミーであった。

 

 

つまり、キャシーは自分はユダヤを差別していないと

 

言いながら、

 

 日和見主義で、戦うことが、

 

ひとりででも、戦うことが、

 

 差別の皆無に繋がると言う事を理解していないのですね。

 

 自分はユダヤ人でなくて良かった。

 

 戦争中にあんな迫害を受けたユダヤ人でなくて良かったという

 

優越感と日和見主義だけのこと。

 

それが、差別発言をする人よりももっと

 

卑怯な事だと気付いていない。

 

 温室育ちの彼女には無理なことなのだが、

 

フイルのしている事の裏にある真実とは何であるか?を見つけることが、

 

 出来ない..

 

目をそむけずに戦うこと、その事が大事なんだということにさえ

 

気付いていない。

 

それに気付かない限り、フイルとはかみ合わないでしょう。

 

とうとう、キャシーはフイルにあなたについていけないと

 

別れを告げた。

 

 

アンはそれを歯がゆく思っている。

 

 彼女は彼を理解し、又愛していた・

 

 こんな事を告げる私は

 

卑怯者かも知れないけれど、  偽善者ではないわ。

 

 

 

 

わたしに子供がいたら、間違った教育を押し付けて欲しくない。

 

あなたは彼女にはもったいないわ...と暗にフイルへの求婚を

 

仄めかしたアンであった。

 

この女史がいい女なんですよね。

 

 志を持ち、そしてふーっと女らしさも垣間見える。

 

フイルを真に理解している女。

 

でも殿方はこういう良い女に案外と目を向けないんだよね。

 

フイルもそう。私はアンのほうがいい女に見えるんですけれど。

 

 原稿は出来上がり、母に読んでもらった。

 

 若者や、学生たちは、入学や、就職を阻まれている現実。

 

そういったことが子供達を傷つける現実。

 

 我が子が苦しんでいる親の苦しみ。

 

その腐った考えがアメリカを支えている現実。

 

 腐った木はいつか倒れる...

 

母は、差別のなくなった世の中を見るまでは

 

死にたくないわと言う言葉が胸を打つ。

 

 

 70年以上もも前の作品なのに、

 

 現実はいかしこも変っていないアメリカのようですね。

 

キャシーはデヴイッドに会う。

 

その日にあった事を話すキャシー。

 

     ”ユダ公!と叫んだ人がいたその席で、

 

      何てひどい事をと思ったわ!”

 

    ”君はなんと言った?”

 

     "黙ってたわ"

 

    ”どうして、すぱっと感じた事を言わなかったんだ!”

 

        無視する事が差別の元凶だ!”と言われ、

 

           キャシーはやっと気付く。

 

          穏やかなデヴイッドの諭しに素直に頷けた....

 

       人生を共にするということは、

 

      また、男と言うものは苦労を共にして、

 

         戦ってくれる人を

 

          望んでいるんだよ...と。

 

       ”やっとフイルのしていること、

 

        行動している事がわかったわ!...

 

ーーーーー

 

直球で投げかけるヒューマンドラマは

 

 テーマに直接、焦点をあてているので

 

分りやすい点もあるが、

 

この作品のように

 

 カーブで投げる作品はいろんな面が出ていて膨らみがあり、

 

 面白い。

 

だから、アカデミー賞授賞という事になりますか。

 

その反面、この作品は非難も多く浴びたようです。

 

 人気のある作品、例えばテーマは全然違うけれど

 

 シドニー.ルメット監督の≪十二人の怒れる男≫のように

 

真正面から訴える作品はすばらしかったんだけれど

 

直球過ぎて、膨らみの面白さにかける。

 

その分分りやすいが。

 

あれほどの作品が授賞の対象にもならなかったのは

 

 そういった膨らみのなさに原因したのかもしれない。

 

こういういかにもヒューマンドラマ!といった作品は

 

 アメリカ自身が好んではいるのですが。

 

 

 

また、≪紳士協定≫は、

 

 1947年度の製作ですが

 

内容からして日本公開は当時、認められずに

 

1987年にやっと公開された作品である事を

 

申し上げておきます。

 

 戦後から、1950年代後半には

 

旧きアメリカの良心のようなものを描いた作品も

 

多く作られましたが、一方で、

 

このようなアメリカの恥部にメスを入れた作品も

 

多く作られましたよね。

 

 未来にはこういうこともないように、また、

 

 浄化されたアメリカが待っていると言った

 

願望を託して作られたという事もあるでしょう。

 

しかし、現実にはなんら変っていない。

 

そして、我々、島国の単一民族には分らない差別や、

 

 難民問題など、果たして、自分がこういう状況下に置かれた時に

 

 どうういった態度に出るかと問われたら、

 

 答えることが難しい。

 

 

でも、映画から学ぶ..という言葉だけでなく、

 

 少しで前進できるよう

 

糧にしていきたいですね。

 


トミー役の少年、デイーン.ストックウエル...

 

わたしが高校生の頃にはもう、成人していて、

 

 D.H.ロレンス原作の ≪息子と恋人≫という映画に

 

出演していました。

 

 一緒に観にいった同級生が

 

彼に熱を上げていたのを思い出しました!!