『眼の壁』・中井貴一さんの父君 スター佐田啓二さんの作品をもう一本1958年 大庭秀雄監督 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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         ≪眼の壁≫
こんばんは。いつもご訪問いただきありがとうございます。

 

佐田啓二さんの作品をもう一本・・・

 

松本清張ものでは好きな部類の作品です。

 

あの恐ろしいオーム教の事件が、去って久しい!

 

あの大事件が、起きた時フト浮かんだのが、

 

松本清張の”眼の壁”であった.

 

この時代の世代は、誰でもそうであったように

 

清張は、ミステリー小説の分野では、”点と線”で

 

華々しいデビューで、次ぎの出版本が、待ち切れないくらい

 

の人気でした。

 

私が、清張を読み始めたのは、少しあとで、

 

多分高校生位からだと思う.

 

すでに、たくさんの清張スリラーものが、揃っていて

 

次ぎから次ぎへとむさぼるように読んだ。

 

そのミステリーものの中で、”眼の壁”というのが、ある.

 

清張物の映画化は、多いが、それぞれ原作の味を

 

損なうことなく(佳品)が多いと思っている.

 

特にモノクロで撮られた時代のものが、

 

今観るとき、時代感が感じられ

 

タイムスリップしたような感慨を受ける.

 

前述した ”点と線”は、カラー作品で残念ですが、

 

 ゼロの焦点 霧の旗 顔 眼の壁 張り込み などモノクロの

 

作品が良いと尾思います。

 

原作自体も(点と線)(張り込み)(眼の壁)が矢つぎばやに刊行され

 

揃って大ベストセラーとなっている。因みに(眼の壁)の方が

 

(点と線)よりも評判がよかったようだ。

 

     『眼の壁』

 

製作    松竹 S.33年度
監督    大庭秀雄
原作    松本清張
出演    佐田啓二
      鳳八千代
      高野真二 
      渡辺文雄
      朝丘雪路

 

   会社の会計課長が、資金繰りをするなか、

 

パクリ屋というんですか手形詐欺に会って

 

会社に損害をかけて自殺をしてしまう.

 

可愛がられた部下の佐田啓二が、友人の新聞記者と二人

 

犯人の形跡を追って追い詰めるという話である.

 

 

この作品の特徴は、政界の黒幕と新興宗教のボスが...、種を明かせば

 

同一人物というオチがあるのだが、

 

次々と起こる殺人の手口に絡んで焼き物に使う薬品(硫酸)が

 

使われたり 宗教団体が、旗を掲げて列車に載り込み

 

死体を全身 包帯で巻き込み あたかも病人のようにして運ぶ手口、

 

まさにオームのやり口そのものなのだ.

 

初めて見たのはもう40年以上前だから

 

そのストーリー展開とトリックの大胆さにわくわくしてみた記憶がある。

 

この作品は見ていてゾクゾクしたのだ。

 

こういうトリックも今では珍しくないだろうが

 

あの時代にもう予見したのか?麻原が、これを真似たのか?は、

 

分からないがゾーッとした.

 

事件を追う佐田さんは終始 陰鬱な表情で一見無表情ですが

 

秘めたる熱血漢のキャラクターでした。

 

その頃、奇想天外なことが、後の時代に

 

ごく当たり前のことになることはたくさん存在する.

 

凡人が想像できないような...

 

おぞましい非日常的情景では横溝や、江戸川乱歩にあるが、

 

こういう日常に有り得ることを先の時代に小説として

 

組み立てたことが、やはりすごいなと改めて感じたのである

 

何気なく観た映画もドラマも後に繰り返しみると

 

ぜんぜん気付いていなかったものに眼が行く.

 

オームの事件が起こる前に見た時と事件のその後に見たのでは

 

全然作品の印象が違ったが  当然ですよね。

 

上司の敵を取るべく、ハラハラしながらも、 刑事でもない、記者でもない

 

探偵でもない まじめなサラリーマンの男が事件を追う。

 

あの時代にパクリアだの詐欺だの そんなにたくさん流れるようなニュースでも

 

ないあの時代の題材としてとても興味深かったし、

 

ストーリー展開が見ていて予想がつかず どこへ向かってどういう

 

決着になるのか 面白かったです。

 

佐田さんの友人の高野真二さんの妻役で朝丘雪路さんが出演しています。

 

あの頃から かまとと風の雰囲気だったんですね。でも可愛いですよ。

 

 

佐田さんはミステリアスな鳳 八千代さんとミステリアスな恋の雰囲気を

 

スマートに演じています。

 

 

この作品は中井貴一さんでリメークしていただきたいですね。