スター 大木実さん
       ≪張り込み≫

 

こんばんは。いつもご訪問ありがとうございます。

 

銀幕の男優さん、どなたからピックアップして行こうかなと考えましたが

 

何かの関連性から続いていっても良いかなと思っています。

 

佐田啓二さんの松本清張ものを取り上げましたので

 

(点と線)(眼の壁)(ゼロの焦点)(張り込み)等

 

どれが一番面白いかとな と争った作品ということで、今夜は

 

(張り込み)の主人公を演じたスター 大木実さんに

 

焦点をあてます。

 

1923年生まれで

 

日活で照明助手として撮影所で働いていたところ、

 

佐分利信さんに役者としての素養を見込まれ、

 

その上、木暮実千代さんの薦めもあって

 

(あゝ青春)で1951年に松竹で俳優としてデビュー。

 

二枚目スターとして、高橋貞二、鶴田浩二らとともに看板俳優となる。

 

松竹メロドラマ路線を背負って立つ傍ら、

 

小林正樹監督の(あなた買います)、中村登監督の(つゆのあとさき)

 

など大物監督作品に立て続けに出演し、演技派へと脱皮。

 

松本清張原作、野村芳太郎監督の傑作(張込み)は代表作となる

 

1960年代からは東映と契約。

 

(人生劇場 新飛車角)や(日本侠客伝シリーズ)(極道シリーズ)などで

 

鶴田浩二、高倉健、若山富三郎らにつづく準主役級として、

 

東映やくざ映画に欠かせない名俳優となった・

 

そして活躍の場を舞台やテレビに移していった。

 

先日紹介した佐田啓二さんと同時期に松竹で活躍されたんです。

 

     では  張り込みの ストーリーを

 

鹿児島行きの夜行列車(薩摩)に乗り込んだ二人の男。

 

野村芳太郎監督の作品は夏のシーンが殊に印象に残る。

 

暑い列車内。昭和三十年代の列車はSLで夏は窓を開けるので

 

トンネルに入ると煙が顔を覆ってすすけるのだ・

 

場面は暑い列車内と東海道線、山陽本線、鹿児島本線をひたすら走る列車と

 

轟音を立てる車輪とを交互に写し、

 

名古屋、広島、博多と駅のホームの表示板が写る・

 

そして佐賀駅で二人は降りた。

 

向かったところは県警で、

 

ここで初めて二人が

 

東京警視庁の捜査一課の刑事であることがわかる。

 

県警に一軒の家を世話してもらう。

 

二人は二階にあがり、障子をそっと開け  的を確かめる・・・・・

 

そこでさあ 張り込みだ!!との掛け声と共に やっと クレジットタイトルの登場。  

 

             


もうここでこの作品は成功した。

 

松本清張原作のサスペンスもの.

 

原作を読み始めたその最初の導入部の描写が秀逸で

 

いつか映画を観たい、観たい  どんな風に撮られているのかものすごく

 

興味をそそられ、映画に出会うのを楽しみにしていました。

 

40年前に初めて

 

テレビで観ることが出来たんです。

 

で・・・

 

原作のそこの描写が映画でも秀逸で

 

原作以上の満足感から出発した。

 

原作 松本清張、脚色 橋本忍、監督野村芳太郎の

 

ゴールデン.トリオが、最初に打ち上げた傑作である

 

列車のなかでは暑さと、人いきれ、眠れぬ夜、

 

目的地佐賀へ着くまでに列車内でもいろんな人生が

 

予想できる描写である。

 

 

一人は下岡刑事(宮口精二)、もう一人は柚木刑事(大木 実).

 

質屋殺しの共犯の石井(田村高広)を追ってきたのだった。

 

主犯の自供によると石井は凶行に使った拳銃を持っており、

 

三年前に別れた女、さだ子(高峰秀子)に

 

会いたがっていたという.

 

さだ子は今は佐賀の銀行員横川の後妻となっていた。

 

しかし、石井は佐賀にはまだ立ち寄った形跡は無かった.

 

両刑事は横川の家の向かいの貧相な宿屋に泊まり込んで、

 

張り込みを開始した.

 

さだ子は物静かな女で、熱烈な恋に身を焼くなど、とても

 

見えなかった。

 

二十歳以上も年上の銀行員横川との生活はそんなに

 

幸福そうではなかった.

 

お金に細かそうな横川は毎日決まったお金をさだ子に

 

渡して出勤しているようで お金の管理は横川がしている。

 

真夏の猛暑の中での張り込みは昼夜の区別なく続く。

 

宿屋の女主人には営業マンだと偽っているので

 

二人が毎日仕事にも出かけず、二階でぶらぶらしているのを

 

怪しんでいる。

 

むなしい張り込みの間に柚木は東京にいる恋人....

 

結婚に踏みきれずにいる弓子(高千穂ひづる)のことを

 

思い浮かべていた。

 

さだ子の毎日をみているとなぜか弓子とのことを

 

思い浮かべるのである.

 

近頃の二人は何故かギクシャクとしていたのである。

 

1週間目、柚木が見張っていた時、突然

 

さだ子が裏口から外出した。

 

バスに乗り、それから歩いて....そこまでは

 

尾行出来たものの途中で見失う。

 

さんざん探した挙句に石井と会っているところをみつけた。

 

ちょっと目を離した隙に二人の姿が再び消えた。

 

次ぎに探し当てた所はひなびた温泉だった。

 

石井が温泉に浸かりに行っている間に、

 

下岡はさだ子に今なら間に合う、横川の所に帰りなさいと

 

諭す。

 

呆然として迷うさだ子...。

 

なんの楽しみもない後妻生活への不満.....。

 

一日百円の生活費を手渡される味気ない生活。

 

だから魔が差しただけのことだと....

 

手錠を掛けられた石井の姿を2階の手摺から見下ろして

 

泣き崩れるさだ子。

 

その姿を見て、柚木は東京へ帰ったら弓子と結婚しようと

 

決心するのであった。

 

映画は刑事の見た視点で語られる。このストーリーがこの語りで

 

段々に現実が見えてくるという手法を使っている。

 

巧い..。

 

柚木は

 

さだ子の女としての悲しさを見て、弓子を幸せにしなければ・・・と

 

硬く決意するという情感がこの映画の素晴らしさなのである。

 

そしてこの映画の新鮮さは...

 

列車が山陽本線から、鹿児島本線に入るまでの

 

長い長い 導入部の描写。

 

タイトル  張り込み  が出るまでの冒頭の長さである。

 

この当時の映画の導入部としては極めて新鮮であったはずだ。

 

今ではこんな手法に馴れている若者たちであろうが....

 

最初なんですよね  この作品が。

 

(原作は特に佐賀とは指定していないが、

 

映画では二人が降り立った駅の背後にはっきりと佐賀駅と写っている。

 

張り込みの刑事の心情と宿屋での長い一日、一日、

 

それと毎日変わりなく、平凡に見えるさだ子の毎日だけを

 

追う映画である。

 

この清張の短編をこれだけの情感溢れる作品に

 

膨らませたお三人方。.。

 

やはりすごいですね。

 

サスペンスは謎解きだけが作品ではないという

 

そして一級作品であるという証明作である。

 

今夜は大木実さんの作品の紹介で(張り込み)を選びましたが

 

恋人役の高千穂ひづるさんのこともちょっと触れてみます。

 

松竹から東映に移籍して時代劇のスタートなりお姫様女優と言われ大人気スターと

 

なるが、その後また松竹に戻ってから

 

(背徳のメス)や(張り込み)(ゼロの焦点)と芳太郎監督の作品が続く。

 

200本くらいの映画に出ていて半分は時代劇のようです。]

 

 

(異母兄弟)にも出演していましたね。

 

中村錦之助さんと共演の(笛吹童子)のひづるさんはお人形さんのように

 

可愛かったです・

 


制作  松竹  1958年
監督  野村芳太郎
出演  大木 実(柚木)
    宮口精二(下岡)  
    高峰秀子(さだ子)
    高千穂ひづる(弓子)