《避暑地の出来事》・恋愛の教科書??お菓子のように可愛いサンドラ・デイ ・1959年度作品 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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こんばんは。

 

いつもご訪問いただきありがとうございます。

 

今夜はブログから消えた作品の再投稿です。

 

        ≪避暑地の出来事≫

 

懐かしくもあり・・・

 

当時,青春映画として見たと記憶していたのですが

 

 どうしてどうして

 

改めて鑑賞してみると

 

熟年の恋と若者の恋を絡ませた結構真面目な作品でした。

 

エリア・カザンの≪草原の輝き≫にも通じる

 

厳しい親に監視されのびのびとした恋も出来なかった

 

若者の苦悩が

 

開かれた国アメリカでさえ

 

 あの当時は保守的であったんだなと改めて感じました。

 

ミュージカル≪足ながおじさん≫や≪恋の手ほどき≫などの

 

開かれたアメリカの陽気な若者達の世界を描いたものと比べて

 

裏側ではこれが真実の世界だったかなと。

 

リチャード・イーガン、

 

そしてヒッチコック作品や

 

≪らせん階段≫でお馴染みの

 

 ドロシー・マクガイアの熟年の恋と、

 

ワーナーの花形スターだった

 

 トロイ.ドナヒューと、

 

お菓子のように愛らしい,食べたいくらい愛らしい

 

 サンドラ・ディの若者の恋という

 

四人の共演とあっては

 

 どうしても

 

 もう一度見たいではありませんか!!

 

パーシー・フエイス楽団の演奏やパット・ブーンの唄で

 

世界的にヒットしたサントラ・・

 

  ♪夏の日の恋♪・・・マックス・タイナー作曲

 

  監督・デルマー・デヴイス


 ストーリーを紹介しますね。

 

パイン島に住む一家族はもと名士の富豪だったが

 

邸をペンションにして生計を立てている。

 

もと一族の雇い人だった男が

 

妻と娘を連れて避暑に来るところから

 

物語は始まる。

 

やってくる元雇い人はケン(リチャード・イーガン)とその妻

 

 娘モリー(サンドラ・ディ)

 

 迎えるペンション側は

 

妻シルビア(ドロシー・マクガイア)と夫

 

 息子ジョニー(トロイ・ドナヒュー)

 

 落ちぶれた名士と

 

今は成功して裕福になったケンはお互いに

 

 ずっとひっかかっていた思いがある。

 

ケンは元恋人だったシルビアを忘れられずにやって来る。

 

もちろんケンの妻はそんなこと知らないと思っている。

 

 夫婦仲は冷え切っている.

 

その上妻は娘には異常な厳しさというより

 

冷たい心の持ち主でがんじがらめにしている。

 

 夫ケンと離婚したいが

 

慰謝料をふんだくろうと画策している。

 

 娘モリーはパパ似でパパが好き。

 

ケンが家族を連れてやってくると知って

 

 シルビアは落ち着かない・

 

彼女もケンを忘れられないでいる。

 

こちらの夫婦も冷え切っている。

 

シルビアがケンを忘れないでいることを

 

結婚してすぐに気づいた夫は

 

酒びたりで、ケンがやってくることを知って

 

成り上がりを馬鹿にしようと待ち構える。

 

ところがモリーとジョーが一目ぼれしてしまった・

潔癖症で冷ややかなモリーの母はことごとくモリーを

 

 がんじがらめの剣のある言葉で指図する。

 

まあそういったことを抱えたところから

 

 ストーリーは展開してゆく。

 

 面白いのはこのそれぞれの人物像が非常に丁寧に描かれ

 

 その考え方が興味をそそるのである。

 

ジョニーとモリーが庭でキスをしたことで母親は怒り

 

 モリーを怒った事からとうとうケンと妻は言い争う。

 

 妻は人の愛仕方、愛され方を知らない女性。

 

 娘のキスをふしだらだとののしった。

 

 夫のスエーデン気質の遺伝だと・

 

”いい加減にしろ,おかげで新しい家も決まらん。

 

 学校の近くは子供がうるさい?

 

ユダや人やカトリックもダメ.

 

ポーランド人にイタリア人、黒人もダメ・

 

子供も、その上今度はスエーデン人もか!

 

それに東洋人も信用できない。英国人は俗物。

 

ロシア人は怖い。フランス人は不道徳で南米人は怠け者・。

 

 虐殺でもする気か?嫌いなやつを全部??

 

 娘の自然な欲求も許せない・・?

 

 若者の恋は安っぽくてふしだらか・!!”

 

ケンは妻に言いまくった。

 

モリーは父のはじめての旅行を台無しにしないでというが

 

自信満々の母は聞く耳を持たない。

 

がこれも妻の母親の入れ知恵で本当は何もわかっちゃいない

 

 ダメ母であった。信念があってするという類の厳しさでは

 

 なかった。

 

そしてシルビアとケンは二人きりになる機会を得、

 

 今までの想いを告白、

 

 結局はお互いに相手と別れてやり直そうと約束。

 

そしてこのボートハウスでの密会を監視員に見られてしまう。

 

そんな折、若者二人はケンのヨットで出かけ嵐に遭い、

 

 島で一夜を過ごす。何も無かったがいつも何かがあると

 

目撃するボートハウスの管理人が

 

見た事を面白おかしく言いふらす為に

 

話が複雑になっていく。

 

その上、娘の身体を診察させるという手段に出た母親・

 

 モリーは精神が錯乱、失踪する。

 

 二組の両親とジョニー,警察官と一同に会する事になるが

 

 ここでそれぞれの人物の愛憎や理念が噴出し、

 

 興味深い。

 

ケンの妻は夫に似た娘を

 

父譲りのふしだらな娘と決め付けながらも

 

養育費をもらおうと手放す気はない。

 

 無責任なジョニーの父も

 

 シルビアとケンの愛情を確認する事になるが

 

離婚するならジョニーを渡さないと言う。

 

しかし愛のない結婚生活にピリオドを打ち

 

 ケンと、シルビアは

 

島の噂や、本土での噂にも負けずに

 

結局結婚する。

 

ジョニーもモリーもまだハイティーンで

 

寄宿学校に預けられながらも

 

文通や電話で連絡を取り合い、二人の情熱は奮まってゆくが

 

 お互いに結婚した親たちの事は許せない.理解できない。

 

シルビアの元夫は酒びたりがひどくなり廃人同様。

 

モリーの母は益々かたくなに

 

娘に厳しくなり理解を示すどころか

 

分ろうともしない。

 

ケンとシルビアは新居にモリーとジョニーを招待する。

 

 最初は拒んだ二人だがやってくる。

 

 理解ある二人の下、

 

 映画に行くといって二人は海岸で夜中まで過ごす。

 

 戸惑ったシルビアとケンだったが

 

自分たちの若い時の気持ちを思い出してみよう!

 

そうする事によって若い二人の力になろうとした。

 

しかし遅く帰ってきて抱き合う二人を見て

 

 ケンは節度を失うなと

 

叱ってしまうのだった。

 

それぞれの寄宿舎へ戻ったモリーとジョニー・

 

妊娠したことをジョニーに告げるモリー。

 

ジョニーはモリーを学校まで迎えに行き、

 

モリーは父にもらったコートを売ってお金を作り

 

 パイン島まで出向き、

 

ジョニーの父親になんとか力になってもらおうとする。

 

いい加減に見えた父は

 

海軍病院へ潰瘍で入院するほど弱っていたが

 

意外にも二人に別れろという。

 

 若いうちはたくさんのボーイフレンドや

 

 ガールフレンドたちと

 

 バスケやスポーツなどに興じろ、

 

もっと青春を楽しめと言う。

 

モリーはジョニーの父親に言った。

 

”ひとつ忘れていますわ、

 

   わたしたちは愛し合っていると言う事を!”

 

そして治安判事のところに結婚の許可をもらいに

 

夜中に訪ねるも

 

親の承諾が要ると断られる。

 

 二人の力ではもうどうする事も出来ず・・・・

 

 ケンの元妻から二人の失踪を聞いたケンとシルビアが

 

心配しているところに

 

二人はやってきた。

 

シルビアとケンは二人を温かく迎え、”力になるわ・”

 

ケンは”だが厳しい現実が待っているんだぞ!”と・

 

 どういう風に若者を導いてゆくか。

 

 年を経てゆく大人は

 

過去を振り返って若かった頃の気持ちを

 

思い起こす事を忘れている

 

 それを思い出せと示唆し、

 

また、大人も異性を真剣に愛す事で

 

他人への思いやりも心の内側も計り知れるものだと

 

言っているようですね。

 

とても丁寧にそして古さを感じず、

 

むしろ新鮮な恋愛教科書のストーリーでした・

 

純愛が若者の間で見直されている昨今。

 

 若すぎる若者の恋は極端ですがしかし、情熱は

 

大人も若者も同じものだと思います。

 

 人は噂にし、面白がったり、

 

そしてモリーの母のように

 

愛する事愛される事を知らない女の冷ややかさは

 

 ついに恋や本当の愛というものを知ることは無かった。

 

 恋というものは一時の情熱、

 

それが静まって後に来るものが 愛 だとシルビアは

 

言いました。

 

わたしもそう思いますね・・・・

 

島や海を美しく映すカラー映像が見事です。

 

 後年、がっかりするような昔の面影もなくなったドナヒューですが

 

 ここではヤンキーの若者ののびのびとした姿が格好よい・

 

B級映画だったと認識していたのですが

 

 どうしてどうしてシリアスな丁寧な作品で

 

胸キュンのラストではないにしろ

 

大人の恋が結構いい感じで

 

恋愛哲学もいい意味での古さがいいです。

 

ある雑誌で目にしたのですが

 

A級映画とB級映画の違いは何だろう??

 

それは時間だと言っていました。

 

つまりA級映画は大作っぽく時間が長いだけのことだそう。

 

 短時間ドラマ仕立てのB級と言われた作品にも

 

素晴らしいものが多く、

 

 本国アメリカではA級,B級の区別はあまり無いそうだ。

 

 日本人の映画ファンがいかにも分った風に

 

言っているだけのようです。

 

この≪避暑地の出来事≫も時間の長さから言わせれば

 

充分にA級の貫禄であります。

 

 戦中,戦後に活躍したドロシー・マクガイアは

 

熟年になってからのほうが

 

素敵な婦人になっていて素敵でしたよ・

 

お読みいただきありがとうございました。