『夜の牙』・銀幕の美女日本の女優33・月丘夢路さん・繊細さと貫禄と上品さが同居する・1957年度 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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懐かしい名画、最近の気になる映画、映画への思いなどを綴っています。特に好きなフランス映画のことを書いていきたいです。

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《夜の牙》

 


繊細さと貫禄と上品さが同居する銀幕の美女 月丘夢路さん

 

こんばんは。いつもご訪問いただきましてありがとうございます。

 

今夜は久しぶりの日本の女優さんシリーズ第33作目の投稿です。

作品ーー《夜の牙》

 

石原裕次郎のデビュー作品「嵐を呼ぶ男」は1957年の12月29日封切り、

 

スターダムにのし上がりつつある時期、《夜の牙》はその直後の作品で

 

年が明けて1月15日の封切りである。

 

颯爽とした主演ぶりでぐいぐいと全編をハードボイルドタッチで

 

動き回る裕ちゃんーーーーが今夜は主演の裕チャンではなく

 

共演の月丘夢路さんにスポットを充てます。

 

 

 

今年の五月に亡くなられた嘗ての銀幕のスター月丘夢路さん。

 

 広島市生まれ。

 

 広島高等女学校から宝塚歌劇団へ入団。娘役トップスターとなる。

 

同期に乙羽信子や越路吹雪さんがいる。

 

 本格的な銀幕デビューは1942年の《新雪》。

 

宝塚を退団してからは、轟 由紀子さんの

 

薦めなどもあり

 

大映・松竹・日活

 

各社で看板女優となった。

 

 映画出演は160本を超え、90歳い近くまでテレビドラマや舞台などでも活躍。

 

 代表作に《新雪》《晩春》《長崎の鐘》《二十四の瞳》《美徳のよろめき》

 

《華麗なる一族》がある。

 

2014年、宝塚歌劇の発展に大きな貢献をした<殿堂入り100人>に

 

選ばれた。

 

90歳を過ぎての殿堂入りは大路三千緒と月丘夢路さんの二人のみであるそうな。

 

本来なら《美徳のよろめき》を取り上げたいが残念ながら鑑賞しておりませぬ。

 

《晩春》での月丘さんも原節子さんに負けないくらいに美しかった。

 

けれどこの《夜の牙》での謎の美女はモダンで、

 

近寄りがたい美しさであった。こういったタイプの女優さんは

 

淡路恵子さんがそうであるように現代の銀幕には存在しないと言い切れる。

 

     簡単なストーリー


場末の盛り場、ガード下で診療所を開いている若い医師 杉浦が石原裕次郎の役ど
ころ。

 

いつもそばには スリのお銀ーー浅丘ルリ子ーーと

 

同じくスリの三太ーー岡田真澄ーーという弟分がいます。

 

杉浦は一風変わった医者で、やくざなんぞが担ぎこまれると、

 

足を洗うことを条件に傷の手当をしてやるといった

 

黒澤監督の酔いどれ天使を髣髴させる設定だ・

 

 スリの三太が  映画のニューフェイスに応募し、稼業から足を洗うから

 

戸籍を貸してくれと杉浦に頼み込んできた。

 

一緒に区役所に出かけて、確認すると、杉浦自身の死亡届けが何者かによって

 

出されているのでした。

 

ここからのスタートですね。当時としては面白い滑り出しではなかったでしょう
か。

 

その何者かは行方不明の杉浦の実の弟でした。

 

 三太と二人、杉浦は探索に乗り出す。

 

まず、奥伊豆にある杉浦家の墓を訪ねて行った。

 

すると美しい女性が墓に花束を供えている。

 

 墓へ行く途中、すれ違った 謎の美女ーー月丘夢路ーーでした。

(本当に美しいです。)

 

 叔父の家に行くと、

 

なんと叔父の家は執事の加納ーー西村晃ーーが 叔父の遺言だとか言って

 

相続していた。

 

 しかし、加納はなにかに脅えている気配だ。

 

 お寺の住職の卓然和尚ーー森川信ーーの話から、

 

遺産相続をめぐる陰謀があると杉浦は確信します。

 

 その夜、三太と杉浦の泊まった宿に

 

謎の美女も泊まっていました。

 

 翌日東京へ向かう列車に三人とも乗り合わせました。

 

 東京に戻った杉浦は謎の美女に接近し問いただす。

 

どういう理由の墓参りかを・

 

 すると行方不明の杉浦の弟を

 

愛していたと言うのです。

 

 遺産相続の陰謀、

 

上京して来た執事の加納が殺されます。

 

弁護士、寺の和尚と、粘り強く杉浦は謎を追っていく。

 

 殺されていた弟ーーー殺した真犯人との対決、犯人の意外性も用意してある・

 

このミステリー作品は月丘さんの夫の井上梅次監督が

 

シャープな演出で裕次郎さんの作品の残したい一本に入れてよいと

思います。

 

そして、先輩女優の月丘さんはミステリアルな役どころで

 

美しく印象深い作品となっています。

 

他に
白木マリ  安井昌二  内海突破 天路圭子 などなど名脇役が

 

揃って出演しています。