『白鳥』・誰が演じているのかわからないほど化ける役者・アレック・ギネス のアルバート王子 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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誰が演じているのかわからないほど化ける役者  アレック・ギネス
   (白鳥)のアルバート王子は化けません!





私の好きな作品に”名探偵登場”というのがある。
これはミステリー映画というよりパロデイーとしての
お遊び要素が強い作品なのだが、なぜか楽しい。



ミス.マープルやポアロ、サム.スペードに・・・と
賑やかな顔ぶれの探偵さんたちがある邸に招かれ推理合戦を
するといった内容のものだ。

その招く主人役を作家のトルーマン.カポーテイが演じ
並居るベテラン俳優を食ってしまった作品でもある.

作品の内容としては今昔の有名な推理小説を茶化し
大いに遊んで、我々をパロディへの世界へと誘うというもの。

その邸に盲目の執事がいて、これもまた
私の好きなアレック.ギネスが演じているのだ。
そのとぼけ振りが秀逸で
まさに”100の顔を持つ俳優”と言われているのが頷ける。
今夜はこのアレック.ギネスについてちょっと書いてみます。

”博士の異常な愛情”でのピーター.セラーズの百面相ぶりも
素晴らしいが、ギネスの化けぶりも勝るとも劣らない。

彼の代表作としてはやはり、D.リーン監督の
”戦場にかける橋”なのだが、
騎士道精神を貫くイギリス将校らしい大佐を演じていた。
ギネスの正統派の演技としての代表作であろう。
このときの、
理不尽な事にはとことん命をかけて立ち向かう
キャラクターが後の”スターウォーズ”のオビ.ワン役として
再び我々の前に登場した。




けだし、スターウオーズに出演したことを終生後悔したそうである。

1914年ロンドン生まれ。
一度は広告会社に勤めたらしいが、その後、舞台を目指し、
演劇学校に入り、ハムレットの舞台で認められたとある。

兵役の後、ニューヨークの舞台に立つも、
すぐに映画界に入り、デビッド.リーン監督の
”大いなる遺産”でその強烈な個性は評判を呼ぶ。

グレース・ケリーの引退作品”白鳥”、
”戦場にかける橋”あたりまでは正統派の英国紳士そのものであった。

”戦場・・・”でアカデミー主演男優賞を受賞している。

イギリスではローレンス.オリビエに継いで”サー"の称号を
授けられている。

その後は
この人もアンソニー・クイーンのバイタリティーはないにしろ
多国籍の人物を多く演じている。





砂漠の王子や共産党員、ヒトラーや幽霊、インドの哲学者と・・・
ただアンソニーと違うのは画面で見ても、
ギネスと一目で分らない化けぶりで
見終わった後でああ..あの役がギネスだったんだと
見事 騙された事が多い。

"アラビアのロレンス”、”ローマ帝国の滅亡”、
”ドクトル.ジバゴ”、”さらばベルリンの灯”
”クロムウェル”、”名探偵登場”、
”インドへの道”(叶夢でも紹介済み)
”スター.ウオーズ”シリーズと続くが

脇役とはいえこの人ほど主役を食ってしまう印象を残す人は
クイーンと双璧と言えるのではないか??。

さて取り上げる作品ですが、
(戦場にかける橋)、(インドへの道)はすでに紹介済みなので、
今夜は化けない役どころで、
引退間近のグレース・ケリーと共演した
(白鳥)を取り上げます。
アレックは初めてのアメリカ作品 出演です。





 

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ストーリー

出演
アレキサンドラ姫・・・・・グレース.ケリー
アルバート王子・・・・・・・アレック.ギネス
アギー先生・・・・・・・  ルイ.ジュールダン
母ベアトリクス・・・・・・ アグネス.ムーアヘッド
執事・・・・・・・・・・  レオ.G.キャロル

眼前にキレイな湖が広がる大きなお城に
焼きたてのパンを運んでくる馬車が通る。

パンの入った大きなバスケットは
厨房の横の四角い入り口から放りこまれる。
床に落ちたパンを白衣の胸でこすりながら銀食器に何個か盛る。

白い手袋をはめた手が銀食器を一式お盆に乗せ執事が母、ベアトリクスの部屋へ運ぶ。

朝食は各々の部屋で取るようだ。
電報も届けられた。

アルバート王子が城を訪問すると言う知らせであった。
王子からの電報には4日間貴城を訪問。ゲスト不要。
出迎えも不要とあった。

ベアトリクスはすぐに
執事に使用人を集めるように伝え、
姉シンプローザの部屋へと走った。

兼ねてより、娘アレキサンドラを
アルバートの妃にと狙っているベアトリクスであった。

シンプローザは山羊のような顔をした女性だった。

”この二年でアルバートはヨーロッパ中の女たちを
   見てきたはずだわ・”
   リスボンの女は背が高すぎるし、
   あの娘に幸運が来るのは分っていたわ。”と二人は
     落ち着かない。

さあ準備が大変だ。

早速、彼女の弟のシーザーに知らせた。

シーザーも一応殿下ではあるが
今は教父様となっている。

姫の弟たちの家庭教師をしているアギー先生は
姫にほのかな慕情を抱いている。

報われるはずのない恋だが、彼女に恋をしていた。

男の子達は利発で
アルバート王子がねえさまに逢いに来る事を知っている。

庭師にはバラ園のバラは明後日まで咲き誇るのを待たせて頂戴!。

掃除係りには、床磨きを徹底的に

料理長には4日間の献立を作れと

マナーの点検を行い、準備は大忙し。

その上、娘アレキサンドラに因果を含めねばならない。

母は忙しい。

アルバートはヨーロッパ中の女性を
振ってお前にプロポーズに来るんだと。

世間も知らない、おまけに男性とのしゃべり方も知らない
アレキサンドラ姫は
母の言う通りに従わねばならないが自信がない・
母はアレキサンドラが王妃となることだけを夢見てきた女性である。

姫はアギー先生とフェンシングの練習。

姫は全て白を基調にしたコスチュームであります。

ぼっちゃまたち弟は姉さまを冷やかす。

弟シーザーがやってきた・

母は涙を流して、
娘を王妃にするためなら死んでも良いから
何とか協力してと語った。

夜は天体の観察をアギー先生と弟たちと。。。。

観ていたシーザー叔父はアギー先生の熱いまなざしに気付く。

アルバート王子は専用列車でやってきた。
騎馬隊のお出迎えである。

一夜明けて・・・・・
何時になっても王子様は起きてこない。

はなからテンポが狂わせられた母はショック。

結局家族は朝食を取らず仕舞い。

王子はちゃっかり部屋で取ったと言う。

その上、姫にも興味を示さない。

アギー先生を訪ね、子供達のお勉強に興味を示す。

さて、夜が来ました・

バルコニーで姫と王子は二人きりになりますが

姫はコチコチ。どうもかみ合わない。

姫の手を握ろうとアルバートが手を重ねようと
手を差し出すと、姫はピクッとして手を引っ込めて拒んだ。

王子は退屈な空気に早く休むと退去した。

母は娘の落胆振りに。。。別に王子に恋したわけでもないが
無視されてしまった事に自信を失ってしまう。

母は一日14時間の予定表を作る。

まず、朝は鼓笛隊に庭から王子の国の国歌を演奏。

王子は朝食を一緒に。。と起きてきた。

母は名案を思いついた。

今夜の晩餐会にアギー先生を誘いなさいと
アレキサンドラに言い渡す。

アギー先生と仲良くして王子に嫉妬心を起こさせようと
いうもの。

しかし、嫉妬心どころか、王子は姫をダンスにも誘うことなく、

楽団のベースに興味を持ち、自ら演奏。

母のもくろみも失敗。

ところが、アギー先生はアレキサンドラと踊り、
アレキサンドラが自分を誘った事で
自分に少しは愛を感じてくれていると勘違いを
した。
姫はアギー先生をピエロにした事に
自責の念にかられ、真実を告白。

傷ついたアギー先生に
姫は心から謝る。が、
それがいつしかアギー先生への
愛と変ってゆく。
しかし、それも錯覚である。

恋や愛を知らないアレキサンドラの同情に過ぎない。

ここで王子の登場。

彼はずっと真実を見極めようと見つめていたのだった。

本当は姫に一目ぼれしていたのに
わざと、他の女性とダンスをしたり、
気のないそぶりをしていたのだ。

アギー先生と王子は向かい合う。

王子はお互いの立場から物事を見ているが、
アギー先生は
姫への愛だけしか頭にない。

シーザー叔父はアギー先生を呼んで諭す。

身分の違いや姫の一番の幸せを言って聞かせる。

アギーは涙を呑んで姫の許から身を引く決心をするのである。

失恋したと思ったアレキサンドラ姫は
何故アギー先生が心変わりしたかを
理解できなく死にたい気分だ。

アギー先生は去った。

バルコニーに姫を誘った王子は彼女に言う。

”湖水の白鳥は陸に上がれば
    ただのこっけいな鳥になってしまう。”と。

姫は、笑い泣きしながら
    ”ガチョウね?”と言った。

  ”そうだ、白鳥はお城でみんなに守られて
    優雅に暮らすのが一番合っているのだ”と・
    ”君は白鳥なのだよ。額を上げ、
人々の視線を涼しげに受け流す。。。歌は歌わない。。”

”中へ連れて行って”という姫の言葉に王子は恐る恐る
手を重ねようとすると姫は素直に応じた。
手をとりあって、サロンへと行くのでした。。。
(ローマの休日)の
アン王女も一夜町に出かけたことで
白鳥は湖に帰るのが当然だと言う事を
自分自身で学んだのですよね。

また、まさにグレース.ケリーは白鳥そのものですね。

優雅でちょっとわがままで、でも、
母の言う事にはお利巧に耳を傾け
謝る事にもなんのてらいもない。
本当の姫君なのですね。
アレック・ギネスはゆとりのある役どころで包容力のある
紳士を毅然と演じ、また違った魅力がありましたよ。

優雅で、ちょっぴり喜劇で会話も面白い作品です。

チャールス.ビダースと言う監督も
こんな作品を作るのですねえ。

アグネス.ムーアヘッドの母親、往年の名女優です。

モナコへ嫁ぐまでのグレースの
在りし日の日常とも重なって見えて
楽しい作品でした・