『ジュリア』・・信念に生きる女性 ・ 1977年度作品 フレッド・ジンネマン監督 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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こんばんは。
ご訪問ありがとうございます。
今夜はハリウッド作品の<ジュリア>を取り上げます。

制作  米 1977年度
監督  フレッド。ジンネマン
出演  バネッサ.レッドグレイヴ/ジェーン.フオンダ
    マキシミリアン.シェル(マリア.シェルの弟)
    メリル.ストリープが
     デビューまもなく端役で出演しています。

女流作家リリアン.ヘルマンの回想録をもとに
ファシズムと闘う女性運動家の生涯を描く力強い作品。

リリアンにジェーン.フオンダが扮し、
ジュリアにバネッサ・レッドグレイヴが扮している。

女性が女性に語りかけながら、つまり、リリアンが

ジュリアに向かって語りかけながら回想のなかで、
ジュリアの真の姿が明確になり、
リリアンが成長してゆく姿を通して二人の本当の友情を描いた。


女性の友情を描いたとしても、それまでは背景に
男性の存在があったが、この作品ではそれが無い。

画期的なことであった.
自らの信念に生きる女性ジュリアがとても魅力的な女性であり、
バネッサがすこぶる良い。

また、リリアンも危険をおかしてまで、
ジュリアに協力する事を通して人間的に成長していく様を
ジェーンは見事に演じている.
ゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ドラマ部門) 受賞
英国アカデミー賞 主演女優賞 受賞 を受賞している。
この翌年
<帰郷>で二度目のアカデミー主演女優賞を受賞している・

ストーリー

年老いたリリアンが
今はひとり暮らしの中で回想するシーンから始まる。

ジュリアと出遭って、少女から女性へと成長して
離れ離れになってからも、
お互いの居場所だけは連絡を取り合っていた。

1934年...。
今は筆を折っているが、
ひところは有能な作家として活躍していた
良人とふたりフランスの片田舎の
湖のほとりに暮らしているリリアン。

毎日、小説を書いてはいるが、
良人からは本当の力を出しきっていないといわれ、
むきになって仕事に没頭し、挫折し、
なにか、いらいらとした毎日であった。

”パリにでも行け! ジュリアに逢えるかもな!”


とたきつける夫。言い合いはしているが、仲の良い夫婦なのだ.

少女のころジュリアの邸で遊んだ事を良人に
話して聞かせているうちに、ジュリアはどうしているんだろう?

ジュリアに関しての記憶....。

ユダヤ人であるリリアンを差別することなく
いつも屋敷きに招いてくれ、野に遊び、
いろんな世界を教えてくれたジュリア..。


どんな時にも庇ってくれ姉のように接してくれ
姉妹以上に仲の良かったふたりであった.
その頃からジュリアは、世の中の貧富の差や
人種偏見に怒りを抱いていた。
その年、つまり1924年ごろか.。
ジュリアは医者に成ると言ってオックスフオード大学へ進学。

リリーは劇作家に成るべく進んだ。
そして出版社に勤めるようになって
ジュリアをイギリスに訪ねた...が彼女はウイーンに行くという。

そして、医者に成る夢はドイツの独裁政治への反発、
それを傍観する世界への反感と変わっていった。

リリアンはウイーンへ出向く。

そこで見たものは市民の暴動に棒を持って加わるジュリアの
姿であった。
入院先へ訪ねて行ってもなにかスッキリしない病院の態度。
顔はぐるぐる巻きにされ口も動かせないジュリアの姿。
なにか言おうとしても伝わらない。
そばで居眠りをしているうちに手術だとかなんだとか言って、
結局、どこかへ連れ去られてしまったジュリア。

ジュリアの変わりに子供や男が指示を与えてくるが
リリアンには何がなんだかわからないまま、
彼らの指示の通りに行動を続けた。

ここいらからサスペンスムードが漂ってくる。

今はもう劇作家として活躍しているリリアンは
モスクワへ行く途中に立ち寄ったのであるが、
指示者からジュリアンの手紙と共にベルリン行きの切符を手渡され
列車に乗り込む。列車に乗るときにチョコレートの箱と毛皮の帽子を渡され、国境が近づいたら、帽子をかぶれという指示。

あれこれとヒッチコックサスペンス並に
進み、ベルリンへ着く。
出迎えた人にチョコレートを渡した。

ユダヤ人がわざわざドイツへ入り込めばヤバイ時代である.
そんな危険をおかしても逢いたかった。

段取りはきちんとしていたが
久しぶりに会ったジュリアは
義足の状態であった。
だが、彼女にとってはそれは問題ではなかった。
目の前の問題に立ち向かう彼女には足の一本やニ本、
問題ではなかった。
資産を殆どレジスタンス運動につぎこみ、
命をかけて闘っているジュリア。
懐かしみ、慈しみ涙する二人だが時間はものの10分ほどしかない。チョコレートは渡したわ!.。それで良いのよ。
あの五万ドルで何千人ものユダヤ人が救われるわ。
5万ドルを運んできたわけだ。
帽子には恐らく、パリからの連絡めもが縫いつけられていたのだろう。
すぐに引き返せというジュリア。
美しいジュリアは前にも増して、信念と闘志が輝くような
美しさに見えた。
子供を産んだので預かって欲しいと言う。
アルザスのパン屋に預けてあるから、引きとってねと.
名前はリリアンと同じリリーと名づけたそうだ・


また、良人との穏やかな日々が続いたある夜
うなされたリリアン。
ジュリアがドイツ兵に殺される夢を見た.

ジュリアの生きかたを纏めているリリアン。
しかし夢は現実となって彼女の死が知らされてきた。
彼女の遺体に逢いに行く。全てを受けとめたいのだ。

親族との連絡が取れないと言われ、
彼女の赤ん坊を引き取りにアルザスヘ行くが、パン屋は
知らないとう。

生まれた邸を訪ねてもそんな娘はいなかったと
執事に追い払われる...。このうちの孫がいるのよ!

でも無駄だった。
どうしても納得の行かないリリアンだが、良人はもういいよ.。
どうしようもないさ..。


でも、赤ちゃんは??
”もう、死んでるさ!、パン屋も金には弱いさ!”

そんな良人も今はこの世を去っていない.....

バネッサの出演場面は少ないのだが強烈な印象を残した..。
二人の私生活がポリテイカルであるだけに
なんだか重なって見えた。
すばらしい作品です.