『古都』・初々しい岩下志麻さん・・1963年作 中村登監督 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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こんばんは。

ガラッと趣を変えて
今夜は志麻さんの 『古都』です。

製作  松竹 1963年
監督  中村 登
出演  岩下志麻(二役)、宮口精二、吉田輝雄 長門裕之 環 三千世

作家 川端康成原作(古都)の映画化である。
監督の中村登という人を若い方は殆どご存知ないだろう。
しかし、松竹大船撮影所が最も盛んなころ、
小津や渋谷実、大庭秀雄らと
女性文芸映画に携わった監督として、
私たち世代までは周知している。


主演の岩下志麻はそれまでその美しさは認められていても、
小津の”秋刀魚の味”ではまだ可愛いお嬢さんであった。
そして、”五瓣の椿”、で演技開眼するチョット前の作品で、
22歳という瑞々しく、しっとりした双子の姉妹を演じた作品です。


黒澤の”七人の侍”でニヒルな居合抜きの達人を演じた
宮口精二が、
やさしいがお茶屋屋通いの
止まらない父親を演じている。

あら筋

千恵子と苗子の双子
京呉服屋の一人娘として育てられた千恵子は20年前
店の前に置かれていた捨て子であった。
そのことを子供の頃に育ての両親から
知らされていたが、親娘睦まじく平穏に暮らしていた。

ある日 千恵子はいつも行く北山杉の里で杉を磨いている
自分によく似た娘に出会う。

そして、祇園祭の宵宮で千恵子は苗子と偶然再会する。
苗子は自分に双子の妹がいることを知っていたが
千恵子は初めて自分に双子の姉がいることを知った。

千恵子に想いを寄せる店の織り元の息子秀雄は千恵子に
求婚するが、千恵子は断る。
それは、祇園祭の夜千恵子と間違えて声をかけた
織り元の息子秀雄に
苗子が好意を持ったことを知ったためであった。

再び北山の苗子に会いに出かけ、二人は落雷の中
雨宿りをしながら
初めてしっかりと抱き合い、肉親のぬくもりを確かめあう。

両親に苗子のことを告げる千恵子。
両親は苗子が家を出ていくのではと心をいためるが、
いっそ、苗子を家に引き取ろうと思うのであった....が。

と話は続くのであるが、決して派手な映画ではないが、
京の四季をはんなり美しく、
そして数奇な運命の双子の姉妹のお互いを
思いやるやさしい心と
それをとりまく人間模様を淡々と描いた作品である。

この作品の紹介は映画の評価は別として、
女性の方たちにぜひ観ていただきたい着物お勉強会の映画です。

京都の老舗の織り元あのー市原亀之助商店ーの着物を
たっぷりと見せてくれますよ。

織り元の現場は京都ー渡文ーの協力

クレジットには
″菱一″の名前も連なっていたのですが。
もしかして
千恵子の為に秀雄が帯を
製作しますが
これが菱一の作品かな!と思ったりもして。

そして、あの”龍村美術織物”がちょっと登場します。
苗子は里の娘らしい着物。
千恵子は渋い紬の着物がとっても似合って美しい。

川端文学の香りは...?
変に川端を意識して撮られてはおらず
中村監督の(古都)として観れば
それなりに志摩さんと着物で楽しめる映画です。

私は京都のーにおいーと
着物ーしか観なかったような....?

ーーー幸せは短くて、淋しさは長いのよね。
しっかり働くと手が温かいわーーーというセリフが哀しく...

とにかく志麻さんが可愛らしい!