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こんばんは。
日本の女優さんは
⑩まで投稿できました。
お若い皆様がご存知ないであろう 桑野みゆきさんにアクセスが多かったのは意外でした。
続きは又の機会に。
で、お茶いっぷくで
時代劇のことに触れたので、ついでに2、3
時代劇のこと書いてみます。
今夜は
におひたつ色気.
《市川雷蔵》 雷様のこと。
妖剣か心剣か
纏った黒羽二重《黒はぶたえ》 ーー日本独特の最高の絹織物ーー
から、におひ立つような男の色気を
振りまいているのに、その内面から滲み出るのは
からからに乾いた色気。
悪か善なのかで割り切れない剣士”眠 狂四郎”.
という人物。
明日のことなどどうでもいい。 かと言って
今日一日を大事に生きているわけでもない。
強くても栄誉やお金が欲しいわけでもなく、
かといって、惰性で生きているだけでもない。
この、言葉で表すのが非常に難しいキャラクターを
演じるということは...
ひところ≪ニヒル≫と言う言葉が流行ったことがあるが
これも、俗っぽくて、当てはまらない。
女性の喪服姿が美しいということにも通じた
黒の羽二重、絹、冷ややかな布、
この衣を100%生かして着れる男優が何人いるか?
ただ纏えば良いというものではない。
源氏の君のように、ただ、はんなり似合うのもダメ!
その研ぎ澄まされた物腰、円月殺法から投げかけられる
妖しい光と共にそこに近寄るのも憚れるほどの
芳香たる香り。
これは、もう雷様=眠 狂四朗である.
他の役者では何かが一つずつ欠けてしまって
魅力が半減してしまう。
28歳で映画デビューするまで、大阪歌舞伎界に身をおき、
意欲的に修行を積んだ.
そのころの他の時代劇俳優と同じような経験を持つ人である.
東映がチャンバラ映画の黄金期を作った頃.
大映は≪羅生門≫のヴェネチア.グランプリ、
≪雨月物語≫≪山椒太夫≫ヴェネチア.銀獅子賞
≪地獄門≫でカンヌグランプリと、アカデミー外国映画賞
と高い映画技術を持った、芸術性の高い映画を撮り続けていた.
1951年にデビューしてからの雷様は
白塗りの二枚目や、軽妙な二枚目半の役者であった。
その彼に回ってきた大役が≪新.平家物語≫の平清盛役。
眉の濃い若武者役であり、気迫のある演技を見せ、
その後、何年かしてこの作品が市川 昆監督の目に止まり
あの、三島由紀夫原作≪金閣寺≫の映画化ー≪炎上≫ーの主役に
抜擢されたのである.
三島はこの後雷様のフアンとなり、雷様が亡くなるまで
付き合いが続くことになり、数々のエピソードもある.
この作品で、キネマ旬報、ブルーリボン、NHK映画
それぞれの主演男優賞を獲得している。
15年の役者生活の間に154本の作品に出ることになるが、
東映城の役者と一つ違うのは、相手役の女優さんが自社の
人ばかりでなく、他社のいろんな女優さんと共演していることだ.
私は≪狸御殿≫や、軽妙な股旅ものも好きでした。
眠 狂四郎に出会った彼はこれこそ自分のための
役柄だと自分にしか出来ないと信じ、その役にいれこんだ.
律儀でウイットに富んだ品行方正な普段の彼とは違う
妖しいまでの魅力を振りまくその役≪眠≫に出遭って、
それからの彼は、
多種類に渡る飛躍的な役者人生を送ることになったのだ。
≪眠≫の現代版ともいえる ≪ある殺し屋≫≪陸軍中野学校≫
などはその延長であり、この殺し屋にすごい魅力を
感じると言う人の声を良く聞く。
≪破壊≫≪華岡青洲の妻≫などの文芸映画にも好演し、
その間にも≪眠≫のシリーズは続いた.
そして、歌舞伎の出演も続いた.
先達て≪若尾文子≫のページで≪千羽鶴≫を紹介したが、
この主役は雷様で行くはずだったがそのとき、彼は
病床に伏していてついに起き上がる事はなかった。
西洋文学や、新派その他いろんなことに精通している雷様に
魅かれた三島由紀夫は雷様の死までその交際が続いたという.
このころ雷様より提案のあった≪マクベス≫の構想が練られて
いたが、ついにかれが演じることは、出来なかった。
その翌年11月25日三島もこの世を去った。1970年でしたか?
主な、主な作品
≪新.平家物語≫
溝口健二
≪桃太郎侍≫
三隅研次
≪炎上≫
市川 昆
≪ぼんち≫
市川 昆
≪ジャン有馬の襲撃≫
伊藤大輔
≪弁天小僧≫
≪お嬢吉三≫
こういうのも好き!
≪薄桜記≫
森 一生
≪大菩薩峠≫
三隅研次、脚本衣笠貞之助
≪切られ与三郎≫
伊藤大輔 これは、すばらしい名作だと思いました。
≪歌行燈≫
衣笠貞之助 泉鏡花の世界,たまりません!
≪斬る≫
三隅研次
≪忍びの者≫
山本薩夫
≪ある殺し屋≫
森 一生
脚本 増村保造
≪陸軍中野学校≫
増村保造
154全作品のうちの一部です。
泉鏡花の世界を雷様と山本富士子が演じた≪歌行燈≫
これは、≪絵≫だけでうっとり!
鏡花の作品がちゃんと演じられて初めて
時代劇の世界では
男優も女優も ーいっちょまえーになれると
思いました。
時代劇に不可欠な色気、所作が出せる役者は今
何人いるだろうか?
50年近く経ってもなお時代を超えた人気と存在感。
三島と雷様、生きてたらこの50年間に何を生みだしたか。
失ったものは大きい。
違った雷様も見てみたかったが、
いやいやあの狂四郎さまの水も滴る、黒の着流し。
あの独特の色っぽい声...
だけでいいか!
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