銀幕の男優 ⑬・市川雷蔵さん・匂い立つ色気 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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懐かしい名画、最近の気になる映画のことを書いています。

好きなのは戦前のフランス映画です。

あくまでも映画日記ですので、


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こんばんは。

 

日本の女優さんは

⑩まで投稿できました。

 

お若い皆様がご存知ないであろう  桑野みゆきさんにアクセスが多かったのは意外でした。

続きは又の機会に。

 

で、お茶いっぷくで

時代劇のことに触れたので、ついでに2、3

時代劇のこと書いてみます。

 

今夜は

におひたつ色気.

《市川雷蔵》  雷様のこと。

 

 

妖剣か心剣か

 

纏った黒羽二重《黒はぶたえ》    ーー日本独特の最高の絹織物ーー

から、におひ立つような男の色気を

振りまいているのに、その内面から滲み出るのは

からからに乾いた色気。

 

悪か善なのかで割り切れない剣士”眠 狂四郎”.

という人物。

明日のことなどどうでもいい。  かと言って

今日一日を大事に生きているわけでもない。

強くても栄誉やお金が欲しいわけでもなく、

かといって、惰性で生きているだけでもない。

 

この、言葉で表すのが非常に難しいキャラクターを

演じるということは...

 

ひところ≪ニヒル≫と言う言葉が流行ったことがあるが

これも、俗っぽくて、当てはまらない。

 

女性の喪服姿が美しいということにも通じた

黒の羽二重、絹、冷ややかな布、

この衣を100%生かして着れる男優が何人いるか?

 

ただ纏えば良いというものではない。

源氏の君のように、ただ、はんなり似合うのもダメ!

 

その研ぎ澄まされた物腰、円月殺法から投げかけられる

妖しい光と共にそこに近寄るのも憚れるほどの

芳香たる香り。

 

これは、もう雷様=眠 狂四朗である.

他の役者では何かが一つずつ欠けてしまって

魅力が半減してしまう。

 

28歳で映画デビューするまで、大阪歌舞伎界に身をおき、

意欲的に修行を積んだ.

そのころの他の時代劇俳優と同じような経験を持つ人である.

 

東映がチャンバラ映画の黄金期を作った頃.

大映は≪羅生門≫のヴェネチア.グランプリ、

≪雨月物語≫≪山椒太夫≫ヴェネチア.銀獅子賞

≪地獄門≫でカンヌグランプリと、アカデミー外国映画賞

と高い映画技術を持った、芸術性の高い映画を撮り続けていた.

 

1951年にデビューしてからの雷様は

白塗りの二枚目や、軽妙な二枚目半の役者であった。

 

その彼に回ってきた大役が≪新.平家物語≫の平清盛役。

眉の濃い若武者役であり、気迫のある演技を見せ、

 

その後、何年かしてこの作品が市川 昆監督の目に止まり

あの、三島由紀夫原作≪金閣寺≫の映画化ー≪炎上≫ーの主役に

抜擢されたのである.

 

三島はこの後雷様のフアンとなり、雷様が亡くなるまで

付き合いが続くことになり、数々のエピソードもある.

 

この作品で、キネマ旬報、ブルーリボン、NHK映画

それぞれの主演男優賞を獲得している。

 

15年の役者生活の間に154本の作品に出ることになるが、

東映城の役者と一つ違うのは、相手役の女優さんが自社の

人ばかりでなく、他社のいろんな女優さんと共演していることだ.

 

私は≪狸御殿≫や、軽妙な股旅ものも好きでした。

眠 狂四郎に出会った彼はこれこそ自分のための

役柄だと自分にしか出来ないと信じ、その役にいれこんだ.

 

律儀でウイットに富んだ品行方正な普段の彼とは違う

妖しいまでの魅力を振りまくその役≪眠≫に出遭って、

それからの彼は、

多種類に渡る飛躍的な役者人生を送ることになったのだ。

 

≪眠≫の現代版ともいえる ≪ある殺し屋≫≪陸軍中野学校≫

などはその延長であり、この殺し屋にすごい魅力を

感じると言う人の声を良く聞く。

 

≪破壊≫≪華岡青洲の妻≫などの文芸映画にも好演し、

その間にも≪眠≫のシリーズは続いた.

 

そして、歌舞伎の出演も続いた.

先達て≪若尾文子≫のページで≪千羽鶴≫を紹介したが、

この主役は雷様で行くはずだったがそのとき、彼は

病床に伏していてついに起き上がる事はなかった。

 

西洋文学や、新派その他いろんなことに精通している雷様に

魅かれた三島由紀夫は雷様の死までその交際が続いたという.

 

このころ雷様より提案のあった≪マクベス≫の構想が練られて

いたが、ついにかれが演じることは、出来なかった。

 

その翌年11月25日三島もこの世を去った。1970年でしたか?

 

主な、主な作品

 

≪新.平家物語≫ 

 溝口健二

 

≪桃太郎侍≫   

 三隅研次

 

≪炎上≫      

市川 昆

 

≪ぼんち≫     

市川 昆

 

≪ジャン有馬の襲撃≫

伊藤大輔

 

≪弁天小僧≫

≪お嬢吉三≫

こういうのも好き!

 

≪薄桜記≫    

 森 一生

 

≪大菩薩峠≫    

三隅研次、脚本衣笠貞之助

≪切られ与三郎≫ 

 伊藤大輔  これは、すばらしい名作だと思いました。

 

≪歌行燈≫     

衣笠貞之助 泉鏡花の世界,たまりません!

 

≪斬る≫     

 三隅研次

 

≪忍びの者≫   

 山本薩夫

 

≪ある殺し屋≫  

 森 一生 

脚本 増村保造

 

≪陸軍中野学校≫ 

 増村保造

 

154全作品のうちの一部です。

 

泉鏡花の世界を雷様と山本富士子が演じた≪歌行燈≫

これは、≪絵≫だけでうっとり!

 

鏡花の作品がちゃんと演じられて初めて 

時代劇の世界では

男優も女優も  ーいっちょまえーになれると

思いました。

 

時代劇に不可欠な色気、所作が出せる役者は今

何人いるだろうか?

 

50年近く経ってもなお時代を超えた人気と存在感。

三島と雷様、生きてたらこの50年間に何を生みだしたか。

 

失ったものは大きい。

 

違った雷様も見てみたかったが、

いやいやあの狂四郎さまの水も滴る、黒の着流し。

あの独特の色っぽい声...

だけでいいか!

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