《地獄門》・身勝手な略奪愛、献身の愛、許容の愛 ・1954年度作品 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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身勝手な略奪愛!
献身の愛!
許容の愛!
 
  
好きでもない相手から愛を告白されたら
貴女はどう思いますか?
貴女はどうしますか?
 
 
こんばんは。
今夜の時代劇は
大映映画  ≪地獄門≫
 
 
 
時は保元の乱後、後白河法王を推す清盛と藤原の道憲が揃って
昇進した為、これを根に持った源 義朝と藤原信頼は清盛が
熊野詣の留守中に挙兵、法王を幽閉し道憲を殺した。
 
世にいう平治の乱である。
法王の身代わりとして輿に乗った袈裟(京 マチ子)という女性は
清盛の家臣盛遠(長谷川一夫)に助けられる。
 
盛遠は袈裟に一目ぼれする。
 
盛遠は今、厳島に滞在している清盛の元へ法王幽閉の知らせに
走り、清盛はすぐに都へ戻り、義朝らを討つ。
 
清盛に褒賞を授けられる身となった盛遠は
袈裟を嫁に欲しいという。
 
が、袈裟は渡辺の渡(山形 勲) の妻であった。
武に対しても義に対しても一本気な盛遠は女性に対しても
一途で到底諦める事など出きず、清盛にも執拗に迫る。
 
盛遠の兄は盛遠にいって聞かせるが一途と言えば聞こえはいいが
言い出したら聞かない盛遠はあきらめるどころか
その恋情は増すばかりであった。
 
渡るは温和で律儀な夫で袈裟とは仲睦まじい夫婦であった。
袈裟は渡るにも打ち明けるが、やさしい夫は、
袈裟を慰め気持ち良く相談にも答え、一件落着かに見えた。
 
温和なわたるは、牙剥き出しで向かってくる盛遠を
相手にしないようにするが、やんちゃ坊主は引かない。
 
ことごとく、わたるに皆が身びいきするのも気に食わない。
元々は、正義感も強く、武勇に優れた、盛遠であったが
恋が彼を変えてしまった。
 
日に日に想いはつのる。
 
とうとう嘘で袈裟を呼び出した盛遠は
夫と分かれて自分と一緒になれと理不尽なことを言って
袈裟を困らせる。
とうとう袈裟はある決心をして、盛遠に今夜屋敷の渡るの
寝間へ忍び込ませることを約束する。
 
夕餉の席で袈裟はわたると杯を交わし、
今夜は袈裟の部屋で寝るように勧める。
 
夜中に忍び込んだ盛遠はわたると思った袈裟を切り殺して
しまう。
 
そこで初めて袈裟の貞淑な気持ちに気付くのであった。
自分の欲望ばかりに走っていた自分に比べ、
袈裟はわたるのことを思いやって我が命を差し出した。
 
なんと浅はかな自分勝手な男だったと後悔するがもう遅い。
 
観念した盛遠はわたるに自分の首を刎ねるよう頼む。
が、わたるにしてみれば、盛遠の首を刎ねたところで、
袈裟は戻らぬ。彼は言う。
 
”おまえは首を刎ねてもらって
それで済むかも知れぬが、たった一人の妻に 
死に臨んで一言ももらされなかったこのわしは
どうすればいいのだ?
わしは夫婦とは信頼があって成り立つものだと思う。
なにも打ち明けられずにおいて行かれたわしはこれから先
どうやって生きていけば良いのか?”と。
 
盛遠は初めて、気が付いた 人を愛するということは
そういう事なのだと。
 
頭を丸め ≪一生 地獄の呵責に責められるのだ。≫と
袈裟の菩提を弔うため諸国行脚に出るのであった。
 
 
すごく現代的なシナリオだと思いません?
この作品は原作が菊池寛。
 
1954年度のカンヌ国際映画祭のグランプリ作品です。
監督 衣笠貞之助
出演    長谷川一夫
 
            京マチ子
 
             山形勲
 
衣装調整は松坂屋となっていますから、
帷子、武者装束など豪華絢爛です。
この作品の一番の見所
絢爛豪華さです。
 
3人3様の”愛の形”が面白いですね。
わたるの愛し方、愛に対する理念。
袈裟の貞淑な 捧げるだけの愛。
盛遠の奪い取っても自分の愛を押し付ける様。
 
黒澤明の≪羅生門≫の後半で
夫婦と野盗の3人の証言ーーーつまり自分を正当化しようと
してすべて食い違い、誰が本当のことを言っているのか
結局分からないというテーマと比べてみると
非常に面白いですね。時代の背景が同じだけに。
 
平家の全盛という戦いばかりの世の中で、
愛に身を焦がす武者に焦点を充てたことが、
非常に現代的感覚で私は面白うござんした。
 
カラーも美しく、
瓜実顔の京 マチ子さんは本当に平安時代の
女性を思わせる美しさで、この辺りまでーー
ーー雨月物語辺りまでかーーは京美人でいけてます。。
 
その後はバタ臭い国際派女優になりました。
 
以前、観た時はなんか軟弱な時代劇と思ったのですが、
視点を変えてみるといやーわたしが間違ってたと
思いました。
 
そう、あの当時にしては 
これは愛の形についての極めて現代的な映画なのでした。
 
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