『ブルックリン横丁』・読書は人を理解する心を育んでくれる❗️エリア・カザン監督 ・1945年度 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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読書は人を理解する心を育んで

くれる。



今夜は子供の純粋な目を通じて

生きるということは何かを教えてくれる作品,

  ≪ブルックリン横町≫を

取上げてみます。



この作品は大好きな作品で何年かに一度は必ず鑑賞する作品です。

1945年度作品。

ブルックリンに住む

貧しい一家の物語。

劇作家ベティ・スミスの自伝的長編小説が原作。

エリア・カザン監督初めての

長編作品。





彼の作品に共通しているのは

社会からはみ出しているように見える人と

それを理解していないように見える人とが前面に出て

我々にメッセージを与えてくれ、

その中から真実を見る目と

まさに真実とは何かを投げかけてくれるテーマとで

成り立っているように思われます。



今夜の作品も夢を見ている父親に妻は辟易して

彼の言うことや行いに段々耳を貸さなくなる。そして

夫婦の仲が上手くいかなくなる。



そんな中で12歳の娘だけは父親を理解し、愛し、

誇りを持っている。



弟はいつもおなかをすかせているが

頼もしいまるであのにあんちゃんを思わせる

たくましい男の子である。





監督 エリア・カザン

原作 ベティ・スミス

出演者



ケイティに

ドロシー・マクガイア



フランシーに

ペギー・アン・ガーナー



父親に

ジェームズ・ダン



音楽 アルフレッド・ニューマン





ストーリー





フランシーは父と

母のケイティと弟のニーリーと

ブルックリン横町の

安アパートに住んでいる。



失業中の父に代わって

ケイティはアパートの床磨きをしている。

フランシーとニーリーは

他の子供達と一緒に

くず鉄などを拾い集めては

業者に売って家計の助けに

一役買っている。



フランシーは父の血を

受け継いでか

文学少女で

図書館で

いつも本を借りては

読みふけっているが

 A のつく作家の本は読み尽くしたといって

 B のつく作家の

難しい本を借り出し、

司書を驚かすほどだ。



ニーリーは優しいしっかりモノの姉フランシーのよき理解者ではあるが

おなかが満腹であれば他には何も望まない楽天家である。



父は夜のキャバレーなどでシンガーとして働いたりするが

殆ど仕事の口は回ってこない。



いつも夢のようなことばかり言う彼に

妻ケイティは

少しばかり

うんざりして

夫を頼ることもなくなり、

自分のわずかな稼ぎと

子供達の手助けで

生計を立てている日々であった。



今夜も父はかけをやって

少しばかりの収入を得て

お土産を買ってきて呉れたが

ケイティはそんな彼を

温かくは

迎えなかった。



酒を飲んで

酔っ払って帰ってこなかっただけ

マシだった。



酔っ払うことを

フランシーは

病気だといって父をかばった。



父の夢のような嘘を

フランシーは本気で聞き、

そんな彼と散歩をすることを

喜んだ。



スラム街の学校では

フランシーの純粋で繊細な感性は

理解されず、

彼女は近くのきれいな名門校に入って勉強をしたがった。



父はそんな彼女の希望を叶えてやりたくて

なんとか入学させることができたが、

家系のやりくりは大変で

アパートの屋根裏部屋に

越した。



新しい学校では

素晴らしい先生にめぐり逢え、

彼女に教えた。



空想好きなフランシーに

”日常生活では空想や嘘はダメ!

嘘や空想はノートに書きなさい。

事実に空想を加えて物語にするのよ。

ただの夢は何の糧にもならない・・・”と。



そのことをなんのてらいもなく父に話したところ

父はケイティの冷たい態度は

すこしも堪えなかったが

フランシーのこの言葉に

恥ずかしさを覚え、

家を出て、

行方がわからなくなってしまった。



久しぶりにクリスマスを祝った夜のことだった。



一週間前に、彼は職安の前で行き倒れとなって病院へ運ばれていたと知らされた。



はかなく死んでしまった父のことで

フランシーは

母を許さなかった。



しかし、

母のおなかには新しい生命が

宿っていた。



そして驚いたことに

父の葬儀にはそれはそれは

たくさんの

知らない人たちが

参列してくれた。



”あんな良い人はいなかった!”というのが

みんなの言葉だった。



困っているだろうと

手を差し伸べてくれる人たち。



ケイテイは姉のシシーに言った。

”あの娘は涙も流さないのよ!”と・



しかし、フランシーはアパートの屋上でひとり

大声を上げて”パパ!”と

泣きじゃくった・・・・



そして叔母のシシーの説得・・・

  ”おかあさんはあなたを必要としているわ、許してあげなさい”・・

そしてフランシーは病院でお産が出来ない為、

自分が赤ん坊を取上げると

決心した。

ニーリーには

いつものように

アルバイトに行くように命じて・・・



無事に赤ん坊は生まれ、

父の知り合いが

フランシーとニーリーに

新しいシゴトを

持ってきてくれた。

学校が終わってから

手伝いに来るようにと・



そして兼ねてから親切にしてくれていたおまわりさんが

母ケイティに結婚を前程に

お付き合いしたいと

いってきた。



子供達は快く賛成した。



屋上に上がったフランシーはニーリーに



”今までの生活となんだか変りそうね”という彼女に

弟は”・・・退屈さ!・・”といっぱしのことをいった。



そして”わたしってきれい?”と尋ねたフランシーに

”気でも狂ったのかい?”と言って振り向き顔を見て

”合格さ!”とあっさりと言った。



”優しいのね”・・・・



ブルックリンを見渡すといつもと変らない表情の街だった・



夢とホラとは背中合わせかもしれないが

人を和ませた父親の人柄を

フランシーは、

祖母がたくさんの本を読みなさいと教えられたそのことから

本来の父の素晴らしさを感じ取っていた。



読書は心の為にするもので

モノを知るだけのものでは

ないんだよと

祖母はフランシーに教えた。



そしてフランシーが

初めて書いた物語、

”たくさんの人々に愛された人”・・・のなかで

こういっている。



”彼はお金を稼ぐことは出来ない人だったけれど

たくさんの人を和ませ、そして彼は王様のように

幸せをばら撒いた・・”



それを聞いた母ケイティは

昔を思い出し、

”そうだったわ、

彼と一緒に歩くとそう,

王様と歩くような

気分だったわ。

ああ,彼に会いたい、

今ほど彼に会いたいと思ったことはないわ”



   ”本当??”とフランシーがにっこり笑ったそのシーンは

いまでも心に残る好きなシーンです・



大人が子供の純粋な目に教えられる清々しい作品です。



子役の

ペギー・アン・ガーナーは

この時代に大活躍した

名子役です。

母、ケイティよりも

ずっと大人で、人を理解する

感性、をさらりと演じて

ステキですね。

ジェーン.エアか?でも

見かけたような気がします。



人間て、殆どの人が、

自分を分かってもらいたい、

また、もらおうとする生きものですが、人を理解することが

器を大きくしていくんだって

何度も見て、元気をもらった作品です。



音楽担当の

アルフレッド.ニューマンは

1930年代から

1960年代までの

相当な作品の音楽に携わっていて、あまりのヒット数で

もう列記しきれません。

でもダントツに人気のあるのは

慕情 の主題歌ですね。