薩摩切子 | 高槻ビブリアカフェ読書会

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 今日は薩摩切子の紹介です。

 私は切子の美しさに憧れ、いろんなところで見ていましたが、

なにぶん高価なため、なかなか買うことが出来ませんでした。

 それが修学旅行の付き添いで鹿児島に行き、切子の美術館を見ていたとき、写真の麦酒器に目が留まりました。

 なんという美しさ!

 華があり、繊細でありながら力強さも持ち合わせています。

 もう「欲しい欲しいーっ!」となりましたが、「いやいや、また衝動買いか?」と、自分に言い聞かせ、気を落ち着けるために一旦そこを離れました。でも、頭の中はその切子のことで一杯で、「こりゃ今買わなくては、こんな遠いとこ、永遠に手に入らないよん」と自分を納得させて買い求めました。

 以来10年近く、主に日本酒に使っていますが、

使うたびに「買っといてよかったー^^;」と見とれています。


 
 珍しい「幻の黄色」もいいですが、左のものは島津紫といわれるもので、とりわけ美しいです。後ろに写っているワイングラスとの色の違いがわかるといいのですが、魅入られていくような不思議な紫です。透明のガラスに色ガラスを被せ、
それを削って(切子とはカットのこと)いったもので、「薩摩ぼかし」によるグラデーションも見事!光の当たり方で微妙に揺れ動く色の変化がえもいわれぬ幻想を紡ぎだします。




 箱書きに島津斉彬の文字がみられますね。

 島津藩第28代藩主斉彬は押し寄せる列強に対し、強い日本を作るために尽力した名君でしたが、その一策で、海外交易品として開発したのが切子ガラス、ヨーロッパ、中国を凌駕する素晴らしい技術でした。しかし斉彬の急逝、薩英戦争での工場の消失、そして、1877年の西南の役による騒乱の中で技術は途絶えてしまいました。

 世界に誇れる素晴らしい技術を再生したいという思いから、1985年、100年にも及ぶ空白から蘇った薩摩切子、3年に及ぶ研究の結果、幻の金赤と黄色と呼ばれていた色の再現に成功し、さらに今から10年ほど前に写真の「島津紫」を作り出しました。私が出会ったのはまさにその頃、僥倖でした。

 そういった現代の切子を箱書きにもあるように「創作」と呼びます。

 日本の誇る素晴らしい技術、いかがですか。ボヘミヤクリスタルともスコットランドのクリスタルとも違う繊細な切子の美しさ。

 あ、切子グラスの右に写っている不思議なおとぎの国から来たようなグラス二つが気になった方がいらっしゃるでしょうか?

 それについてはまた・・ということでパー