ローズマリー・サトクリフさんとわたし | 高槻ビブリアカフェ読書会

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スペシャルティコーヒーを飲みながら本のことを語り合う
読書会のブログです。「ほな いこか!」電子版公開始まる!

 はじめて読んだのは「ともしびをかかげて」(Te Lantern Bearers)

 1959年のカーネギー賞受賞作品です。

 あまりの面白さ、圧倒的な感動・・

 それ以来フィリッパ・ピアスさんとこの人は最も興味のある作家に

なりました。

 今このブログを書いていて、「西郷札」を思い出しています。

西郷札とは西南戦争中に隆盛が軍費調達のために発行した軍票ですが、そんなに知られているものではありません。

 ご存知の方も、松本清張の小説がきっかけだったのではないでしょうか。大作家の処女作にして直木賞候補になった作品。

 彼はたまたま辞典を調べていて、わずか2行ほどのこの言葉の解説に出会い、興味を持って調べていくうちにこの作品が出来上がったのだと言っています。

 サトクリフさんの作品もまさにそんなところがあります。

 サトクリフさんは2歳でスティル病にかかり、歩行障がいになり、ほとんど外出することはなく、わずかの学校生活を除き、自宅で車椅子で過ごした作家です。

 その彼女が、歴史の中で、ほんの2行ほどで触れられているにすぎない出来事を、まるで、そう、タイムマシンでその場に居合わせたような臨場感と圧倒的な迫力で長編に描き出すのです。

 素晴らしい!

 スコットランド南部のグロソップという小さな町のパン屋さんの2階で、この人の本を読みあさったことを今でも鮮明に覚えています。面白くて面白くて全然眠れませんでした。朝が来てパンを焼く香ばしい香り・・・窓の外の煙突からの煙・・

 願いは叶いませんでしたが、「この人に会ってみたい!」と、強烈に思ったことでした。



 愛読書の3作、他は・・・カリパクされたー(涙;


 さて、サトクリフさんの本があんまりありません。なんで??

それは、まあ2度の引越しでなぜか消えたのもあるけど、かなりは

カリパクされたんです・・・

 気に入った本は人に薦めたいですよね、で貸したい・・読んで欲しい・・というわけで、彼女の本をたくさん、ある人に貸したんです。

で、「すごく面白い!」と言ってくれたので、調子こいて、「これも、これも、これも読めー!」っと押し売り(?)してました。

 そしたらそのうち職場変わって、でも返してというのも失礼か、

まあそのうち返してくれるか・・と思ってたら、その人、ドイツに行っちゃったんです。で現地で結婚して・・どうしてるかなぁ・・

 学習→人に本貸すときは、返ってこなくてもいいと思って貸すこ

      と。



 左はサトクリフさんの自叙伝(Blue Remembered Hills)

 

 上は自叙伝「思い出の青い丘」。障がいのある少女が、母親の深い愛との葛藤、思春期の悩み、孤独、初恋、別離などをとおして成長する姿を、静かに見つめた自伝で、ようやくサトクリフさんの姿を見た気がしました。

 彼女の作品は多くを猪熊葉子さんが翻訳しています。この人の

実力にはいつも舌を巻くばかりです。翻訳されて40年も経つわけですから、細かく見ていけば時代的に合わないところがあるかも知れないですが、そんな気持ちをぶっ飛ばすような見事な翻訳力、あー、こんな風に訳してみたい!って、努力なしではねえ・・

「キミキミ、清水俊二の時もそんなこと思ってたのでは・・」という

心の声が・・あ、あー、ではこのへんで。