林怡蕿(リン・イーシェン)さんによると、
台湾のマスメディアには
・ラジオ
・新聞社 大手4紙
・地上波TV 4局
・ケーブルTV 80~100チャンネル
・公共放送グループ (公共テレビ・原住民族テレビ・客家テレビ)
などがあるそうだ。日本のような新聞社とTV局の資本関係はないそうである。

興味深いのは新聞社がそれぞれ政治的立場を鮮明にしている点である。
大手4紙をその立場とともにまとめると

聯合報(1957~ 100万部?)中間から親中に傾斜
中国時報(1968~ 100万部?)親中、近年その傾向が一層強まる
自由時報(1980~ 65万部?)反中、台湾独立支持
アップルデイリー(2005~ 51万部)中立、中国に対して批判的
ということだそうだ。(発行部数は公称)

ケーブルTVについては、私も2010年の台湾旅行の際、ホテルで見ることができた。
日本のNHKニュースも録画ではあるものの視聴できたし、中国時代劇や台湾語、韓国のドラマ、仏教やキリスト教の専門チャンネルもあって大変興味深く感じた。
その中で公共放送による原住民族テレビや客家テレビはマイノリティーのアイデンティティーを大切にしていて、彼らの文化を後世に伝えるためにも有意義な放送であると思えた。

こういうことは日本も見習うべきではないかと思ったものである。

-続く-
2004年7月7日に亡くなられた恩師・高畠道敏先生が提唱された「市民政治」を
論じる場として2005年に設立され、講演会・討論会を年2回開催している
「市民政治研究会」の15回目の集まりが、2013年7月20日(土)代々木の婦選会館で行われた。

今回の講師は林怡蕿(リン・イーシェン)さん、1974年、台湾台南市生まれ。
2013年4月から立教大学社会学部メディア社会学科准教授になられた若い研究者である。
立教大学としては、私の大学院での指導教授であった、
戴国煇(タイ・クオフェイ1931-2001)教授(文学部史学科)以来の台湾出身の
研究者であるそうだ。

林さんは国立台湾大学新聞研究所にて修士号取得の後、
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程で単位取得修了、社会情報学博士。
立教大学に来られる前は仙台大学スポーツ情報マスメディア学科で教鞭を取られた。

今回の講演では、
・台湾の新聞社説における対日言論
・台湾社会の対日観
・台湾社会内部における対立とナショナリズム
・親日?反日?他の見方の可能性
についてスライドプロジェクターを使ってわかりやすくお話しいただいた。

-続く-
7月15日、授業の帰りに映画館「ポレポレ東中野」で上映中の映画『台湾アイデンティティー』を観に行った。

本作は監督の酒井充子さんが2009年の前作『台湾人生』に続き、第2次大戦まで日本の統治下にあった台湾で生きた人々の戦中戦後の苦難の歴史を聞き書きする形でドキュメンタリーとして制作した映画である。

台湾の80歳代以上の本省人(戦前から台湾に住んでいた人々)は日本人として教育を受けたので、日本語も流ちょうである。台湾社会のリーダー的な彼らの存在があったから、東日本大震災後台湾から200億円を超える多額の義援金が寄せられたことに相違ない。

日本国憲法が施行された1947年、台湾では「二二八事件」が起きた。中国国民党の専売局闇タバコ摘発隊に台湾人女性が暴行されるという事件が起きたことをきっかけに抗議行動を起こした民衆に対し、憲兵隊が発砲した。激しい台湾人の抗議行動は国民党によって武力鎮圧され、2万数千人の台湾人が殺害・処刑されたという。

その後、台湾では1949年から1987年までの38年間にわたる戒厳令下で白色テロが横行し、国民党政府によって数多くの無実の人が逮捕・拷問・銃殺されたという。台湾本島から25キロ離れた離島「火焼島(現・緑島)」はそうした政治犯が島流しされた島である。私は大学生時代級友と4人で戒厳令下の台湾を旅したが、テレビでは金門・馬祖島での対中国戦闘シーンが頻繁に流され戦時中のようだった。

私の大学院での恩師戴国煇先生は『境界人の独白』という本を著したが、中国本土とは明らかに異なる台湾に住む人々の中国・日本への思いはそういった歴史を背負っている複雑なものである。日本への想いも国民党時代よりはまだましだったという、悲しいところから発したもので、私たちはそれが決して「親日的」の一言で片づけられるものではないことを肝に銘じる必要がある。

多くの日本人にぜひ見てもらいたい映画である。