「PFFアワード2013」審査員特別賞 『女島』 『山守クリップ工場の辺り』 『夜の法則』


$市民政治と憲法の間/江川栄一-PFFアワード2013授賞式の審査員と入選作品監督

(PFFアワード2013授賞式の審査員と入選作品監督)


「PFFアワード2013」の審査員特別賞は、無視することのできない才能

を感じさせるつくり手に贈られます。今年は下記の3作品が選ばれま

した。

(作品名50音順)


『女島』 泉谷智規監督

『山守クリップ工場の辺り』 池田 暁監督

『夜の法則』 山下洋助監督


私は鑑賞後、各監督にメッセージとして次の感想を送りました。


『女島』 泉谷智規監督

「圧倒された。日本人俳優に中国人を演じさせ、今の日本人の行動で

きないダメなところと、それを利用して金もうけする裏社会中国人の

たくましさとの対比をよく描いている。

精肉工場・中国人向け風俗で働く日本人女性など、タブーに挑戦しよう

という意気込みを買いたい。舞台として九竜城をイメージした怪しげな

裏街の一角は無国籍都市のイメージを出そうと工夫している。

女島シリーズとして彼が韓国人や東南アジア人と対決し活躍する続編

を見てみたい。」

映画ファン賞一般審査員からは、社会派とエンタテイメントとのどち

らにウエイトを置くのか中途半端だ、という意見もありました。私は

『振動』に次ぐ作品として推薦しました。


『山守クリップ工場の辺り』 池田 暁監督

「お腹の突き出た主人公・小暮をはじめとして、登場人物すべてが個

性的(というよりエキセントリック)。ロケ地は昭和の匂いが色濃い

ところを選んでいるので工場・下宿・食堂など自然に表現されている。

助けてもらったちょうちょが恩返しをするというストーリーも昔っぽ

く、彼らの話す方言もそれらしいが、『かなげジュース』って何?

そもそも針金を手で曲げてクリップを作る工場なんて、昔でもあった

のだろうか?」

一般審査員からは、何ともバカバカしさが面白いという意見があった

ように記憶しています。


『夜の法則』 山下洋助監督

「警備員の主人公が夜中の大学そして街で通り魔の犯行に気付き、彼

を追いかけるのだが、女性から見たら主人公も『立派な』ストーカー

だ。簡単に何人も殺されてゆくのだがそれに至るプロセスがないのが

物足りない。『殺す側』と『殺される』側の関係性が何もないのが残念。

私自身、学生時代にいやなことがあると気晴らしに夜の街を歩くこと

があったが、その時の怖い感覚を思い出した。」

一般審査員からは、脚本が物足りないという意見がありました。

私は『振動』に次ぐ作品として推薦しました。
「PFFアワード2013」準グランプリ 『きみの信じる神様なんて本当にいるの?』


$市民政治と憲法の間/江川栄一-PFFアワード2013授賞式の入選16作品監督

(PFFアワード2013授賞式の入選16作品監督)

「PFFアワード2013」の準グランプリは、猪狩裕子監督

『きみの信じる神様なんて本当にいるの?』が選ばれました。


私は鑑賞後、猪狩監督にメッセージとして次の感想を送りました。

「母親がネグレクトの『自由な少女』と両親には愛されながら不法滞

在のため息をひそめて暮らしている『不自由な少年』が心を通わせる。

窓に鉄格子のはまった高層住宅は本作の舞台としてはピッタリだ。

2人がインドの神ガネーシャに祈っている姿が印象的。2人の祈りが

環境を克服して日本で幸せになってほしいと思った。今の日本社会は

それをも許さないのだが」


映画ファン賞一般審査員のなかでは1人が推薦作品に取り上げました。

子どもがしゃべりすぎると説明的になるので台詞をやめたのが抑圧さ

れている子どもたちの感じをよく出している。イメージ通りの団地を

探して全国を調べ上げ大阪に行き着き現地でキャスティングをした、

というように作る姿勢が真摯である。

というような意見だったと記憶しています。
「PFFアワード2013」の映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)は

平野朝美監督『振動』が選ばれました。

$市民政治と憲法の間/江川栄一-PFF映画ファン賞授与・右が平野朝美監督

この賞は、ぴあ映画生活によって選ばれた一般審査員4名が

チーフプロデューサーとともに選出に加わり、「映画館で見たい才能」

に対して贈られるものです。

今年で4回目となるこの賞の選出は、かつては難航し1日で結論が出

ずに2日目に延長されたこともあるそうですが、今年はすんなり決ま

りました。


私は鑑賞後、平野監督にメッセージとして次の感想を送りました。

「ストーリーがしっかりしている。春樹、直役の二人に加え、寮長先生や

級友のドラマーなど脇役も含め俳優の演技も素晴らしい。またバンドの

演奏も高レベルと見応えのある映画でした。映画館でもう一度見たい

と思いました。」

映画ファン賞一般審査員の皆さんも全員が一致して本作を高評価。

出演者をオーディションで選び時間をかけて役作りをした上にロケ地で

合宿して制作するなど丁寧に作られていること、手話や音楽なども

素人の域を超えている、脚本・演出も素晴らしいなど、口々に作品の

完成度の高さを話されていました。