花みずき⑥最終回「予科練記念館ト特攻」ニ関スル備忘録 | 地球の日記☆マーク♪のblog☆

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この地球は今大きく変わろうとしている。自国主義からコロナ禍を経て、調和・融和へとイノベーション(変革)し、人生100年時代へ向けて脱炭素の環境優先へとベクトル(地球的エネルギー動向)が動いた。
常に夢を持って波に乗ろう!

(第一部) 予科

 

この季節、うだるような暑さに向日葵だけでなくこっちまで多少しなだれた心が揺れるのをおぼえる。

そして、気づき、追憶が「この事は是非、歴史に書き留めて!」と言うように呼びかけてくるのである。

 

 

先日、霞ヶ浦の「予科練平和記念館」を訪れた時の事。

 

そこは、展示の概要として七つのテーマ館にそって展示或いは映写室があった。

 

①入隊 (募集と志願等の背景や制度の変遷など)

②訓練 (教育、訓練、内務班、服務など)

③心情 (手紙や日記、手記など帰らぬ少年兵の遺書も)

④飛翔 (巣立って飛練や戦地へと)

⑤交流 (地域の人々との交流など)

⑥窮迫 (戦局激化、空襲などのシアター映像)

⑦特攻 (予科練と特攻による犠牲)

 

この中で、③の心情の館では予科練、少年兵たちの手紙などが閲覧でき、その中でそれら書簡を読みながら、しくしく泣き続けている女性の姿もあった。今の世でも人の心をうつ現実がここにあった。

 

 

先ずシチュエーション(状況)だが、これは荻原浩の「僕たちの戦争」という475頁にも及ぶ、平和ボケに警鐘を、というか温故知新的な物語で、現代のサーファーと戦時中の予科練飛行兵が、入れ替わるタイムスリップの悲喜劇を、ディテール豊かに描いた見ごたえのある作品で、これを読み終えたおかげで、私はこの舞台の霞ヶ浦に興味を持ち、とうとうここに来てしまったじゃないか。

いい作品は人を動かす力があるようだ。

 

 

この銅像はどなたか分かるかな?

この方は、連合艦隊司令長官の山本五十六大将。霞ヶ浦の「雄翔館」でお目にかかれる。

彼は霞ヶ浦をパールハーバーに見立てて飛行訓練をさせたという。

 

 

これら史実も踏まえて、また個人的にも、「わたし霞ヶ浦出身よ」と言っていた、ある女性のことも心の奥底に引っかかっていたのかもしれない。

約80年前、七つボタンに憧れて土浦に引き寄せられた多くの若者の如く、私もある種の磁力によってその地を踏んでいた。

そして、いつかは、と思っていた念願の(?)霞ヶ浦・土浦に来てしまっていた。当時とは違うエアコンの効いた快適なJRで。

そうBGMはJRのテーマソング「いい日旅立ち♪」のメロディーがふさわしいかな。

 

 

 

料亭「霞月楼」は明治22年創業で土浦に在し、山本長官ら佐官級の幹部将校も当時英気を養うために利用したという。

そして下士官や教員、七つボタンの予科練(海軍飛行予科練習生)の連中は、今も残る「保立」や「吾妻庵」を利用し、昔はここが、敬礼だらけの海軍さんでいっぱいだったんだな、と思うと不思議な感傷にとらわれてくる。

 

 

 

 

当時、列強の植民地政策や国内では軍部の台頭、対中国戦争が泥沼化し、国際的に不景気で海軍軍縮不平等条約や国際連盟から日本は弾き出されるようにして、日独伊三国同盟を締結(1939年)したので危機感を感じた米国は、日本に対しハルノート(最後通牒)を突き付け、やむにやまれぬ日本は1941年の日米開戦・真珠湾攻撃に至る訳だが、米国は物量生産大国にもかかわらず、資源乏しい小国を挑発して、原爆実験を使用する機会を窺っていたともとれる。

どう正当化しようとも、現実に非人間的な核使用した事実は、やってはいけない人類史上の汚点ともいえる。

 

 

 

そして今の平和ニッポンは、力や技を競う魂をスポーツにぶつけている。

 

 

さて、温故知新の如く、その歴史的現存史料を実際にこの眼で観たく、「予科練」の跡地に行こうと思い、周囲を見回すと、駅に陣取っていた”いきいき茨城ゆめ国体”の案内コーナーが目に映ったので、そこで聞いてみることにした。

 

「こんにちは。少々お尋ねしたいのですが……、予科練はどう行けばいいか分かりますか?」(ちょっと唐突だったかな)

 

 

「えっ、ヨカレン? ……ああ、予科練平和記念館ですか」

「ええ、それです。バスとかありますか?」

で、話を聞いてみると、1時間に1本か2本しかないとのこと。

それで私が「歩いて行けますか?」と言うと

「いやいや歩くと遠いですよ、1、2時間かかります」

「……」

すると、気の毒に思ったのか、親切に「今、丁度、国体のセーリング会場に行くシャトルバスが出てますから、そこへ着いてから少し戻れば「予科練平和記念館」に行けます。

「それはどこから乗れるのですか?」

「シャトルバス乗り場までご案内しましょう」と言って、I さんが一緒に歩いて、<監督・選手用>のプレートがついた大型バスまで案内してくれた。

 

やがて、若い母親と幼い娘も乗ってきて、バスは間もなく発車した。

 

 

……ほうっ、この辺の土地の人は親切だな。海軍のあった町だからかな。山本長官の仁徳かも知れんな。

と、一人悦に入っていたら、後方の席で幼い女の子が泣きだした。

 

何?何なんだ?

どうやら親子喧嘩のようだ。母親がびちびち小言を幼女に言っている。

幼女はすねて泣きながら反論している。

母親はあやしたり、なだめすかしたり、仕舞には脅しているつもりなのか「聞き分けのない子ねえ、もう、何も買ってあげません!」

とうとう、母親も愛想を尽かしたようだ。

すると、その女の子は、衆人環視の前だから、ひどいことはされないだろう、この際、日頃のうっぷんを晴らしてやれ、などと思ってか、ますます自我を通す。

「うわ~~~ん……」

 

おいおい、何だか険悪な雰囲気になって来たぞ。やめてくれよ、こんなとこで家庭のもめごとは……

 

その大型バスの大柄な運転士さんも、気持ちよくマイペースで運転していたのに、いったい何事が起ったかと、ギョッとして、あのトーキーの目玉の松っちゃんのような大きな目ん玉をひんむいて、運転席から伸び上ってバックミラーで後方の客席を見遣った。

そして、筑波山のがまガエルのように、ひきつったような顔になり、その顔からは、困惑の表情がありありと看て取れた。

……気の毒な運転士さん。

さて、こういう場合どうするのか?後学の為にも観察させてもらっていると……。

 

意を決して開き直ったのか、一転して努めて明るく振る舞おうと、或いはこういう非常時の対応マニュアルが甦ったのか、やや引きつりながらも、左手にマイクを握ったかと思うと「えっ、何?」と思う間もなく、左側を手で示し、

「これが、あの高校野球県大会で優勝した霞高です!」

と、自分のことのように、鼻も声も高々と、誇らしく車内に響くように、客席を見渡しながらおっしゃる。

 

 

 

女の子は一瞬何が起こったかと、泣き止んでしまった。

しかし、わたしゃその県大会も知らんし、それより、その捨て身の海軍魂、特攻精神は分かったから、もう、前を向いて両手で運転して。と言いたかったが、素人がそんなことを言ったらどんな反論を食らうかもしれないし、何しろ、ハンドルを握ってるのはアンタだ。へたに怒らせて機嫌を損ねてはどうなるか予測もつかない。なんとか調子を合わせた方が賢明だ、と判断し、

 

深呼吸し、周囲を見渡した。 そしたら、また女の子が続きのように泣き出した。

母親が、ヒステリックに「恥ずかしい子ね。もうどこへも連れて行きませんからね!」と女の子を日頃甘やかしているのか、躾けているのかよく分からないやりとりだ。女の子も更に意地になって、母親の非をこの時とばかり周囲に訴えるように

「うえ”~~ん」

とゼロ戦の爆音のように、ひくついて大泣きになった。

 

こりゃまずいことになった……。 こんなところで親子喧嘩や痴話喧嘩なんかしないでくれよ。今度はこっちが叫びたくなった。

 

さすがのくだんの運ちゃんも、打つ手がなく、お手上げのようだった。

 

 

仕方がない、ここはひとつ、私が莫迦になるしかないか、と覚悟を決め

 

「この辺は、畑が多いですね。あの桑のような葉っぱは里芋ですか?」と運ちゃんに振ってみた。

 

すると、運ちゃん、生き返ったように目を輝かせて、待ってました。良くぞ聞いてくれた。と言わんばかりに、さらに鼻の穴を里芋のように大きく膨らませて、ウルウル少女マンガのように、瞳をキラキラさせて フォルテッシモで

 

 

「あれが、全国一の出荷量を誇るぅ、茨城名産のぉ、蓮根です!!」 

 

 

と、意気揚々、得意満面で客席一同を見回して、声高らかにしてやったりと、鬼の首を獲ったように言い放った。

これにはさすがの、泣き虫わらしも、ビクッとして、泣き止んだ。

 

思わず、お見事!と拍手したかったが

 

「おいっ、前、前見て、まえ!」

 

ただならぬ緊張感を感じたのか、また、女の子が大きく泣きだした。

 

 

 

あーあ、とうとう泣いちゃった……」

 

泣く子と地頭には勝てず。

 

知らんぞ、もう……。

 

  

 

全機、出撃用意っ!

 

                      

 

話が逸れた。予科練記念館に戻る。そうして若い命が祖国の為に捧げられたのを無駄にしてはならない。

その為に、継承、語り継がれなければ危機管理にはつながらない。

 

 

 

だが、特攻へと向かう前に、まずレーダーや諜報、暗号解読などのエキスパートを養成する方が先だったのではないか。

特攻したらもう帰還の確率は低い。その前にすることがある筈。そして日本の将来を考えたら……。

 


 

 

そして天井に釣り下がっている飛行機の模型に目を遣ると、館の職員であろうか初老の紳士の方が、それの説明をして下さった。

 

 

  

 

むにゃむにゃ…… ニャムニャムニャン……

あれはな、通称「赤トンボ」と言うてな初級複葉式複座練習機…

ムニやムニや…

 

 

 

 

 

 

第二部 専科 「新撰組内務班」(後篇)

 前回のつづきから

 

 

新選組局長・近藤勇が奥へ通る声で

「主人はおるか、ご用あらためでござる」

・・・・・・こういうのを胴間声というのだろう。土間に響き渡った。気配を窺うように静寂がよぎる。

 

勇は八方に目を配り浪士の巣窟へ踏み上ろうとすると、亭主の惣兵衛が階段のところへ駆けつけてきて、急ぎ大声で階上に向かって

「みなさまお調べでございます」「みなさま……」

「どけっ」と勇が亭主の頭を拳固で殴り飛ばした。亭主は気を失った。

 

近藤勇は左腰に手を掛けドップラー効果で音よりも速く階段を駆け上がった。後からダッダッと音がついてきた。

 

志士の北添佶磨が「おう、桂ぁ来たか」と奥座敷の襖を開けて階段の手すりまで出てきた。

素っ頓狂な声音で北添佶磨が

「ち、違う、桂さんじゃない」顔色が変わる。

「み、みぶろ……」中の同志に異変を知らせようと向き直る。

その刹那、近藤勇の名刀・虎徹が一閃、北添を薙いだ。

「うぐっ」 北添の脇腹から血飛沫が挙がり階段を転げ落ちる。 (この段、'82映画「蒲田行進曲」階段落ち。参照)

 

二階の裏座敷八畳の間には長州などの志士二十数名が車座になって論議していたが、外からの同志の悲鳴で一瞬緊張に包まれ、刀を執り互いに眼と目を合わせ覚悟を決めたようだ。

 

階段の上に立った近藤勇は座敷内に素早く目を走らせ、仁王の如き形相で

 

「新選組である。無礼は許さんぞ」と一喝し睨みつけた。続けて沖田総司が立つ。

蛇に睨まれた蛙のように志士たちの腰が砕け、抜刀した剣を担いだままばらばらと数人がこけら葺きの屋根から飛び降り落つる者、そして中庭を逃げ回る者……。

志士たちが階下に預けた槍や鉄砲が見つからない。 総司が目ざとく見つけて隠しておいたようだ。

 

二階裏座敷には近藤勇と沖田総司、表座敷階下には永倉新八、藤堂平助が逃げ向かって来る志士たちを待ち構えていた。

それでも必死になって逃げようとする志士がいる。そうはさせじと永倉が追うし、表口には槍術の谷三十郎、原田左之助の両人が槍をしごいて待ち構えていたので観念して引き返して斬り結ぶ道を選んだ志士。

 

 

二階八畳の奥座敷付近では沖田と近藤勇が背を合わせ二人を囲んだ志士と対峙している。

隣部屋の四畳半から出てきた志士に囲まれた。

近藤の顔半分は北添の返り血に染まって不気味だ。その間にも隙を見て屋根伝いに逃げる者あり。

近藤はその者らを追うように見せてわざと隙をつくり、敵に斬りこませようとする。

 

「せからしか。ぬしゃ、あほ犬ったい。これでも喰らわんかぁ」 宮部鼎三が上段にかぶって近藤勇に撃ちかかってくる。が、止まった。

「⁈」

天井に刃が食い込んでいる。焦る宮部。抜けない。 やむなく脇差に手を伸ばそうとする。

すかさず虎徹が吼える。天然理心流の鋭い突きが食い込む。

酒臭い血の匂いが噴き出すのが灯明かりに浮かぶ。

殺気が奔る。目が血走る。

 

襖の方から逃げようとした志士と沖田が二、三合斬り合って剣捌きの速さについて行けずお小手を打たれ右袈裟がけに斬り下ろされた。これは誰だったろう、吉田稔麿だったか。

 

         

突然、沖田総司が血にまみれた。

「どうした。やられたのか」

「うう、ゴボッ」

ゴボッ、ゴボッ

 

~~~~~~~~~回想シーン~~~~~~~~

 

「沖田は~ん」

 

 

「総司はん、居てはりますの?」

 

此処は壬生の屯所からそう遠くない沖田総司のB.O.Q.(独身幹部用借家)

 

 

沖田起きて←(ここは韻を踏んで♪)

「ゴボッ、お、お徳さん……」

「お薬取りに来はらしまへんよって持ってきましたえ」

「そりゃ、かたじけない」

「お加減、どうどす?」

「ああ、大丈夫だ」

「無理したらあきまへんえ。順庵先生も言うてはりましたやろ。精のつくもんたんと食べなあかんて」

「ああ、雑炊食った」

「まあ、そんなもんでよう人斬り包丁振り回せはりまんなぁ」

 

「おいおい、徳さん。いや鯉は買うて来てあるのだが……」

 

 

「よろしおま。きょうはわてが、総司はんの一日女房になってあげます。……えっキャッ」

「莫迦、自分で言って顔を赤らめる奴があるか。こっちまで照れる」

 

「京味噌と京葱、ありますなぁ。え、旦那はん、あ……ええ響きやわ。なぁ旦はん、」(独りで悦に入って)

「何やうるさい。あれっ、うつってもうた」

けったいな京言葉遣いよって他愛もなく笑い合う二人。笑う門に福来たる。一刻幸せを感じ合うた総司と医者の娘お徳であるが、この後の事を想像すると緊張して来る。

 

お徳は、あかん、このままやったら互いに妙なことになると感じたのか、キッと襟を正してわざと声を落として

「旦はん、こっちの包丁はあんまし手入れされておへんようどすな」

「おいおい、徳ちゃん。……まるで姉のみつみたいだ」

「こりゃあきまへん。わて、女房やのうて、姉上どのになりましたんかー。うふふふ」(……あんさんはシスコンか?)

 

二人目が合って屈託なく笑う。青春真っ只中だ。そうやって戯れながら鯉こくが恋の刻へと煮込まれていく。

 

 

「それでは、お徳さんの鯉こくいただきます」

「お口に合いますやら」

「う、あっつうううまいっ」

「なんですの?それ。お武家さまがはしたのうございますよって」

「徳さんの鯉こくは掛け値なしに私の口に合うてござる」

「まあ、おおきに。おほほほ」

 

食べながら

「最初、順庵先生んとこに来はった時、何や、わての事ジーと見てはりましたなぁ」

「そうだったかな」

「何やこう子どもがなんか物欲しそうに……いや、あんまり上手う言えんけど……」

「・・・・・・」

「それで何とかしてこの子助けてあげなならん思うて」

「おいおい、この子はないだろう」

「そや、かんにんえ。そやかて子どものように不器用そうやったさかい。ふふふ」

 

「・・・・・・」

「これでも不器用か」 沖田、お徳の白魚のような小さな手をとる。

お徳、目が真剣になる。

二人互いに見つめ合う。泪が滲んでくる。

いじらしく瞼を閉じてお徳の方から口を差し出す。

「いかん、労咳がうつる」

「かましまへん、沖田はんの労咳やったらなんぼかてうつして。それで総司はん、

ようなって(懇願するように)」

総司もお徳がいとおしくなって抱き寄せた。

夢中でお徳の口を吸うた。

「お前と一緒に死ねるのなら……」

ふたりはむさぼりあうようにぎこちなく互いの剥き身を求め合う。

 

「柔らかい。こんなにやわいものなのか、女は」

 

「恋をする女はこうなりますのんえ。ああ沖田はん……もう言葉はよろし・・・おま」

 

白い柔肌の裸体に吸い寄せられるように溶けていき、どこまでも深い快楽の海に溺れていった。

 

 

そうして鯉こくだか恋刻だか甘い一刻が過ぎて、まだ余韻が残る気だるい昼下がり。

据え膳食わぬは武士の恥 ならぬちゃーんと残さず戴き

ご馳走様でした

こうやってしっかり精を付けたつもりだが、総司の労咳は相変わらず、いや寧ろ……。

 

ゴボゴボ…… 

背中をさする細い手。

 

~~~~~~回想シーン解除~~~~~~~~~~~~~

 

ゴボゴボ……

背中をさする太い手。

 

近藤 「総司、ここはいい。階下にいって休んでろ」

近藤は首を回して「おい、とうどおー」

・・・・・・返事がせん。

 

 

階下でも敵味方入り乱れて力戦奮闘中だった。屋根から飛び降りた者が必死で闇雲に白刃を振り回す。剣技を繰り出しているつもりなのだろうが、昼間ではない。腰も定まっていない。なにより動揺混乱が激しい。

 

表口へ逃げ出そうとする敵を待ち構えた谷の槍先が素早く田楽刺し。

縁側から慌てて雪隠に逃げ込もうとする敵を見つけた永倉が、後ろから矢声とともに斬りつけて倒した。

不意に物陰から飛び出た敵に隙を突かれた北辰一刀流の藤堂平介が、敵の剣切っ先をくらって鉢巻ごと眉間を割られ流れる血で前が見えなくなり首を振って難儀をしていた。

そこへ永倉が助太刀に入った。藤堂に向かおうとする敵の横から「お小手っ」と右小手をうったが、この敵なかなかやると見えて、「そうはいかぬ」と右半身に引いて受け流し、今度は永倉に斬ってかかる。

こやつは目録以上だな。互いに睨みあい隙を探る。

 

隊士の安藤が敵に囲まれてやられた。奥澤も逃げる志士を追ったが埋伏で深手を負った。

 

敵の切っ先がススッと永倉の胸の辺りに入って来る。チャッシャリッ音がする。火花が散る。

着衣が斬られてひらひらしている。鎖襦袢を着こんでいなければやられていただろう。寒気がよぎる分だけ闘志が漲る。「それそれっ」、次々にお小手、お胴、お突き、と入れたが敵もさる者、悉く躱し、「ヤッ」と一声、小手を打って来たので、ひきはがし、仰け反って得意の「お面」をここで試みた。

それが功を奏し、敵は見事に左頬から首へかけて斬り下げられ血煙立てて崩れ落ちた。

が、相手の骨にあたったか刀が真ん中からポキッと折れてしまった。

それで仕方なく土間に落ちていた敵の剣だろうがそれを拾って代わりに闘った。

しかし何だかべとべと、ごつごつする。行灯に照らして見ると、指が斬りおとされていた。そんなことに構ってはおれん。向こうさんも必死だ。

 

そうこうするうちに祇園方面、四国屋が空振りだったので土方隊が池田屋に駆け付けてその周囲を囲んだ。

手が空いた原田、井上、武田が中の応援に入って来たのでいつの間にか敵は見えなくなった。

二階を家探ししていると、天井がミシッと音がするので「ん、猫かな?」と言って、「にゃーお」と言ってみた。

 

 

すると天井からも「ミャー、ミャー」と聞こえる。

いや、ネズミかも、と「ちゅーちゅー」と言ったら天井でも「チュー」と言う。

「それっ、ネズミ、見つけたぞ、そこを動くな!」と井上が得意の槍を天井に突き入れネズミを刺し殺してしまう有様。

やがて厠から庭囲いと家探しをはじめると、ぞろぞろ八名の志士が武器を捨てて出てきたので捕縛した。

表口から五人ほど逃げ出したがいずれも取り囲んだ会津、桑名の手で捕殺された。

結局、八人の志士を討ちとり、二十三人を捕縛した。

 

こうしてこの日のネズミ獲りは志士の巣窟を血の海と化してしまったが、京の町を火の海とはせず、居並ぶ高張提灯の列は、詰めかけた京の町衆方の火照った興奮と憧憬の熱気を添え加えてか、灯明かりも一層燃え上がるような輝きを増していた。

その視線の先には、壬生浪(みぶろ)いや、もとい、会津候お預かりの新選組が力強い足取りの二列縦隊で引き上げる勇ましい晴れ姿があった。

 

ん。手に折れ曲がった刀をなんとか鞘に収めようとしているのは沖田総司、か。多少アガッているのか照れ笑い。

沿道ではその隊列に手を合わせたり、目を潤ませる者、手拭を手に落つる涙をしきりに拭いている者。などでいつまでも見送っている町衆の姿があった。。

この噂は朝廷、京の町々にとどまらず全国津々浦々にまで鳴り響いた。

 

 

後日、朝廷より感謝とねぎらいの慰労金百両が、そして会津候からも控えめに五十両が新選組に下賜された。

幕府からは会津藩に預けていた新選組費用から褒賞金を与えるようにと夫々に十五両から三十両が手当された。

尚、近藤勇らは幕府より旗本の士分を与えられ、晴れて幕府旗本となった。

多摩の農家三男出という、これまでの出自の負い目をここに払拭したのであった。

(やっと本物の武士になった……)

 

そして、その噂も京の町々にとどまらず全国津々浦々にまで鳴り響いた。無論、長州萩の指月城内にも……。

 

 

 

    < 新選組の巻・完 >

 

 

 

[ NOTICE ]  一、上記記事のリブログは構いませんがコピペ等無断転載は局中法度につき、かたくお断りします。(吟)

         

 

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【東京都生活文化スポーツ局】ボランティア情報のご案内 

 

(ラグビーワールドカップ2023パブリックビューイング」ほか2件)

「ラグビ「ーワールドカップ2023 パブリックビューイング」を

9月10日(日) 秩父宮ラグビー場で開催します!


 :東京都港区北青山2-8-3グ住所ビ5ー場

【東京都生活文化スポーツ局】ボランティア情報のご案内 

(「ラグビーワールドカップ2023パブリックビューイング」ほか2件)・・・・・

  • ~目次~
    1 (ボランティア募集)「ラグビーワールドカップ2023パブリックビューイング」
    2 (ボランティア募集)「TOKYOウォーク わくわくウォーク【第1回】」
    3 (観覧者募集)「TOKYO FORWARD 2025 シンポジウム」

    1 (ボランティア募集)「ラグビーワールドカップ2023パブリックビューイング」(主催:東京都)

    「ラグビーワールドカップ2023 パブリックビューイング」を
  • 9月10日(日) 秩父宮ラグビー場で開催します!
    日本中が感動に沸いたラグビーワールドカップ2019™開催から4 年。
  • いよいよ、ラグビーワールドカップ2023 フランス大会が開催されます。
    4 年前の感動を再び思い出すとともに、今大会は一層の感動を共有できるよう
  • パブリックビューイングを開催します。

    こちらのイベントにて、受付・案内・誘導等を行って頂けるボランティアを募集します。
    パブリックビューイングに参加する方々だけでなく、ボランティアのみなさんにも
  • イベントを盛り上げて頂きたいと思っています!

    (参考)ラグビーワールドカップ2023 パブリックビューイング募集ウェブサイト
    https://www.sports-tokyo-info.metro.tokyo.lg.jp/eventblog/2023/7/bm_23072001.html

    【活動日時・内容等】
    ◆活動日時
    2023年9月10日(日)
    シフト:12:30~20:30(合間に休憩あり)
    (試合状況により終了時間が遅くなる可能性もあります。)
    ※集合時間・場所は、当選のお知らせの際にご連絡します。
    (雨天決行)
    多少の悪天候でも原則的にパブリックビューイングは行います。
  • その場合も活動いただけることをご留意のうえ、ご応募ください。

    ◆活動場所・アクセス

JR総武線各駅停車千駄ヶ谷駅もしくは信濃町駅から徒歩15分
東京メトロ銀座線外苑前駅から徒歩5分
都営大江戸線青山一丁目駅から徒歩10分

◆活動内容
受付・ブース案内・来場者の誘導等
※屋外の炎天下の活動であることをご留意下さい。

◆応募方法
下記URLの応募フォームよりご応募ください。
・応募フォーム:https://www.shinsei.elg-front.jp/tokyo2/uketsuke/form.do?id=1691026151986
・締切:令和5年8月21日(月)13:00まで  結果のお知らせ:8月23日(水)頃
※当日の活動内容はお選びいただけませんのでご了承ください。
※各応募フォームへの申し込みは、お一人様1回までとさせていただきます。
ただし、申し込み内容を修正されたい場合は、再度申し込みください。

  • 最後に申し込みされたデータが有効となります。
    ※応募者多数の場合は抽選とさせていただきます。
  • 【参加にあたって】
    ◆活動時の服装
    活動時は東京2020大会シティキャストユニフォームを着用いただきます。
    ユニフォームをお持ちでない方には、当日受付時にユニフォーム
  • (ポロシャツ、ジャケット、ハットのみ。パンツ、シューズ、
  • ソックスの支給はありません。)を配布します。
    ※ユニフォームサイズの詳細は以下のURLをご覧ください。
    https://www.tokyo-vln.jp/wp-content/uploads/city-volunteer/asset/img/about/tokyo2020/uniform/uni_size.pdf
    ※数に限りがございますので、サイズのご希望に添えない場合もあります。
    ※ユニフォームをお持ちの方は、着用して来場してください。

    ◆支給物品
    飲み物、軽食

    ◆交通費
    当日の活動場所までの交通費相当として1,000円のクオカードをお渡しします。

    ◆注意事項
    ・当日は公共交通機関でご来場ください。
    ・イベント保険は、主催者側で加入いたします。個人負担はありません。
  • なお、主催者の指示を順守しなかった場合や不適切と判断された場合には、適用外となります。
    ・都の記録撮影やメディアの取材が行われる場合があります。
  • また活動・観覧等の様子の画像や映像をウェブサイトやテレビ、資料、
  • プレスリリース等で使用させていただく場合があります。
    ・ドメイン設定をされている方は、「@city-volunteer.metro.tokyo.jp」
  • からのメールを受信できる様、ドメイン設定を解除していただくか、
  • 受信リストに加えていただきますよう、お願い申し上げます。
    ・メールアドレスが誤っている場合やメールアドレスの変更、
  • ドメイン指定をされている場合、当落通知メール等をお送りできませんので、ご注意ください。

    【お問い合わせ先】   
    <イベント内容・ボランティア活動全般に関すること>
    東京都 生活文化スポーツ局スポーツ総合推進部 スポーツ課
    (スポーツ交流担当)
    メール: S1120717@section.metro.tokyo.jp
    <ボランティア募集に関すること>
    東京都生活文化スポーツ局スポーツ総合推進部スポーツレガシー活用促進課
    メール: S1120716@section.metro.tokyo.jp

    2(ボランティア募集)「TOKYOウォーク わくわくウォーク【第1回】」

    東京都スポーツ文化事業団は、都内の魅力あふれるエリアにおいて、
  • 街歩きを楽しめるウォーキングイベント「TOKYOウォーク わくわくウォーク」を開催します。
    開催にあたり、来場者誘導、スタート・ゴール受付、記念品配布等を行っていただく
  • サポートボランティアを募集いたします。
    (参考)TOKYOウォーク - イベント詳細サイト   https://www.tokyo-walk.jp/

    ※東京都がボランティア募集を行いますが、当日のボランティア運営は
  • 東京都スポーツ文化事業団が行います。

    【活動日時・内容等】
    日時:令和5年9月16日(土)
    Aシフト:7時30分~12時30分(合間に休憩あり)
    Bシフト:12時00分~17時00分(合間に休憩あり)
    ※集合及び活動時間等の詳細は、当選のお知らせの際にご連絡します。
    雨天開催(荒天時等、参加者の安全が確保されない場合は中止)

    ◆活動場所
     会場:都立狭山公園 風の広場
     住所:東京都東村山市多摩湖3‐17⁻19
     
    ◆活動内容
    来場者誘導、スタート・ゴール等での受付業務、記念品配布等

    ◆応募方法
    下記URLの応募フォームよりご応募ください。
    https://www.shinsei.elg-front.jp/tokyo2/uketsuke/form.do?id=1691132344150

    ・締切:令和5年8月22日(火)17:00まで  結果のお知らせ:8月28日(月)ごろ

    【申し込みにあたって】
    ・当日の活動内容はお選びいただけませんのでご了承ください。
    ・各応募フォームへの申し込みは、お一人様1回までとさせていただきます。
  • ただし、申し込み内容を修正されたい場合は、再度申し込みください。
  • 最後に申し込みされたデータが有効となります。
    ・応募者多数の場合は抽選とさせていただきます。落選した場合はご容赦願います。

    【参加にあたって】
    ◆活動時の服装
    活動時は東京2020大会シティキャストユニフォームを着用いただきます。
    ユニフォームをお持ちでない方には、当日受付時にユニフォーム
  • (ポロシャツ、ジャケット、ハットのみ。パンツ、バック、シューズ、
  • ソックスの支給はありません。)を配布します。
    ※ユニフォームサイズの詳細は以下のURLをご覧ください。
    https://www.tokyo-vln.jp/wp-content/uploads/city-volunteer/asset/img/about/tokyo2020/uniform/uni_size.pdf
    ※数に限りがございますので、サイズのご希望に添えない場合もあります。
  • 予めご了承願います。

    ◆支給物品
    飲み物等
    ※昼食の支給はございません。

    ◆交通費
    当日の活動場所までの交通費相当として1,000円のクオカードをお渡しします。

    ◆注意事項
    ・屋外での活動です。活動中の熱中症対策は各自ご用意をお願いします。
    ・当日は公共交通機関でご来場ください。
    ・イベント保険は、主催者側で加入いたします。個人負担はありません。
  • なお、主催者の指示を順守しなかった場合や不適切と判断された場合には、適用外となります。
    ・東京都や東京都スポーツ文化事業団の記録撮影やメディアの取材が行われる場合があります。
  • また活動・観覧等の様子の画像や映像をウェブサイトやテレビ、資料、プレスリリース等で使用させていただく場合があります。
    ・ドメイン設定をされている方は、「@city-volunteer.metro.tokyo.jp」からのメールを
  • 受信できる様、ドメイン設定を解除していただくか、受信リストに加えていただきますよう、
  • お願い申し上げます。
    ・メールアドレスが誤っている場合やメールアドレスの変更、ドメイン指定をされている場合、
  • 当落通知メール等をお送りできませんので、ご注意ください。

    ◆「アプリウォーク」のご案内
    「TOKYOウォーク」では、12月2日(土)に実施する「都立木場公園での
  • 「わくわくウォーク第二回」の他、スマートフォンアプリを使用してウォーキングを行う
  • 「アプリウォーク」の参加者を募集しています。
    「アプリウォーク」は12月26日(火)までの実施期間中いつでも好きなタイミングで
  • ご参加いただけますので、ぜひご検討ください。
    詳細は10月頃に 公式ホームページ (https://www.tokyo-walk.jp/) で公開しますので、ご覧ください。

    【お問い合わせ先】   
    <イベント内容・ボランティア活動全般に関すること>
    TOKYOウオークイベント事務局
    電話:03-5427-6755(10:00~17:00 土日祝日を除く)
    メール: info@tokyo-walk.jp
    <ボランティア募集に関すること>
    東京都生活文化スポーツ局スポーツ総合推進部スポーツレガシー活用促進課
    メール:S1120716@section.metro.tokyo.jp