健康救世軍出動! ②  | 地球の日記☆マーク♪のblog☆

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この地球は今大きく変わろうとしている。自国主義からコロナ禍を経て、調和・融和へとイノベーション(変革)し、人生100年時代へ向けて脱炭素の環境優先へとベクトル(地球的エネルギー動向)が動いた。
常に夢を持って波に乗ろう!


 

 

前回の「健康救世軍出動①」で外敵ウィルスの侵入及び攻撃を受けた偵察の吟大尉は、人体の自律神経、特に副交感神経の協力を得ながら、益々強大になる人類の敵グラサン・ウィルスを撃退すべく立ち上がった味方と共に、人体に健康を取り戻させようと懸命の努力を続けるのであった。

 

 

 

辺りの細胞は炎上し熱に包まれている。宿主である人体もさぞ苦しかろうな。38度越えか。

咳をしているのか時々地震のような激しい揺れがある。

不逞のグラサン・ウィルスは捕り手を次々倒しては徐々に態度も大きくなっていく。

いや奴らは細胞分裂しながら続々増殖している。

 

うわっ、いかん、このままでは敵の分子細胞が人体本体に拡散増殖して、バディを乗っ取られかねない。

宿主を守れ。

戦闘が拡大して本体の炎症、発熱がセーブできなくなる。

ここでなんとか食い止めないと……。

戦闘地域は火の海だ。

このバディの主よ、栄養と休養で我々が優位になるまでなんとか凌いでくれ。

もう少し、我慢してくれ。

 

見るに見かねて、正義の名のもとに顆粒球の小隊が突撃を開始した。

小隊長は佐々木中尉。

増殖した敵兵多数に対して顆粒球隊は多勢に無勢。

あっ、いかん、囲まれた。

 

それでも佐々木隊長は焼け糞になって敵の分身にあろうことかガブッと齧りついた。

 

おっ、佐々木中尉が敵分子を食べている。

いかん、そんなもん食ったら毒が回るぞ。やめろー!ちゅうい~!

 

敵の進撃を食い止めるためには、自ら犠牲となって毒虫を自らの躰で文字通り食い止めようというのか。

 

うう、なんたる自己犠牲の戦闘士官魂。

 

く、食われた……。

毒が全身に回って身動きできなくなったところを……。

 

喰われた隊長の胴体から、ちぎれた四肢がバラバラに地表に散っていく。

不逞のグラサン・ウィルスは憎々しげに舌なめずりして、狡そうな目でギロリと四囲を舐めまわす。

 

 

落涙を抑えて、勇猛果敢な顆粒球の佐々木中尉に対し奉り塹壕から敬礼!

 

 

何とかしてあの獰猛なグラサンばい菌の進撃を食い止めねば。

正義は負けるはずがない。

交感神経に応援を頼むと、緊張して友軍の免疫隊が萎縮してしまいかねない。

 

あと頼みの綱となるのは、特別スワットのリンパ球部隊か。

確かあそこのチームにはNK(ナチュラルキラー)サイボーグのナオミ中尉がいたな。

別名くのいち中尉。

なんでも色仕掛けの蜘蛛の巣でからめとり、敵が身動きできなくなったところを、蜂の一刺しでとどめを刺す超一級のキラー。

 

 

何をしてる?応援のリンパ球部隊はまだか。ナオミ中尉は。

なに?

ナオミ中尉は今入浴中?

構わん、すっぽんぽんでもいいから早く呼んで来い。

 

 

それにしても宿主である人体本体はどうしてるんだ?

リラックスしてくれないと副交感神経が機能せず、白血球が増えないし、リンパ球の徴募が間に合わんぞ。

 

なに?宿主のバディは風呂に入ろうと今、湯を沸かしてる?

おい、それはいかんぞ。急激な温度差に堪えられるバディなのか。

湯が沸くまでウォーキングとか階段上り下りするとか、ウォーミングアップして軽く発汗状態にすべきだ。

あるいは浴室を温めておくとか。

俺たちソルジャーのコンディションも考えてくれ。

 

 

おっ、脇の方からミニクーパーに乗ったくだんのNKサイボーグ、ナオミ殿。いや殿は失礼か。ナオミ姫。

なんだか戦闘員らしくないな。水泳の師範みたいだ。

いい、この際ナオミでいこう。

ナオミ?

おーさかナオミ?

いや、違う、♪ナオミ カムバック。……それはヘドバとダビデの「ナオミの夢」、70年代じゃない。

じゃ、谷崎潤一郎「痴人の愛」の奈緒美?

いやいやそうじゃない。

分かった、ナオミキャンベルだな。

あのなあ、外国籍は任官できない法がある。

 

ナオミ着到!敬礼。

 

「ご苦労様です」

ん。略帽の下は下着?

「あの・・・・・・」

「ああ、それは構わないのよ。これが私の戦闘服」

 

いかん、アドレナリンが分泌……発情してきた。

交感神経との連絡を一時遮断する。

 

落ち着け、セロトニン、はやまるな。

ええい、うろたえるなドーパミン。

 

おい、どこへ行く?ナオミ中尉。

 

「お先に失礼」と

 

彼女はミニクーパーで前線を突破し、敵中に踊りこんだ。

敵を敵とも思わないクソ度胸はあっぱれ。

いや敵軍も彼女の奇抜な制服に呆気にとられているようだ。

ミニクーパーから大音量の音楽が流れる。

 

ナオミ 「オープンザミュージック♪」

 

えっ、なんだこれは。 ♪ハーレムノクターン? 何だか妖しい楽曲だな。

 

ナオミは腰を振りながらモンローウォークで敵軍の中に入っていく。

敵細胞の群れはそれに合わせて後じさりし囲むよう輪になって、妖しげなナオミのオーラに包まれ次第に戦意を失って武器よさらば していく。

 

サーチライトがM24戦車の砲台に当たる。

ナオミはその上に上り、妖しげなポーズで回る回転砲台から流し目を送り、群衆を魅了する。

おっ、逆エビ固め、ブリッジをした。

なおも砲台は回り続ける。

砲台にまで魔法をかけたのか。

 

おっ、彼女、ブラのホックに手をかけた。

一瞬溜めの間があった後、胸を左手でおさえ、はにかむように胸を覆っていた布きれを、右手でヒラヒラさせて一同の欲情を煽った。

まるでジャンヌダルクかマレーネ・ディートリッヒの化身のようだ。

 

そうこうしているうちに、敵の親玉グラサン菌が、いつの間にか特等席のかぶりつきに陣取っていた。

グラサンの目尻まで垂れ下がってにやけていやがる。

 

「ありゃ、あの野郎、手を出して女の尻を触ろうとしやがった」

 

「おい、ちょっとマイク貸せ!」

 

「あーあー、踊り子さんには手を触れないでください!」

 

「ちょっとだけよ~」

 

「ダメ」

 

「けちっ」

 

ばい菌は手を引っ込めて今度は縄のような触手をのばしてきた。

 

スルスルスルとナオミ嬢に絡みつく。

何本もヌルヌルヌルと。

 

ナオミよがる。

 

うわっ、ナオミ嬢のパンティに手が、いや触手がかかった。

 

ナオミ嬢いやいやし、悶える。

 

ついに生暖かいパンティが引き下ろされた。

 

 

 

 

 

ズッドーン!

 

 

M24戦車の砲台から大砲が発射された。

 

煙が辺り一面に立ちこめる。

 

煙の中からスッポンポンのナオミ嬢、もとい、ナオミ中尉。

いや、よーく眼を凝らしてみると、デルタ地帯に何やら、白いガーゼのようなものが……。

ん。周囲にはガムテープ?

 

何だこりゃ、前張り じゃないか。

するとこれは、ナオミ中尉の替え玉で緊縛の女王、谷ナオミか。

 

道理でフェロモンむんむんだった訳だ。

 

 

-----その煙幕の漂っている間に一連の動きがあった。

 

いつの間に駆け付けていたのか、特別スワットのリンパ球中隊がグラサン菌軍を忍者のように包囲し、音もなく次々と倒していった。

残った親玉グラサン菌をがんじがらめに逆に捕縛、緊縛し、触手を切り落とし無力化して、細胞分裂できないようにDNA塩基配列を変異させたスピーディーな早業で撃退した事案は、まだ記憶に新しい。

 

 

一方、宿主である人体はこうして抗原抗体反応を得て、熱も下がり平常心に戻ることができた。

これもひとえに国際医学の進歩のお陰である。

 

 

 

 

ここに於いて医学道に感謝し、緒方洪庵先生の家伝を備忘録として掲ぐ。

 

 

 

「 扶氏医戒之略            (緒方家所蔵巻軸より)

 

一、医の世に生活するは人の為のみ、をのれがためにあらずといふことを其の業の本旨とす。

  安逸を思はず、名利を顧みず、唯おのれをすてゝ人を救わんことを希(ねが)ふべし。

  人の生命を保全し、人の疾病を復治し、人の患苦を寛解するの外他事あるものにあらず。

 

一、病者に対しては唯病者を視るべし。貴賤貧富を顧みることなかれ。

  長者一握の黄金を以て貧士双眼の感涙に比するに、其心に得るところ如何ぞや。深く之を思ふべし。

 

一、其術を行ふに当ては、病者を以て正鵠とすべし。 決して弓矢となすことなかれ。

  固執に僻せず、漫試を好まず、謹慎して、眇看細密ならんことをおもふべし。

 

一、学術を研精するの外、尚言行に意を用ひて病者に信任せられんことを求むべし。

  然りといへども、時様の服飾を用ひ、詭誕の奇説を唱へて、聞達を求むるは大に恥るところなり。

 

一、毎日夜間に方て、更に昼間の病按を再考し、詳に筆記するを課定とすべし。

  積て一書を成せば、事故の為にも病者のためにも広大の裨益あり。

 

一、病者を訪ふは、疎漏の数診に足を労せんより、寧一診に心を労して細密ならんことを要す。

  然れども自尊大にして屡々診察することを欲せざるは甚悪(にく)むべきことなり。

 

一、不治の病者もすなわち其患苦を寛解し、其生命を保全せんことを求むるは、医の職務なり。

  棄てゝ省みざるは人道に反す。たとひ救うこと能はざるも、之を慰するは仁術なり。

  片時も其命を延んことを思ふべし。決して不起を告ぐべからず。

  言語容姿みな意を用いて之を悟らしむることなかれ。

 

(以下略す)         」

 

 

   (津和野にて撮影)

 

これはヒポクラテス以来の医戒で、キリスト教倫理が加わり、世界各国で広まった医学の心得であり、また儒教思想の中に育まれてきた適塾の緒方洪庵先生もこれにいたく共感し、適塾から多くの日本近代史を彩る英雄・学者を数多く輩出した。

 

そして現代にも脈々と医学生が続いているのである。

一時はドイツ語が主流であった医学界で、文学者としても陸軍軍医総監として日本の医学に貢献した「森鴎外」もその一人である。

 

医は仁術である。の精神が理解できるものには、貧しくとも医者の道を案内する。

国立の防衛医科大学 である。ただし狭き門で競争率は高いがチャレンジすることで道がひらける。

 

 

そのころ免疫とかゲノム(遺伝子情報)、予防医学が普及していたらどうなっていただろう。

経済とか政治のバランスが執れて成熟してきた今だからこそ、人間のすすむ道がみえてくるのではなかろうか。

この人間という意味は深く広範囲である。

100年後を見据えた人類のあるべき姿。

と言っても多分、多様なる価値観は地球が円く回っているうちは変わらないだろうが。

 

ただ生活習慣病は意志次第で治せる。

少しずつでも前向きに意識して、惰性的習慣を変えていく。 

ニコチンやアルコールに支配されず、人間らしく理性的かつ能動的に考え、行動し、より多くの救命と健康とQ.O.L.を願うものである。

 

                     (吟)

 

 

 

 

 

             < 完 >

 

      参考文献:安保徹・著「病気にならない人の免疫の新常識」 他