と安全ピンでとめたゼッケンにはそうある。
良かった。これで大都会で迷子や徘徊になる心配はなさそうだ。要所にはこのゼッケンを見て正しく誘導してくれるスタッフのおじさんやおばさんがいる。旗を持ってて親切そうだ。緑のおじさんかな。
しかし、やたらと人に道を尋ねるというのも考え物だな。お互い気まずい思いはいやだ。
まさか誘拐はされないまでも、地元に住んでて地理が詳しい人かどうかを見極めて尋ねないと、無駄な時間と労力を費やして紆余曲折を辿ることになりかねないし・・・・・・。
それより、先ず聞かれた方の身になって、共存、共感的、信頼関係を確立、健康的な立場であるかどうか自問自答し、OKなら明るく優しく挨拶から。だろうな。 ぶつぶつ・・・・・・。
て。
なにをわけの分からんことをブツブツ言って歩いておるのか。
ところで万世橋はどこだ?
えっ、もう過ぎたって。
往年の東京市電と紳士淑女を乗せた華やかなりし貴族の馬車。煌めく文明開化の行き交う花形往還。
馬。もいいが牛も・・・・・・そうあの辺にビフテキ屋もあったっけ。女給さんのいるミルクホールも。
って、たまにイマジネーションが働いたかと思ったらやっぱりそっちの方へ行ったか。
ほれ昨日にぎっておいたおにぎりでも食べて、地図と一緒に配給された「東京水」でものんで空腹をしのごう。ってまだ二合目も来てないのに補給とは。
腹が減っては戦はできぬ。(何の戦だ?矢玉がとんでくるわけじゃなし、歩くだけじゃないか。)
むしゃむしゃ。ぱくぱく。
ゴゴー、ガラガラー。
さすがに大手町近辺、丸の内。街並みが一変。
胡蝶の夢から醒めたようにビルの解体やら建築中だか。矢玉の代わりに建築騒音と粉じんが。
おりょっ、歩いていると見上げる摩天楼の水晶山に迷い込んだアリンコのようだ。
ぎっしり立錐の余地もないビル。そこを壊して更地にするのも容易ではない。設計だって、隣との隙間もないとこに配管や室外機をどうするか、消防法など宅建屋さんも大変だなと、感心しながらこちらも歩を先に送った。
歩きながら走馬灯のように風景がスライドする。
坂の桑港、シスコの近代的な摩天楼ビル群に一連の統一性、美的センスに感じ入ったときから、日本でも新宿高層ビル群など雨後の筍のごとく、あれよあれよと言う間にすっかり様変わりしてしまった現風景。
あの辺り角筈、十二社、淀橋、成子坂など時代小説の作者やファンには堪らない懐かしい風情のある地名であり原風景でもあった。
何か大事なものを置き忘れて来なかったかと、ポケットに手を突っ込んでみる。
それと、このコースを企画した立案者のねらいもおぼろげながら浮かんできた。なかなかおもしろい遊び心がありそうだ。
コースの先に視界がひらけてきた。風に乗ってなにやら汐の香もうっすらと。
お天気でよかった。
このゼッケン安全ピンでヒラヒラするが、決して破けない。紙のように見えるが丈夫で水に濡らしても破けない。
ただ、燃えるように工夫してある。Cacl2 なのかな、。そうか環境に配慮して。
嬉しくなってくるね。日本の伝統と英知を結集してスポーツを愛する人々をあたたかく迎えている。
随所に気配りや思いやりが連携して支えてくれていると感じるだけで元気がみなぎる。
よし、最後まで、途中どんな困難に遭遇しようとあきらめず、一つ一つ自分の仕事をこなしていくだけのこと。今はGOALのことより、その時々を楽しむだけ。
障害物競走も受け身でなく、意図が読めればこなしていく過程が楽しい。
今回は気持ちの持ちよう、考え方次第だというハッピー・メソードについてふれてみました。
次回は順調に行けば「佃大橋」にかかる予定です。(まるで藤沢周平の「橋ものがたり」みたい。)
(つづく)